ことば1~2年A(0603)(その2)

後半は、和歌を今覚えているところなので、なじみを持ってもらおうと思い、実際に百人一首をしました。

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ルールはおちらしではなく、競技かるたの方です。

取り合って、先に自陣の札がなくなった方が勝ちです。お手付きのルール、札の送りのルールなど、具体的なことはやりながら、ぼちぼち覚えていくことにしましょう。

まだ最初なので、枚数は50枚ではなくて、35枚でしました。(空札なし)

そして2年生のRちゃんが20枚スタート、1年生のM君が15枚スタートという、5枚ハンディでしました。

すると、ちょうどいい感じの「接戦」となりました。

「暗記時間」も少し設けました。

これまでに覚えた、「ひさかたの…」と「はるすぎて…」、そして「ほととぎす…」の配置を、率先して頭に入れていました。

(「ひ」「は」「ほ」、「ひ」「は」「ほ」…みたいなごろ合わせで床を叩きながら(笑))

また、一字決まりの札のことも話したところ、「じゃあ、これは最初何て詠まれたら取れるの?」と、他の札の「上の句」についても、積極的にたずねてくれていました。

それで、Rちゃんは、

「花の色は」(自分の名前に「花」があるから)

と、

「よをこめて」(上の句と下の句がどちらも「よ」─「よ」はじまり)、

「すみのえの」(一字決まり)

の配置を、ごろ合わせを使って頭に入れていました。

それにM君も対抗して、

「ふくからに」(一字決まり)

「これやこの」(蝉丸を知っているから)

をマークしていました。

結局、暗記時間はほぼ質問タイムになってしまいましたが、密度の濃い時間となりました。

 

また、字についても質問がありました。

「てんてんってないの?」と。そうなんです。「たたありあけ」となります。濁点がないのを探すのが、パズルみたいですね。

そして、「ゐ」と「ゑ」は何と読むのかということで、昔は「むずかしい『い』」と「むずかしい『え』」があったんだよ、という話にもなりました。「ぼく知ってる!むずかしい『を』もやんな!」とM君。その通りです!

(訂正:授業では「や行」のすき間にあるのがそれ、と言ってしまったのですが、後で調べたところ、正しくは「わ行」のすき間の方でした。来週にまた訂正します。や行のYiとYeは、ふつうの「い」と「え」と書くそうです。)

 

さて、「難波津に咲くやこの花冬ごもり…」と序歌を歌ってから、いざ取り始めました。

最初はM君が連取していたので、ハンディの5枚分もあって、かなり優勢に見えました。

ところが札の解析では、Rちゃんの方が素早く、Rちゃんの取りが続くようになりました。そして10対10ぐらいで並んだあと、Rちゃんの方がそのまま差を広げていくかに見えました。

しかし、ここで競技かるたの面白い性質が出てきます。

自陣の札は自分の方に向いて読みやすく置かれ、また反対に相手陣の札は読みにくく置かれています。

それなので、たとえ枚数に差が出てきたとしても、それは「自陣の読みやすい札が多い」という状況になります。枚数の少ない方は、その分自陣の札が読まれる確率が少ないことになります。だから、自陣の札が少なくなればなるほど、取りにくくなります。

M君は、「自分の方を見てたら、それだけ有利ってことか」と言って、持ち直していました。

両方の陣地を見渡す必要があった時は、確かに2年生のRちゃんの方に勢いがありました。けれどもそれが片方だけでいいとなると、1年生のM君にとっては、負担が軽くなり、集中しやすくなります。そしてM君は「とやまのかすみ」や「うしとみしよそ」などの札を、「と」や「う」と、最初の1字目で判別するようにもなっていました。枚数が10枚を切ってくると、この手は有効です。

一方、Rちゃんは「自分の陣地の札が何かをおぼえておいて、『それがない!』ということが分かったら、すぐに相手の陣地を見に行けばいい」と言っていました。

 

さてその頃、M君が7枚、Rちゃんが2枚になっていました。

M君の4連取の後、M君の守っていた蝉丸の札をRちゃんが取りました。

M君が3枚、Rちゃんが1枚。

次の札は、M君が取りました。

これで2対1。

Rちゃんが取れば勝ちですが、M君が取れば、同点です。

次は、たしか、「せをはやみ…」か「たかさごの…」だったように思います。

その下の句は、Rちゃんの手元にありました。

「はい!」

というわけで、

Rちゃんの勝ちとなりました。M君、実に惜しかったです!

M君は、「10枚ぐらいになってから、どんどん取れるようになった時があって、それが嬉しかった~」とも言っていました。

 

残り時間が10分ほどになったので、最後は坊主めくりでしめくくりました。

M君とRちゃんのお家でのルールがそれぞれ異なっていることが面白いと思いました。

M君は、場に没収された札を取れるのは「台付き」で、「姫」は単にもう一枚。蝉丸は「全員の手札を総取り」と言っていました。

また、Rちゃんは、「姫」が場の札を取って、「台付き」は単にもう一枚。蝉丸は「全員が場に没収される」と言っていました。

ちょうど反対の性質になっていました。

そこで、場の札を取るルールはM君の方を、蝉丸はRちゃんの方を採用しました。

私も一緒に混ざって・・・すみません、大人げなく私が勝ちました(笑)。

「つぎはもう片っぽうのルールでしよう!」とM君が提案し、「それがいい!」とRちゃんも了承しました。

 

今回は素話の時間がありませんでしたが、来週は、『うとう鳥のたたり』というお話をしようと思います。