お山の絵本通信vol.108

──なつかしい絵本と先生のこえ──

『あおいふうせん』
 ミック・インクペン/作、角野栄子/訳、小学館1990年

「風船」──目にすることも多く、一度は遊んだことがあるものではないでしょうか。私も小さい時、風船が大好きで「割れないかな」などと思いながら耳が痛くなるまで大きくふくらませてみたり、ふくらませた風船を放し飛んでいく様子を楽しんだり、ボールのように上へ高く投げて遊んだ記憶があります。また、風船をたくさん持って鳥のように大空高く飛び、いろいろな所へ行ってみたいなと思ったこともあります。

 
今回ご紹介させて頂く絵本は、そんな願いも叶えてくれるような気分になれる一冊です。

 
話の内容は単純なもので、主人公である男の子の飼っている犬が青い風船を見つけ、その風船が伸びたり、大きくなったり、四角になったりといろいろな形に変化していくというものです。

私は、絵の色づかいから、やわらかい優しい雰囲気が感じられ、とても魅せられました。また、「これはどうなっているのかな?」「次はどうなるのだろう?」とワクワクしながらページをめくることができる楽しい仕掛けにも魅力を感じました。そして「もう1回」と何度も何度もページをめくりたくなり、絵を触りたくなり、私もこんな風船が欲しいなと思うのです。と共にもし、私がこの風船を手に入れたら……と楽しい空想の世界への扉を開けてくれる絵本でもあります。

文章/Tomomi先生