ヤーヌス像。来し方行く末を見つめる目。

前回の課題と学生の答案

ウェルギリウスは『農耕詩』において、「個」に光を当てた(「イタリア賛歌」、「オルペウスとエウリュディケ」等)。

あわせて、「共同体の一人としていかに生きるか」について、示唆を与えている(「ユピテルの意思」、「内乱」、「農耕賛歌」、「ミツバチ社会」等)。

社会と個人のかかわり。pius(敬虔)であること。pietas(敬神、孝心、絆)について。

(参考)「人間は社会的動物である」(「人間は社会をつくる動物である」)(アリストテレスによる人間の再定義)。

エピクーロス哲学のアタラクシア(心の平静)とpietasの比較。ウェルギリウスはエピキュリアン(ルクレーティウス他)をpiusとみなしたか、どうか。

人として取り組む課題に力を尽くすこと。virtus(勇気)について。

困難にチャレンジする勇気。エピクーロス哲学とvirtusの関係について。

exemplum(模倣すべき手本)として、「農耕賛歌」の農夫(『農耕詩』)、ars(技術)を発見し人類に貢献する者(『農耕詩』、『アエネーイス』)。cf.「ノーベル賞のメダルのラテン語」

キケローの「スキーピオーの夢」において、死後天に召される者の条件が示されている。

quod doctī hominēs nervīs imitātī atque cantibus, aperuērunt sibi reditum in hunc locum, sīcut aliī quī praestantibus ingeniīs in vītā hūmānā dīvīna studia coluērunt. (18)
学者(※)はこの天界の音楽を弦や歌曲によって模写し、この場所へのおのれの帰還の道を開いたが、それはちょうど、生ある限り卓越した才能によって神のような研鑽を積んだほかの人々の場合と同じであった。

※ギリシアの学者ピュータゴラース(582頃-496頃)は弦の長さと音色との関係性を発見した。

Hanc tū exerce in optimīs rēbus! Sunt autem optimae cūrae dē salūte patriae, quibus agitātus et exercitātus animus vēlōcius in hanc sēdem et domum suam pervolābit, (29)
この魂の力をおまえは最善の仕事において発揮せよ。そして、その最善の仕事とは祖国の安全への配慮である。それによって駆り立てられ鍛えられた魂は、よりすみやかにこの自己の住居と家(※)へ飛来するだろう。

※天界の聖域のこと。

アエネーイスにおける人間の理想像

主人公アエネーアースはvirtusとpietasを備えた英雄として描かれる。
だが、virtusとpietasは常に両立するか。メーゼンティウス、トゥルヌスの殺害の場面など。

(参考)

アインシュタインのエッセイより。
>>「聖なる好奇心

The important thing is not to stop questioning. Curiosity has its own reason for existence. One cannot help but be in awe when he contemplates the mysteries of eternity, of life, of the marvelous structure of reality. It is enough if one tries merely to comprehend a little of this mystery every day. Never lose a holy curiosity. Try not to become a man of success, but rather try to become a man of value. He is considered successful in our day who gets more out of life than he puts in. But a man of value will give more than he receives.— Albert Einstein

感想。(1)a man of successか (2)a man of valueか、という二者択一で考える必要はない。(1)virtusと(2)pietasの関係がそうであるように、両立は可能である。