Non solum fortuna ipsa est caeca sed etiam eos caecos facit quos semper adjuvat.

「ノーン・ソールム・フォルトゥーナ・イプサ・エスト・カエカ・セド・エティアム・エオース・カエコース・ファキト・クォース・セムペル・アドュウァト」と読みます。
non solum A, sed etiam Bの構文は、英語のnot only A but also Bの構文に対応します。
ipsaは強意代名詞ipse(それ自身)の女性・単数・主格です。
caecaは形容詞caecus(盲目な)の女性・単数・主格です。
前半は、「運命はそれ自身盲目であるだけでなく。。。」となります。
指示代名詞eosは、男性・複数・対格です。caecosと性・数・格が一致しています。
facitは動詞facio(=make)の単数・3人称・現在で、「eosをcaecosにする」という意味を与えています。
quosは、関係代名詞、男性・複数・対格です。adjuvat(=help)の目的語になります。
adjuvatはadjuvo(助ける)の単数・3人称・現在で、主語はfortunaです。semperは「常に」という意味です。
後半は、「常に運命が助ける者たちを盲目にする」となります。
訳の全体は、「運命は、それ自身が盲目であるだけでなく、常に助ける者たちを盲目にする。」となります。
運命が盲目であるという指摘はある意味で、月並みです。ポイントは、後半のせりふです。運命がたまたま愛した人間は、幸運を自分の実力と思いこむ、つまり正しい判断を失って、盲目になるというのです。
これはキケローの『友情について』に見られる表現です(cf.Cic.Amic.15.54)。
ホラーティウスは詩の中で、「苦難には、勇気を持って力強く、対処せよ。しかしその一方、賢明になって、あまりに順調な風に対しては、はらんだ帆を畳め」と述べています。