ことば1年A

福西です。
第5回から更新が止まっていたので、アップいたします。

<第5回>
かたつぶり そろそろのぼれ 富士の山 一茶

maimai.jpg fuzi.jpg

この日は最初に、上の俳句を暗唱しました。その後で、しりとりマラソンの続きをしました。ホワイトボードに書くときは、「はい!はい!」となる一方で、その中から1つを選ぶときに「これがいい人?」と聞くと、「しーん」となるので、静寂は作り出せるものなのだと改めて認識しました。そのメリハリをぜひ今後の俳句の取り組みでも活かせるようにしたいです。この日はしりとりマラソンに夢中になりました。

<第6回>

この日は、ある文章に「、」をつけて、意味が通る、または別の意味に変えるということをしました。

1 ははははははとわらった
2 すももももももももはもも
3 ごんたとゆうこがいました
4 あおいち
5 あくまのぬいぐるみ

あと、おまけで私が思いついた文章で、「きょうやきゅうでホームランをうとうとおもったけれどうてませんでした」とホワイトボードに書き、私がわざと違うところに「、」をつけて読むと、これが結構ウケて笑ってくれました。

その後で、Yu君が「今日は『しりとりマラソン』ないの?」と聞くので、「うん、今日は…」と口を濁すと、「えー! やりたい、やりたい!」と、他の生徒も大合唱したので、結局続きをすることにしました。おかげで、当初はぜんぜん予想していなかったところまで「マラソン」を進むことができました。

最後の10分は、前の週できなかった「とかげの目貫(めぬき)」という昔話をしました。

menuki1.jpg(目貫)

これは、貧乏な彫り物師が、ある時ふと庭先で虹色のとかげを見るようになります。その形が何ともよかったので、写し取って目貫に仕立てたところ、「それを道具屋にいくつ持っていっても、売れないということはなく」たちまち大金持ちになりました。けれども、冬でもいつでも同じばしょにそのとかげがいるので、最初は何とも思わなかったのが、だんだんと気持ち悪くなってきて、とうとう石をぶつけて殺してしまいます。すると、たちまちとかげの目貫が売れなくなって、またもとの貧乏に戻ってしまったという話です。

この話は結構生徒たちの心に届いたようで、前の聞き耳頭巾のときを思い出して、「それはきっととかげの呪いや。あーあ、ぼくやったらそんなことしいひんのに」と言う生徒もいました。「でも、いつでも見えるのって、怖くない?」とたずねると、「それって幽霊? それもいややなあ…」という反応。また「それは目貫の魂やから、大事にしなあかんかったんちゃうかな。僕やったら聞き耳頭巾のクスノキみたいに、祭って大事にする」という意見も聞けました。

<第7回>

今回は、前回の続きで、以下の文章に「、」と「。」を打ち、「、」は1ぱく、「。」は2はく休んで読んでもらいました。

む か し む か し あ る と こ ろ に お じい さ ん と お ば あ さ ん が す ん で い ま し た お じ い さ ん は や ま へ た き ぎ を き り に お ば あ さ ん は か わ へ せ ん た く に い き ま し た す る と か わ の う え か ら お お き な も も が ど ん ぶ ら こ ど ん ぶ ら こ と な が れ て き ま し た

これが意外と難しかったので、最後は答あわせをしました。その後はまたご要望にお答えして、「しりとりマラソン」の続きをしました。

<第8回>

(    ) ゆらりゆらりと 通りけり 一茶
昼見れば 首筋赤き (    )かな 芭蕉

今回はクイズにしたところ、あっさり解かれてしまいました。「大蛍」と「蛍」が正解です。「どっちも幼稚園でやったことあるー!」と、(実はそれを狙ってですが)得意げに暗唱してくれました。その後で、生徒たちから疎水で蛍を見たことなどの話を聞かせてもらいました。

その日は素話ではなく、絵本の「金の魚」を読みました。絵もきれいで、筋がとても面白いのでお勧めです。ロシアの昔話です。

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海辺のコップに小人の夫婦が住んでいて、ある時夫の方が金の魚を釣り上げます。そして「どうか逃がしてください」というので逃がしてやると、金の魚は、「困ったことがあったら、いつでも私を呼んでください。きっとかなえてあげます」といって海に消えます。そして夫が家に帰ってその話をすると、妻は怒って言います、「どうして願い事をしなかったの。私はこんな家はいやよ。もっと大きな家に住みたいって、金の魚に頼んできて」と。そこで夫はまた海辺に行って魚を呼ぶと、本当にその願いがかなう、という展開です。それを繰り返していって、最後には妻が「神様になりたい」と言い出します。それを頼むと、「それなら、お前たちに一番いいものをやろう。さあ、家に戻って見てきなさい」と金のさかなに言われます。
そして家に帰ると…。

その落ちのつけ方が、実はオリジナルの昔話とは違うようですが、何ともいえないハッピーエンドに終わっています。生徒たちも最後までぐっと引き込まれている様子でした。「なんで最後は、こうなったの?」と素朴な質問をする生徒もいてくれて、「多分、大人になったら、分かるんじゃないかな」と答えました。

ページをめくるたびに、願いがどんどんエスカレートしていって、生徒たちからは「あほやなあ!」という声が聞かれました。最後の感想では、「あーあ、途中でやめておけばよかったのに」とか、「僕やったら、お城のところでとめとく」という意見もありました。そこで「お城に住みたい人?」と手を上げてもらったところ、全員一致で手を上がりました(笑)。