評価

山下です。

今朝、小学、中学の全国試験の結果についての論評が新聞に出ていました。評価の仕方は多様であるべきです。同じ点数であっても、A君は前回60点だったのが、今回70点、B君は前回80点で今回70点ということもあるでしょう。

一回の試験で、出てきた数字の上下を競い合ってもあまり意味はない。いつも言うことですが、理論上平均が100点になるのが理想というような教育の目標設定は前提がおかしいです。100点満点から減点していくやりかたで自分の位置を知るというのは、評価の一つの方法に過ぎない。

100点取って文句はないのですが、天狗になるのはどうかと思う。100点の先にあるものを先生は常々指し示さないといけない。

大学が学問をする場所である限り、数字で評価できない価値をめぐって切磋琢磨しないといけないはず。満点主義の勉強しか知らないと、大学にはいって困惑するだけです。本人も困るし、教える先生も困るでしょう。

時効になりますが、以前京大で教えていたとき、毎回授業終了後に質問に来る学生がいた。何を聞くかと言えば、きまって「試験範囲はどこですか?」と尋ねるのです。私が授業で語った内容をしっかり聞いていれば、間違ってもそんな質問はしないはずなのに、本当に毎回やる気をくじかれ、悲しかった。受験勉強のしすぎなのだと思う。

ともあれ、個人が、家庭が、また学校の先生が、数字のトリックに騙されないように気をつけるしかない、と思います。

今日嬉しかったのは、高校生がメールでラテン語の質問をしてきたことで、参考になる本や勉強法などについて教えました。試験に何のやくにも立たないことに夢中になれる姿勢(娯楽に流れるのではなく、あくまで勉強を「遊ぶ」姿勢)は心から応援したいと思います。