「クゥォー・ファータ・トラフント・レトラフントクゥェ・セクゥァームル」と読みます。
quo は関係副詞で「・・・する方に」と訳せます。
fata は「運命」を意味する第2変化名詞 fatum,-i n. の複数・主格です。
trahunt は「運ぶ」を意味する第3変化動詞 traho,-ere の直説法・能動態・現在、3人称複数で主語は fataです。
retrahunt は「戻す」を意味する第3変化動詞 retraho,-ere の直説法・能動態・現在、3人称複数です。主語はfataです。
sequamur は「従う」を意味する第3変化の形式受動態動詞 sequor,-qui の接続法・現在、1人称複数です。接続法の「意思」を表す表現です。
「運命が(私たちを)運び、連れ戻すところに、われわれは従おう。」と訳せます。

<補足>これは、ウェルギリウスの『アエネーイス』(5.709)に見られる言葉です困難に直面し思案する主人公アエネーアースに向かい、老雄ナウテースが励ますせりふです。「あなたと心はひとつ。運命とも心はひとつ」といった心が感じ取れます。運命をあらわすラテン語に、fata (単数は fatum)とfortuna の二つがあり、後者は女性名詞でもあり、しばしば「運命の女神」と同一視されます。ここでは、中性名詞の fatum が使われているのですが、この言葉のルーツは、「語る」という動詞 for の完了分詞にあります。この叙事詩の中で、この fatum という語を見るなら、fatum とは、ユピテル(ギリシア神話のゼウス)の意思、という読み取りが可能です。

アエネーイス (西洋古典叢書)
ウェルギリウス 岡 道男
4876981264