分詞(現在分詞、完了分詞、目的分詞、未来分詞)

2015年12月30日

ラテン語の分詞を時称に即して大別すると、現在分詞、完了分詞、未来分詞の3つに分かれます。このうち完了分詞から派生した目的分詞にも注意する必要があります。

現在分詞

現在分詞は、現在幹に-nsを加えて作ります。第3変化形容詞(i幹形容詞)の変化をします。

Tacens vocem verbaque vultus habet. Ov.A.A.1.574
沈黙した顔は声と言葉を持つ。

Fumum fugiens in ignem incidit.
彼は煙を避けて火の中に落ちる。

完了分詞

英語の過去分詞と同じく、「~された(状態の)」を意味します。
Alea jacta est.
賽は投げられた。

目的分詞

目的分詞の用例は中性・単数の対格と奪格に限られます。対格は動詞の基本形として辞書に記載される形(amōであればamātumの形)で、移動を表す動詞とともに用いられ、その目的を表します。奪格形は対格の語尾-umが-ūに変わります。主に形容詞とともに用いられ、「~することにおいて」を意味します。

Salutatum venit.
「サルータートゥム・ウェーニト」と読みます。
salutatumは「挨拶する」を意味する第1変化動詞salutoの目的分詞(対格)です。
venitは「来る」を意味する第4変化動詞venioの直説法・能動態・完了、3人称単数です。
「彼は挨拶するために来た」と訳せます。

Haedui legatos ad Caesarem mittunt auxilium rogatum.
「ハエドゥイー・レーガートース・アド・カエサレム・ミットゥント・アウクシリウム・ロガートゥム」と読みます。
legatosは「使者」を意味する第2変化名詞legatusの複数・対格です。
mittuntは「送る」を意味する第3変化動詞mittoの直説法・能動態・現在、3人称複数です。
auxiliumは「援助」を意味する第2変化名詞auxiliumの単数・対格です。
rogatumは「乞い求める」を意味する第1変化動詞rogoの目的分詞(対格)です。
「ハエドゥイー族は援助を乞うためカエサルに使者を送る」と訳せます。
カエサルの『ガリア戦記』に見られる表現です(Caes.B.G.1.11)。

Libertatis restitutae dulce auditu nomen mutavit eorum animos.
「リーベルターティス・レスティトゥータエ・ドゥルケ・アウディトゥー・ノーメン・ムーターウィト・エオールム・アニモース」と読みます。
libertatisは「自由」を意味する第3変化名詞libertasの単数・属格です。
restitutaeは「取り戻す」を意味する第3変化動詞restituoの完了分詞、女性・単数・属格です。libertatisにかかります。
dulceは「心地よい」を意味する第3変化形容詞dulcis,-eの中性・単数・主格です。nomenにかかります。
audituは「聞く」を意味する第4変化動詞audioの目的分詞(奪格)です。「聞くに(おいて)」を意味します。
nomenは「名称」を意味する第3変化名詞、単数・主格です。
mutavitは「変える」を意味する第1変化動詞mutoの直説法・能動態・完了、3人称単数です。
eorumは「それ」を意味する指示代名詞isの男性・複数・属格です。この文では3人称の人称代名詞の代わりに用いられています。「彼らの」と訳します。
animosは「心」を意味する第2変化名詞animusの複数・対格です。
「聞くに心地よい「取り戻された自由」という名称は彼らの心を変えた」と訳せます。
リーウィウスの『ローマ建国以来の歴史』に見られる表現です(Liv.24.21)。

未来分詞

未来分詞は完了分詞の語幹に-ūrus,-a,-umをつけて作ります。amōの未来分詞amātūrus,-a,-um(愛そうとしている)はbonus,-a,-um(よい)のように変化します。また、能動態・未来の不定法は、未来分詞+esseです。

Spero te id facturum esse.
「スペーロー・テー・イド・ファクトゥールム・エッセ」と読みます。
speroは「期待する」を意味する第1変化動詞speroの直説法・能動態・現在、1人称単数です。
teは2人称の人称代名詞、単数・対格です。この対格は続く不定法句の意味上の主語です。
idは「それ」を意味する指示代名詞isの中性・単数・対格です。
facturumは「行う、なす」を意味する第3変化B動詞facioの未来分詞、男性・単数・対格です。 この未来分詞が次のesseとともに用いられると不定法・能動態・未来を表します。
「私はあなたがそれをなすだろうと期待している」と訳せます。

Credebas dormienti haec tibi confecturos deos?
「クレーデーバース・ドルミエンティー・ハエク・ティビ・コンフェ句トゥーロース・デオース」と読みます。
「おまえは信じていたのか、眠っているお前のために、これらのことを神々が成し遂げてくれるなどと」と訳せます。
テレンティウスの『兄弟』に見られる表現です(Ter.Ad.693)。

Galli ad Clusium venerunt legionem Romanam castraque oppugnaturi.
「ガッリー・アド・クルーシウム・ウl-ネールント・レギオーネム・ローマーナム・カストラクゥェ・オップグナートゥーリー」と読みます。
「ガッリー族はローマの軍団と陣営を攻撃しようとして、クルーシウムにやってきた」と訳せます。
リーウィウスの『ローマ建国以来の歴史』に見られる表現です(Liv.10.26)。