ことば2年生

福西です。

2年生クラスの素話は、ギリシア神話と日本神話とを交互にしています。 

これまでしたものは以下の通りです。

ギリシア神話
・オルペウスとエウリュディケ
・ゼウスとポセイドンとハデス
・プロメテウスの火盗み
・エピメテウスとパンドラ

日本神話・昔話
・イザナギとイザナミ
・スサノオ(とアマテラスとツクヨミ)
・オオクニヌシとスセリヒメ

どちらもところどころ類似性があるので、それで取り上げてみました。ギリシア神話のほうは、書き出すときりが無いので、ここではまず日本神話の方を書いておこうと思います。

「イザナギとイザナミ」
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 オルペウスとエウリュディケの話と似て、イザナギもまた、火の神を生んだ時に死んでしまったイザナミを、あの世から連れ戻そうとします。けれども日本の場合はオルペウスとは逆で、イザナミの変わり果てた姿(腐って蛆が湧いている)を見て、恐怖のあまり逃げ帰ってくるという結末です。
 その追手の鬼たちを振り切る際に、イザナギが櫛を投げるとタケノコに変じたり、桃を投げて、それを鬼が食べる間の時間稼ぎにしたりと、「三枚のお札」の要素が、生徒たちには受けました。最後は、千曳の石のところで、イザナミが「地上の人間を千人死なせよう」と言い、イザナギが「それなら私は千五百人生もう」と言ったという、オルペウスの話とはまた違った悲しい結末です。
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(あの世でイザナギを救ったとされる脇役)

「スサノオ」
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イザナギがあの世から帰ってきて最初に顔を洗った時、それぞれの目からアマテラスとツクヨミが、鼻からはスサノオが生まれます。そしてイザナギがこの三人の神に天と海と夜を治めるように決めたところ、スサノオだけは父の意に反して、母のイザナミを慕ってあの世へ行こうとします。それからもアマテラスとトラブルがあって、スサノオは天界から追放されます。しかし地上を放浪している際にヤマタノオロチのことを聞きつけ、それを退治します。その時、スサノオが「8つの大きな水がめとありったけの酒を用意してくれ」と頼みます。

さて、それは何に使うのか生徒たちにたずねたところ、Yu君がすぐにピンときて、「分かった! 水がめに酒を入れて、ヤマタノオロチに飲ますためや! おろちの首も8つ、かめも8つ。だからや!」と言ったので、「あー、そうか!」とみんな相槌。さて、倒したオロチの尾からは、天叢雲剣が手に入り、また助けたクシナダヒメを妻にしたという、ヒーロー譚でした。

「オオクニヌシとスセリヒメ」

その後、スサノオはイザナミを慕ってあの世に下り、そこの王となります。そしてクシナダとの間に、スセリヒメという娘が生まれます。そのスセリヒメに、故あってあの世にやって来た若者(オオクニヌシ)が一目ぼれします。スサノオは、あの手この手でオオクニヌシを亡き者にしようとします。
 一つ目の策略は、毒ぐも毒へびのうじゃうじゃいる場所に寝床を敷きます。これはスセリヒメが身を案じてくれた毒よけの軟膏で回避します。
 二つ目は、オオクニヌシを枯れ野に連れ出し、矢を放ってそれを取りに行かせます。そして矢のある場所を中心に周りから火を放ちます。これもスセリヒメの入れ知恵で、穴を掘って火をやり過ごします。
 最後は、親子の慣わしとして、頭のしらみを取ってくれと頼みます。スサノオの頭にうっかり手を入れるとそこにはムカデがうようよしています。それを1匹ずつ取らなくてはいけません。生徒たちに聞くと、これが一番いやな試練だと言うことでした。そこでもまたスセリヒメが、オオクニヌシに赤土の塊を渡します。それを口でかんでは捨て、むかでを取っているように見せかけて難を逃れます。
 こうしてスサノオも、ついにはオオクニヌシの勇気を認め(実際にはスセリヒメの知恵があったわけですが)二人の結婚を許します。

 今学期も回が残り少ないですが、このようにほかにも海彦山彦、因幡の白兎といった古事記の有名どころを、ギリシア神話と並んで案内していければと思います。