10/7 ことば高学年(作文)

高木です。

今週からは「道順の説明文」に取り組んでいます。

 「道順の説明文」とは、ある地点からある地点までの道のりを、初めてその土地を訪れた人にもわかるように、言葉で説明するというものです。実際の道案内の場面では、あわせて地図も描いたほうがより正確に伝わるでしょうが、今回はあえて言葉だけで伝えることに挑戦します。「初めてその土地を訪れた人にもわかるように」というところがミソで、そういう人には「住所」を伝えてもわかりませんし、「方位」(東西南北) で示してもわかりません。目印となるようなわかりやすい要素(建物、信号など)を示しながら、いかにしてその人が実際に歩く目線に寄りそうことができるかがポイントとなります。説明文には、読み手の立場への想像力が求められます。それは作文一般でも同じことです。

 今回は、K君が毎日かよっていて比較的思い出しやすい題材として、自宅から学校までの道順を説明してもらうことにしました。
 まずは、K君自身のメモとして、簡単な地図を描いてもらいました。いきなり文章を書き出してもよかったのですが、はじめに頭のなかのイメージを整理しておいたほうがいいだろうと考えたからです。描いてもらうと、かなり精密な地図ができあがりました。おそらくK君にしかわからない、小さいけれど面白い目印や、毎日決まった時間に登校するさいに必ずその場所ですれちがう人のことなども描かれ、それがどのように説明文として表現されるのかが楽しみになりました。
 また、K君の提案で、学校の校門を入ってから自分の教室にたどり着くまでのことも描くことになりました。親しんでいる場所のことを伝えたいと思うことは、無味乾燥になりがちなこうした説明文において、豊かな文章への貴重な動機となります。

 地図を描き終えると、実際に説明文を書きはじめてもらいました。するとK君は、普通は「家を出て」とするであろうところを、「ドアを開けてろうかを歩き、エレベーターで下までおりて……」と書きだします。K君が住むマンションの入口からではなく、実際にはそれよりも前にあるはずの、自分の住む部屋のドアをスタートするところが、K君らしくて良いと思いました。またそれに照らせば、「学校」を目的地とするのではなく、自分が実際にさまざまなことを学ぶ「教室」をゴールとするのも、わかるような気がしました。