0709 英語読書会

浅野です。

英語読書会の第12回です。範囲はp.64, l.21~p.73, l.11まで進みました。

ハリーは魔法学校へ行くための準備として、最後に杖を買おうとしているところでした。その店の主のオリヴァンダーは見るからに職人気質の人です。最初に試した杖はハリーに合わないようでした。そして二本目の杖を試してみます。

Harry tried — but he had hardly raised the wand when it, too, was snatched back by Mr Ollivander.

そう、二本目も駄目だということで、オリヴァンダーにすぐ取り返されてしまいます。ここの部分を直訳すると、「ハリーは試してみた――しかしその二本目の杖もオリヴァンダーさんによって取り返されたときには、ハリーはほとんど杖を振り上げていなかった」となります。”hardly”は「ほとんど~ない」という弱い否定語です。

そうしてあれでもない、これでもないと試してみた杖が床に積み重なっていきますが、オリヴァンダーは楽しげです。とうとうハリーにぴったりの杖を見つけますが、オリヴァンダーは不思議そうです。

It so happens that the phoenix whose tail feather is in your wand, gave another feather — just one other.

that節だけを訳すと「その尾羽があなたの杖にある不死鳥は別の羽を提供した――たった一つだけ」です。”It happens that…”は「偶然にも…」という意味なので、「その尾羽があなたの杖にある不死鳥は別の羽を提供した――たった一つだけ――ということは大いなる偶然である」という意味です。その一つというのがハリーに傷を負わせた杖だったから不思議な運命だと感じられたわけです。

ともかくこうして杖を買うことのできた二人は帰路につきます。行きとは打って変わってハリーは静かです。みんなが自分のことを特別だというけれど、魔法のことを何も知らないし不安なようです。そんなハリーにハグリッドはこう言います。

Yeh’ve been singled out, an’ that’s always hard. But yeh’ll have a great time at Hogwarts — I did — still do, ‘smatter of fact.

出版されている日本語訳も載せておきます。

おまえさんは選ばれたんだ。大変なことだ。だがな、ホグワーツは楽しい。俺も楽しかった。今も実は楽しいよ。

英語を読んで受ける印象とだいぶ異なるように感じます。うまく説明できませんが、英語の原文だとこの箇所に気合が入っているように受け取れますが、日本語でそれを表現するのは困難です。

そしてハリーはハグリッドと別れます。

Harry wanted to watch Hagrid until he was out of sight; he rose in his seat and pressed his nose against the window, but he blinked and Hagrid had gone.

ここでは最後の”Hagrid had gone”の部分で疑問が生じました。ハグリッドは魔法を使うなり、自分の足で歩くなりして立ち去ったのだとしたらちょっと冷たいです。しかし”had gone”の部分は「(意識的に)行く」のではなく、「(姿が)消える」とも解釈できます。

こうしてハリーは人間界に戻ります。ここから6章の”The Journey from Platform Nine and Three-Quarters”です。英語圏の人は”quarter”が好きですね。

ダーズリー家の人たちはハリーと関わらないようにするようになりました。

Although this was an improvement in may ways, it did become a bit depressing after a while.

「このことは多くの面で改善ではあったが、しばらくするとそれは実際少し憂鬱なものになった」わけです。やはりいないものとして扱われるのは嫌なものです。

It was lucky that Aunt Petunia didn’t come in to hoover any more, because Hedwig kept bringing back dead mice.

ここでは”because….”がどこにかかるのか解釈が分かれました。「ヘドウィッグが死んだネズミを持ってき続けるからペチュニアおばさんが掃除機をかけにやってこなくなった」のか、「ヘドウィッグが死んだネズミを持ってき続けるから、ペチュニアおばさんが掃除機をかけにやってこなくなったことが幸運だった」のかの二択です。コンマがあると基本的にそこで文が切れるので、後者の解釈がよいでしょう。

そうこうしている間にハリーがホグワーツに出発する日が近づいてきました。ヴァーノンおじさんも、嫌味を言いながらではありますが、ハリーを駅まで送ることに同意してくれました。当日もハリーの荷物を駅まで運んでくれたりします。

Harry thought this was strangely kind until Uncle Vernon stopped dead, facing the platforms with a nasty grin on his face.

“dead”には「死んだ」という文字通りの意味の他に「突然」という強調するような意味もあります。”badly”, “fairly”, “pretty”などにも文字通りの意味の他に強調の意味もあります。直訳すると「ヴァーノンおじさんが意地悪な笑顔を顔に浮かべながらプラットフォームに直面して突然止まるまで、ハリーはおじさんが荷物を運んでくれたりしたことが奇妙なほどに親切だと思った」となります。前から訳し下すと「ハリーはおじさんが荷物を運んでくれたりしたことが奇妙なほどに親切だと思ったが、ついにヴァーノンおじさんはプラットフォームに直面して突然止まり、意地悪な笑顔を顔に浮かべた」となります。

そう、ハリーのチケットに書かれた9と3/4番線なんて見あたらなかったのです。駅員に聞いてもまったくわかりません。それでも落ち着いて周りを見渡すと、同じように魔法学校へ行くであろう一行を見つけます。彼らの様子を見てもどうやっているのかわからなかったので、ハリーは思い切って話し掛けました。9番線と10番線との間の柵に向かって歩いて行くだけでよいそうです。戸惑いながらもそれを実践したハリーは、ぶつかると思った瞬間に目当ての汽車が待っているところへと行くことができました。

ハリーはちょうどさきほど見ていた一行と同じ席に座ることになりました。お調子者の双子のフレッドとジョージです。その兄のペーシー、弟のロンも同じ汽車に乗るようです。彼らの性格や状況が少しずつ明らかになってきたところで今回は時間となりました。

次回は7月23日(金)の18:40からです。