9/9 ことば4年生(A)

高木です。

今週から詩・漢字の取り組みを再開しました。
詩は、基本的な考え方は春学期と変わりませんが、秋学期からは中原中也からすこし離れてみます。
今日は北原白秋の「砂の上の町」を朗読しました。

  夏のさかり場、海のそば。
  いつも子供の町がたつ。

  町は日でりの砂のうえ、
  旗やテントや黄や赤や。

  だれも群れます、およぎます、
  水着、パラソル、うきぶくろ。

  沖に暑いは雲のみね、
  潮はむらさき、いいしぶき、

  だけど浜風、秋の風、
  じきにくずれる砂の町。

  いつもひと夏、海のそば、
  ちさい女王も立ってゆく。

詩の中で夏から秋に変わっていってる、とT君が読んでくれたとおり、この詩には、ちょうど今ごろの時期の、夏とも言えないし秋とも言えない、夏のなかに秋の空気が溶け込んでくるときの、あの独特の気分が、よく表われていると思います。すぐに消えてしまう砂の上の町は、しかし子どもたちの記憶には、いつまでも残り続けることでしょう。

漢字の成り立ちは、夏休み前の最後のクラスではT君のお名前の漢字をとりあげましたが、さらにその前は「『木』の部 ①」でした。今回はその続きということで「『木』の部 ②」です。「板」「柱」「枝」や、そこから派生する「注」「住」「支」「肢」といった漢字の成り立ちを考えました。M君は「肢」のときに、以前学んだ「月(にくづき)」のことをT君に教えてくれていました。
 さて、「つらら」を「氷柱」と書くように、漢字の魅力は熟語にもあります。秋学期からは、成り立ちで知った漢字の意味を、熟語にまで連動させようと思います。たとえば、「注」という字は、「氵(さんずい)」と「主」から成りますが、「主」は火の灯った燭台の形であり、「氵」はこの場合、火を燃やす「油」のことです。「注」は、油を燭台へ注ぐところから「そそぐ」の意味になり、また注ぐ際には両者を近づけることから「つける」の意味になりました。すると、意を「そそぐ」ということ、あるいは気を「つける」ということ、それが「注意」であるということが、一目瞭然となりますね。
 「氷柱(つらら)」や「注連縄(しめなわ)」の例を出したとき、「じゃあ『ジュース』の熟語はないのか」という声が挙がって、みんなで考えてみようということになり、できたのが、「汁」が「甘」い、「汁甘(ジュース)」です。これにはM君もT君も満足のゆく出来だったようです。M君がこのクラスで以前作った漢字、たとえば「足」を「辶(しんにょう)」のように伸ばして、その上に「丸(ボール)」をのせた「サッカー」という漢字を、T君に説明してくれたりもしました。

今日は漢字の取り組みが盛り上がって時間がきてしまったので、予定していた『絵のない絵本』の「第三夜」を読めませんでした。来週は読めるようにしたいと思います。