お山の絵本通信vol.18

──なつかしい絵本と先生のこえ──

『おしいれのぼうけん』
文/古田足日、絵/田畑精一、童心社1974年

数年前、この絵本の題名を見た時「あっ! 私もよく入って遊んでいたなぁ〜」と思い出がどんどん蘇り、ワクワクしたことを今でも覚えています。その思い出を胸に、やっと読むことができた『おしいれのぼうけん』。

この保育園にはみんなの怖いものが2つあり、1つは「押し入れ」。もう1つは「ねずみばあさん」です。

元気な保育園児のさとしとあきらが先生に押し入れに入れられてしまったところから、押し入れがどんどん夢の世界に早変わり! 2人の力を合わせた冒険が始まります。長いお話なので少しずつしか読むことができず、毎日「きょうはよめる?!」と絵本の時間を楽しみにしている子どもたちの目は、いつもキラキラと輝いていました。

じっと真剣に魅入っている子どもたちに、「今日はここまでにしようか」と言うと、すぐさま「次はどうなるの?」と聞いてくれます。そしてある日、「どんだけよめた?」ともうすぐ読み終えることの喜びから聞いてくれた子どもたち。その言葉に、みんなと読んできた嬉しさが込み上げてくると同時に、ちょっと淋しい気持ちにもなってしまいました…。

そして読み終えた瞬間の大喜びの子どもたちの表情を見ていると、とても嬉しく温かな気持ちになりました。

それから子どもたちは、お家から大好きな絵本を今まで以上にたくさんんもってきてくれるようになり、みんなの絵本を置いているピアノの上はちょっとした本棚になっています。
1人のお友だちが、

「みんなのえほんがよめたら、『おしいえれのぼうけん』
みたいな、なが〜いほんもってくるね!」

と…。今から楽しみに待っています。

文章 Sumiyo先生