あるとき、カリキュラムの見直しをし、行事の数を今のように減らしました。昔は、クリスマスにちなんだお遊戯会もありました。

今は学期に一つ、保護者にご覧いただく機会は残しています。

「よく遊び、よく学べ」の言葉の通り、日頃は、なによりよく遊ぶこと、クラスが一つになれる取り組みに力を入れることが大切です。

しかし、ここぞというとき、とくに行事にたいしては、みんなで力を合わせてがんばることが大事です。

先生と一緒によくお稽古をし、その結果、クラスが一つになることによって、最初は無理だと思った大きいことにも挑戦し、力を出し切ることによって、大きな喜びと自信を得ること。この経験が何より大切です。

これが、今行事に対して考えていることであり、実践していることです。

一昔前の運動会では、選抜リレーを実施していました。

子ども版と大人版がありました。私が子ども時代の記憶では、年長児が上終公園で競走をし、足の速い子どもを選抜します。その子が男の子なら、その父親が大人リレーの代表になります。

女の子のリレー選手のお母さんは、大人リレー(母親版)で走っていただきます。これはこれで見応えもありましたが、やはり、速い遅いに関係なく、クラス全員でバトンを受け渡し、全員でゴールを目指すことこそ、こどもたちの感激もひとしおであろう、ということから、今のやり方で落ち着いています。

結果がすべてでない、観客をもてなすことが目的でない、という考えからそうしていますが、だからといって、どの子も中途半端に走っているのでしょうか。事実はその逆です。どの子も「一生懸命」バトンをもって走ります。

同じように、劇も「全員」が参加します。全員が自分の台詞を受け持ちます。つまり、リレーと同じなのです。劇は「言葉のリレー」なのです。

両クラスを比較し、どちらが速い、遅い、と批評することはナンセンスです。みなが、日頃から力一杯練習し、本番で悔いのないように堂々と演じることができたら、それが「成功」なのです。

私がこどもたちに注意したのは一度だけあります。初めての舞台練習で(毎年あることですが)、幕の後ろでふざけ、声を出したときのこと。「みな、本当に劇のことを大事に思っているのか?」と尋ねただけで、怒鳴ったわけではありませんが。

しかし、この問いは、こどもたちの心に残ったと思っています。とりわけ、その日の舞台上の演技はたいへん見事であったため、こどもたちは園長先生から「ほめてもらえる」と思っていたはずなので。

私の講評が、かくも予想外の角度から飛んでくるとは、思いもしなかったでしょう。よいものはよい。悪いものは悪い。こういう経験が、各ご家庭の練習の場でも、たくさんあったはずです。

本番で最高の力を発揮できたこどもたちは、私の目にはいっそうまぶしく輝いて見えました。

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