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今日は朝一番でつきぐみの部屋に行き、俳句の時間を持ちました。

昼からと違って集中力がありますので、黙想も心持ち長めにします(いずれ昼からも朝並みに集中できるようになるでしょう)。目をつむると天井の扇風機の音だけが聞こえます。このことに気づいた女の子が「せんぷうき」で始まる俳句を作り(季語は夏でしょう)、今朝紙に書いたものを手渡してくれました。扇風機を擬人化したすてきな作品です。

子どもたちの俳句はもれなく紹介しています。自分で字を書いて手渡してくれる場合もあれば、口頭で伝えてくれる場合もあり、後者の場合、私はその17文字を絶対に忘れまいと心に誓って暗記します。そして園長室につくやいなやメモ帳に言葉を記録し、安堵します。

たとえば昨日は、朝の引率中に「思いついた!」と言って「ぼうしはね」で始まる俳句を伝えてくれた女の子がいます。その子は今俳句がマイブームのようで、家でもユニークな俳句を思いつき、今朝は挿絵を添えた俳句の紙を「ハイ」と手渡されました(文字はお母さまの字だと思われます)。

このように、子どもたちの俳句は朝登園した直後に手渡されるケースもあれば、お帰り直前に園長室に立ち寄った子どもから手渡されるケースもあります。昨日は降園まぎわに、海のさかなをテーマとした俳句を書いた紙を預かりました。小さい紙に小さな鉛筆の文字で(自筆です)。これも今朝の時間に紹介しました。

今日は全員に課題を出しました。「あじさいに」(5文字)「のぼろうとする」(7文字)でとめ、最後の五文字は何がいいかな?と尋ねました。全員一生懸命考えます。私から向かって左端から「かたつむり」と少し小さめの声が聞こえました。それ、いいですね、と私。実際、ずいぶん以前に本園の子どもの作った俳句に、「あじさいに のぼろうとする かたつむり」というのがありました。「それ、正解!」と言いたいところですが、厳密にいえば、最後の5文字には「かたつむり」以外の言葉も入るでしょう。明日あたり、「あじさいに のぼろうとする ダンゴムシ」と書いた紙が届くかもしれません。それもよし、です。やがてダンゴムシがカブトムシに変わり、あじさいが違う木の名前に変わるかもしれません。

園児と俳句。私はめいめいが俳句を「作る」という部分に重きを置く必要はないと考えていますが、ときおりほどよく刺激を与えることはしたいと思います。飛ぶ前にかがむという言葉があるように、何かを表現することよりも、本当はその前の段階が大事だと思っています。何度も飽きるまで同じ俳句を声に出してとなえれば、いずれ誰もが俳句をのびのびと作るようになります。これは例年経験していることです。「急いては事を仕損じる」ともいいます。

幼稚園時代に一つも作らなかった卒園児からたくさんの俳句をお手紙で頂戴することもよくあります。この仕事をやっていてよかったと思う瞬間です。

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