1001 英語読書会

浅野です。

英語読書会の第17回です。当面のところのフルメンバーが揃ったのは数回ぶりかもしれません。範囲はp.107, l.1~p.115, l.11まで進みました。

ハリーはスリザリンとの魔法薬の授業が苦痛でした。ダッドリー以上にマルフォイが嫌いなようです。なんと楽しみにしていた飛行の授業もマルフォイがいるスリザリンと合同で行われるようです。

ほうきを使って空を飛ぶことについては、魔法使い家庭出身の生徒たちはみな一家言あるみたいです。例えばロンはこのような感じです。

Even Ron would tell anyone who’d listen about the time he’d almost hit a hang-glider on Charlie’s old broom.

ロンでさえ、話を聞いてくれる人になら、チャーリーの古いほうきに乗っていてハンググラーダーとぶつかりそうになったときのことを話したものだ。

“almost hit a hang-glider”なので「ハンググライダーにほとんどぶつかった」つまり「ハンググライダーとぶつかりそうになった」のです。”on Charlie’s old broom”は、ほうきの上にハンググライダーが乗っているのはおかしいので、動詞を修飾するとみなします。

魔法使いの人たちはほうきに乗ってクィディッチというゲームをするのですが、それは人間界のサッカーのようなものです。ロンは人間界から来たディーンが好きなサッカーのことをばかにします。ちなみにディーンが好きなチームはWest Hamで、ウェストハム・ユナイテッドFC(Wikipedia)によると、下町の労働者階層が支えるチームのようです。

ネヴィルとハーマイオニーはそれぞれ飛行については神経質になっています。そこでハーマイオニーが本から得た知識をみなに講義し、ネヴィルがそれを熱心に聞くという光景が見られました。

Neville was hanging on to her every word, desperate for anything that might help him hang on his broomstick later, …

“hang on ~”という語は通例「~にしがみつく」という意味で用いられますが、ここではネヴィルが「ほうきにしがみつく」ために「ハーマイオニーの言葉にしがみつく」のです。

そのネヴィルにはおばあさんから「思い出し玉」が届けられます。それが何であるかはよくわかりませんが、マルフォイがそれを取り上げてしまいます。しかし大事に至る前にマクゴナガル先生が来ました。

Professor McGonagall, who could spot trouble quicker than any teacher in the school, was there in a flash.

学校中でどの先生よりも早く揉め事を発見することのできるマクゴナガル先生があっという間にそこにいたのだ。

関係代名詞の”who”の前にコンマがありますが、この場合このコンマがないと不自然です。コンマがなければ学校にはマクゴナガルという先生が複数いて、そこにいたのはトラブルを素早く見つけることのできるマクゴナガル先生だったということになります。というわけで基本的に固有名詞にはコンマ付きの関係代名詞しか続きません。

そうこうしている間に最初の飛行訓練の時間を迎えます。

The Slytherins were already there, and so were twenty broomsticks lying in neat lines on the ground.

さてこの20本のほうきはスリザリンの生徒だけのものか、それともグリフィンドールの生徒の分も合わせたものでしょうか。やはり文脈からすると前者でしょう。ということは一つの寮でだいたい20人ということですね。

ほうきは言うことを素直に聞かなかったり、乗る人の恐れを感知したりするみたいなので、人間の世界で言うところの馬みたいです。ハリーはそうしたことを見抜き、うまくほうきを制御します。

他方でネヴィルは恐怖感からほうきが暴走してしまい、吹き飛ばされて手首を折ってしまいました。先生はみなにそのままいるように言いつけ、ネヴィルを保健室に連れて行きます。

ここぞとばかりマルフォイが悪態をつきます。ネヴィルの思い出し玉を木の上に載せようとします。

ところでネヴィルの姓は”Longbottom”です。直訳すると「長い底」ですし、”bottom”には「最下位、びり」という意味もあります。失礼ながらこの名前からもネヴィルのどんくささを感じることができます。

それはさておき、いたずらをするマルフォイをハリーはほうきにのって追いかけます。不思議なことにハリーはどうすればほうきに乗れるかわかったようです。空中でマルフォイと対峙したハリーはこう言います。

No Crabbe and Goyle up here to save your neck, Malfoy

ここにはお前を助けるクラッベもゴイルもいないからな、マルフォイ

といったところでしょうか。これは悪役が吐くセリフのように思えて仕方ありません。魔法学校に来てからのハリーはどうにも強気です。もっともそれくらいのほうがハリーに親しみを覚えるということはあります。

恐れをなしたマルフォイは思い出し玉を放り投げます。そしてハリーはほうきでそれを追いかけます。…間一髪、地上すれすれのところでその玉を受け止めました。

とその瞬間、マクゴナガル先生に名前を呼ばれます。言いつけを破ったハリーはこのまま学校を追放でしょうか。それともハグリッドの弟子になってロンたちが魔法使いになるのを指をくわえて見ていることになるのでしょうか。

ハリーはマクゴナガル先生について来いと言われます。先生は途中で「ウッド」を借りると言ったので、叩かれるのではないかとハリーはさらに不安になります。しかしウッドは人の名前であることが判明しました。事情の飲み込めないハリーでしたが、なんとクィディッチのシーカーというポジションにスカウトされたのです!このシーンの起伏が読んでいてたまりません。

ハリーは夕食時にそのことをロンに言いますが、信じられないといった様子でした。そこにまたもマルフォイがからみに来ます。そしてハリーはこう言います。

You’re a lot braver now you’re back on the ground and you’ve got your little friends with you

ここでも決して背の低くないクラッベとゴイルを”little friends”と言っているところからしてハリーは強気です。

マルフォイも負けていません。ハリーに真夜中の決闘を申し込みました。ここで決闘というのがいかにも西洋風です。ロンはハリーのセコンドを引き受けるといってやる気満々です。セコンドとはロンによると、本人が死んだときに引き継ぐ(take over)ことだそうです。物騒な話ですが、ハリーやマルフォイにできるのはせいぜいが火花を散らすことくらいなので一安心です。

今度はハーマイオニが話しかけてきます。今の決闘の話を聞いていて、それを止めようとしたのです。それでもハリーとロンはハーマイオニを突っぱねて食事の場面は終わりです。

次回は10月15日(金)の18:40からを予定しています。