お山の絵本通信vol.163

──なつかしい絵本と先生のこえ──

『なんでもできる!?』

五味太郎/文・絵、偕成社2017年

この絵本はユーモラスで登場人物同士の掛け合いがとても面白いお話です。

男の子が馬に向かって「きょうはあたまのうえにのりたいな、いい?」と言います。馬は「あたまのうえ? ま、やってみよう」と答えます。

それからも「うんいいね! でももうすこしたかくなれるかな?」などと少しずつ男の子の提案が大きくなっていく中でさすがの馬も「むり」と言ったり、困った表情になりますが、まあやってみようと馬はどんなことにも答えようとします。読んでいる方もさすがにそれは無茶でしょうと思うようなことでも「やれた、やれた!! ほんとうにやれた!!」と出来るようになっていきます。

そして最後は反対に馬から男の子に向かって「ひとにうまがのるってのはどうかな?」と言い出します。それに対して「むりむり!」と言う男の子でしたが…。

ある日ひみつの森へ遊びに行った際に木登りをしようとしていた子がいました。しかしその子の表情は少し暗く、どうしたのかと聞いてみると「絶対無理!」と言っています。途中まで登っていくことは出来ていたのですが、高さを見て少し恐さを感じて諦めそうになっていたのです。その子の目の前には先をどんどん登っていく他のお友達の姿があり、羨ましそうに見ながらもう一歩が出せない様子でした。私も傍に行き「大丈夫。行ってみよう。」と声を掛けましたが、なかなかそこから進むことが出来ないでいました。そうお話をしているうちに後ろからもお友達がやって来てそのお友達からは「頑張れ!」という声が…。それからしばらく時間は掛かりましたが周りに背中を押してもらいながら自分の力で、一番高い所まで登り切ることが出来ました。その後は「もう一回行ってくる!」と力強く言い、再度登っていく姿と満面の笑みがとても印象的で心に残っています。

また最近では鉄棒で前回りが出来るよと見せてくれた子がいました。見せてもらった後その子に「逆上がりもやってみる?」と声を掛けてみました。するとしばらく何も言わずじっとしたまま…。その日は逆上がりに取り組む姿はありませんでした。私自身、声を掛けたことがどうだったのかなと心配になりました。しかし翌日「逆上がり!」と言ってその子が鉄棒に駆け寄り足を一生懸命に上げて取り組んでいる姿が見えました。現在、園庭へ出ると「先生、逆上がりしたい!」と言って積極的に何度も何度も挑戦しています。その様子を見て「私も!」と同じようにどんどん挑戦する子ども達が増えてきています。“逆上がり出来た”まであと少し!これからも応援していきたいと思っています。

どちらの出来事もその子達自身で「やってみようかな。いや、今日はむりかも。」などとさまざまな思いをしながら葛藤がありました。しかし“よしやってみよう”と自分で決めて行ったことがとても素晴らしいと思います。子ども達が果敢に挑戦しようと頑張る姿、出来たと嬉しそうに報告する姿を見て改めてそんな子ども達に向けてこの絵本をぜひ読みたいと思っています。

これからも沢山の“出来た”が感じられるよう、どんなことにも挑戦しようとする気持ちを持ってほしいと思います。またその気持ちを私自身はいつまでも伝えられる存在でありたいです。


 文章/Asami先生