もたず、求めず、気をもまず

2019年1月21日

Nec habeo nec careo nec curo. もたず、求めず、気をもまず

英国の詩人の座右の銘として知られますが、

三つの否定文による格言としては、日本語にも「見ざる、聞かざる、言わざる」などがあります。日本語同様、このラテン文も語調がよいです。必要以上にものを「所有しない」(ネク・ハベオー)けれども「不足を感じることはない」(ネク・カレオー)。その結果「気をもむこともない」(ネク・クーロー)。この考え方は、成熟期に入った今の日本社会にフィットする価値観のように思われます。所有しないことは貧しさではなく、精神的な豊かさを意味するのだ、という逆説を見事に表現したラテン語と言えます。

人間の欲望、いわゆる物欲を抑制することで様々な気苦労から解放されるという考えは、セネカやホラーティウスをはじめヨーロッパの古典作品にしばしば認められますが、同時にそれは古今東西変わらぬ真理のように思われます。

古くは快楽主義者エピクーロスの哲学にこの考えの原型を見出すことが出来そうです。