お山の絵本通信vol.31

──なつかしい絵本と先生のこえ──

『おむすびころりん』
文/与田準一、絵/渡辺三郎、偕成社1967年


幼い頃、兄からおさがりの絵本をたくさんもらいました。その中から、母がよく昔話の読みきかせをしてくれて大好きになり、お気に入りとなった絵本です。

おじいさんが、たきぎ拾いに山へ出かけます。そこでお昼のお弁当を食べようとしますが、おにぎりが転がってしまい穴の中へ…。すると、穴の中から不思議な歌声がきこえてきます。「おむすび ころりん すっとんとん」歌に誘われて、おじいさんも穴の中へ入っていき、ねずみの国へ行くお話です。また、2人のおじいさんが登場し、やさしいおじいさんと、いじわるおじいさんが描かれているお話でもあります。

私は、不思議な歌声がねずみであった所や、穴の中は、ねずみの国でおじいさんを出迎えてくれた場面が大好きでした。母は、ねずみの歌声にリズムを付けて読んでくれました。私は、とてもおもしろくて何度も何度も読んでとお願いをしたことを覚えています。当時4歳だった私は字が読めず、絵とその場面のお話を覚えるくらいまで読んでもらったように思います。覚えてしまうと自分も"お兄ちゃんみたいに字が読める"という気持ちになってとても楽しい気持ちでいっぱいでした。

また、この絵本がきっかけで、字を1つずつ覚えて絵本をたくさん読みたいという気持ちも芽生えました。自分の力でゆっくりとではありましたが、全部読めるようになった時は本当に嬉しくて、嬉しくて、何度も読み返して大喜びをしたことが心に残っています。嬉しさのあまり、家族1人ひとりに読んで聞いてもらった思い出も残っています。

昔話は、絵本によっても地域によってもお話が少し違いますが、温かい気持ちや悲しい気持ち、楽しい気持ちにさせてくれて、心に伝わってくるものがたくさんあると思います。子どもたちにも、心に伝わってくる絵本にたくさん出会って、大好きでこの1冊はお気に入り!! という心に残るものを見つけてほしいと思います。

文章/Noriko先生