5/27 ことば高学年(作文)

高木です。

 「自転する男」という短編小説について先週議論した内容を、今日作文してもらおうと思っていたのですが、K君と顔をあわせてみると、「家で書いてきた」と言うのです。K君の積極的な意欲に嬉しく思います。今日は、その作文を発表してもらうところから、クラスを始めることができました。

 全体として、非常に興味深い文章でした。自分の言いたいことが鮮明に打ち出されているからです。もちろん作文技術として確認すべき点はいくつかありましたが、それをふまえて、K君の文章をより面白いものに発展させるためにはどのようにすればいいか、という方向で、クラスを進めることができました。

 自転することで、相手の女性に「あなたは僕の太陽だ」と伝えた青年には、たしかにロマンティックに過ぎるところがありました。それが原因で彼女に「ふん」と振られてしまったのかもしれませんが、しかしK君は、こうした、言葉で愛を伝えられない青年の、哀しい、でも切実な思いに、心を打たれたようです。
 「でも、僕のこういう気持ちを、家で作文したときには、どうやって文章にすればいいか、わかりませんでした」と言うK君と、「じゃあ文章にしてみよう」とそれを一緒に考え、そして言葉にできたときには、「おお、そうか!」という声があがりました。

 また、作文の最後の段落で、「ふん」と言われた青年が彼女の家に突進していった「その後、どうなったか私は知らない」という「自転する男」の結末の、その続きを、K君は独自に想像し、創造してくれていました。いつもなら彼女の家には父親が居るのだけれど、青年が入っていった時には偶然にも父親は外出していて、青年は家に入ることができ、彼女に面と向って愛の告白をすることができた。しかしそれでも振られてしまった、という、人形劇のような悲哀と滑稽さを持った文章でした。
 K君の着眼の面白さは、彼女の父親という新しい登場人物を設定したこと、そしてその父親が外出した理由にありました。「彼女のお父さんはたばこを買いに出たんです。『自転する男』の一行目で、岡崎弘明さん(作者=語り手)が『煙草を買いに夜ふけの町に出』たように」。結末の続きが冒頭に還る。もし自転する男を端から見ていたのが彼女の父親だとすれば、どうなるでしょうか。さらに続きを書きたくなるような、そんなK君の文章でした。