Nihil sine magno vita labore dedit mortalibus.

「ニヒル・シネ・マグノー・ウィータ・ラボーレ・デディト・モルターリブス」と読みます。
主語は vīta(人生)、動詞は dedit(与えた)、直接目的語は nihil (無)、間接目的語は mortālibus (人間たちに)です。
nihilは「無」を意味する不変化名詞、中性・単数・主格です。
sine は奪格を支配する前置詞で、「~なしに」の意味を持ちます。ここでは、magnō…labōre と一緒になって「大きな苦労なしに」となります。
magnōは「大きな」を意味する第1・第2変化形容詞magnus,-a,-umの男性・単数・奪格です。
vītaは「人生」を意味する第1変化名詞、単数・主格です。
labōreは「苦労」を意味する第3変化名詞laborの単数・奪格です。
deditは「与える」を意味する不規則動詞dōの直説法・能動態・完了、3人称単数です。
mortālibusは「人間」を意味する第3変化名詞mortālis,-isの複数・与格です。
「人生は人間たちに大きな苦労なしに何も与えない」という意味になります。
laborを「努力」とし、「人生は大きな努力なしに何も人間に与えない」と訳すことも可能です。
時制は「完了」ですが、一般的真理を述べる表現と見なせます(「格言的完了」)。
ホラーティウスの『風刺詩』に見られる表現です(sermones 1.9.59-60)。

ラテン文学を読む――ウェルギリウスとホラーティウス (岩波セミナーブックス S14)
逸身 喜一郎
4000281844