お山の絵本通信vol.126

──なつかしい絵本と先生のこえ──

『なつのいけ』

塩野米松/文、村上康成/絵、ひかりのくに2002年

私が紹介するのは『なつのいけ』という絵本です。これからの夏休みにぜひ読んでもらえたらと思います。

夏のある日。男の子と女の子が野原の池にやってきます。その池の中はメダカ、オオナマズ、アメリカザリガニたちの世界です。そこへ突然男の子の足が入ってきて、メダカが1匹網にすくわれてしまいました。これはすくった男の子から女の子へのプレゼント。でも、池の中にいる魚たちはその事情をすぐにのみ込めません。そのうち水の中では生き物同士の追い駆けっこが始まります。水の上はまぶしい夏。静かな時が流れています。

この絵本は子ども達の目から見た池の様子、生き物の目から見た様子がそれぞれに描かれています。声をひそめて池の中を覗く子ども達と水の中の生き物達の賑やかな様子が対照的に繰り返し出てきます。そしてそれぞれの世界が時々繋がることも・・・。

子ども達の無邪気さと池の静けさが感じられるお話が進んでいく中、それを突然打ち破る出来事(生き物をすくう)や、自然の中の競争(追い駆けっこ)なども起こります。

またこの絵本の魅力の一つとして、とてもまぶしいキラキラとした夏の情景が描かれている点が印象的です。私は夏の季節が一番好きです。それを見ることでとてもわくわくします。そして自然と一緒に育って、真剣に向き合い生きていくことの大切さも感じることが出来ます。

この絵本を読んでいると、私は幼少期の思い出が蘇ってきます。父の職場や親戚の家の近くにザリガニが取れるところ、そこは川でしたが、そこに兄や妹と一緒に虫かご、網を持ってよく遊びに行ったことを思い出します。なかなかとれないこともありましたが、そんな時にはいつも兄が取ってくれ、私と妹に渡してプレゼントしてくれました。そのザリガニとりがとても楽しくて夢中になっていました。

しかし、ふと最近の自分自身を振り返ってみると、故郷へ帰っても幼少期のように頻繁に自然に触れることがなかったことに気づきました。今回この絵本を書くことをきっかけとして故郷での私自身の経験と思い出をもう一度体験したくなりました。この夏、「なつのいけ」のような自然に出掛けてみようと思っています。

文章/Asami先生