お山の絵本通信vol.49

──なつかしい絵本と先生のこえ──

『たいへんなひるね』
さとうわきこ/作・絵、福音館1988年

私がこの絵本に出会ったのは、諏訪湖半にある小さい美術館≠ニいう所でした。そこは、絵本などがたくさん置いてあり、もちろんこの絵本の作者であるさとうわきこさん≠フ作品もたくさん目にすることができました。『たいへんなひるね』もその中の一冊でした。

小さい頃からお昼寝≠よくしていて、お昼寝≠ェ大好きだった私は「大変な昼寝ってどういうことだろう?」「お昼寝って大変なものだったかな?」と思わず手に取りました。

このお話は早く外でお昼寝をしたいばばばあちゃんが、なかなかやって来ない春にしびれをきらします。まずはラッパでくま、うさぎ、きつねといった森の動物たちを起こし、その後地面に向かってもラッパを吹いて、ヘビ、モグラ、カエルといったあらゆる森の仲間を起こすばばばあちゃん。そしてみんなで協力して春を呼ぼうとおまじないをかけます。どんなおまじないになるのだろうと、ドキドキワクワクしながらページをめくっていくうちに、空の上のカミナリさんもとんできて、春を呼ぶ大作戦が始まります。

みんなの力が一つになったおかげでやっと春が訪れ、ばばばあちゃんも森の仲間たちも大喜び。森の動物たちは早速みんなで縄跳びをしたり…と大騒ぎ。ところが、ばばばあちゃんはやっと春が来たとハンモックでひと眠り。その後みんなも春の風に誘われてひと眠り──で話が終わり、読み手がこの後はみんなでお花見をしたのかな? などと考える余韻も残されているように感じました。

このお話は、冬から春でしたが、今なかなかやって来ない秋≠ノ対してばばばあちゃんや森の仲間たちと同じようにおまじないをかけて、みんなで秋≠呼びたいものです。

文章/Tomomi先生