お山の絵本通信vol.56

──なつかしい絵本と先生のこえ──

『マドレーヌのメルシーブック』
ジョン・ベーメルマンス・マルシアーノ/作、江國香織/訳、BL出版2005年

[メルシー

毎日元気いっぱいの子ども達と一緒にすごしていると、「幼稚園に通っていた頃の私はどんな女の子だったのかなあ??」と思う時があります。母に尋ねてみると、いつも返って来る答は…「本当に甘えん坊で、何かあるとよくメエメエ(メソメソではなく!?)泣いていたなあ。」というものでした。

以前絵本だよりで、『たろうのひっこし』の絵本をご紹介した時にも書いたのですが、私は三人兄妹の末っ子です。末っ子ということが関係しているのかいないのか、確かに家族には昔も今もよく甘えているなあ…と母の答えを聞く度に、変わっていない自分に少し恥ずかしくもなるのでした。

そんな私も、両親によく言われていたことがあります。それは、ご挨拶をしっかりすることや感謝の気持ちをきちんと伝えるということでした。特によく覚えているのは、外食をしてお店を出て行く時には「ごちそうさまでした。」、お買い物をした時は「ありがとう。」をお店の人のお顔を見て言うということです。お礼を伝えて、お店の人がにっこり笑ってくれる。それが嬉しくて、自然と身に付いていたように思います。当たり前のことですが、とても大切なことだと思います。

今回ご紹介する『マドレーヌのメルシーブック』は、先生方の中でもファンが多いマドレーヌちゃんの絵本ということで、手にして読みました。この絵本の一文には、「このえほんにはどうすればおぎょうぎよくいいこでいられるかがかいてあります。おぼえておいてほしいのは、それらはぜんぶやさしいこころがもたらしてくれるということ。」とあります。そして、自分の家族や友達・周りにいる人のことをよく考え、思いやりの気持ちを持つ為の大切な言葉が詰まっています。

今度ぜひこの絵本を子ども達と一緒に読み、大切な言葉を伝えて、みんなにも身に付けてもらうきっかけになればと思っています。

そしていつかお母さんになる日がきたら…同じように大切にこの絵本を読みたいなあと思っているところです。

文章/Rumi先生