お山の絵本通信vol.58

──なつかしい絵本と先生のこえ──

『ぐりとぐらのかいすいよく』
絵・山脇百合子、文・中川李枝子、福音館書店1977年

[kaisuiyoku

私は、山や田畑など緑がたくさんあるところで生まれ育ちました。幼い頃の夏の思い出といえば、虫探しや川へ遊びに行ったり、滝が流れている涼しい場所へ連れて行ったもらったことです。暑い日には、冷たい水の中へ飛び込むことが大好きで潜ったり、泳いで遊んだことを覚えています。毎年、夏が来るのを楽しみにしていたように思います。当時、5歳の誕生日を迎えプレゼントにもらったものが、この1冊の絵本でした。

この絵本は、のねずみのぐりとぐらのところに手紙が届き、うみぼうずのお仕事を手伝ってあげて、お礼に泳ぎ方を教えてもらうお話です。うみぼうずおよぎとして「いぬかき・くらげおよぎ・くじらおよぎ・バタフライ・ひらめおよぎ・かえるおよぎ・イルカジャンプ」の7つが出てきます。ぐりとぐらが楽しく泳いでいる絵がとても印象的で、この泳ぎ方にすごく興味を持った記憶があります。私は"ぐりぐらおよぎ≠ニ決めて、水の中に潜ったつもりで部屋の畳の上で7つの泳ぎ方を真似して遊んでいました。それから、お風呂の中でやってみたり次にはプールや川で実際に挑戦したこともありました。母や2人の兄に"ぐりぐらおよぎ≠見せてあげることが楽しくて、よく見てもらったことも思い出の1つです。また、この絵本がきっかけで小学生になってからも泳ぎ方に興味を持ち続けました。平泳ぎ・クロール・背泳ぎなどを知って、もっともっと泳ぐ楽しさを見つけることが出来ました。

5歳を迎えてプレゼントでもらった絵本は、12歳までの7年間、私にとってとても大切な1冊となりました。そして、この絵本を見ると当時の楽しかった夏の思い出や、"ぐりぐらおよぎ≠一生懸命に覚えていた頃のことを思い出します。毎年、夏の時期が来ると、読み返してみたくなる懐かしい思い出の絵本です。

文章/Noriko先生