一郎先生の「遺稿集」と「この道50年」の復刊のお知らせを近々園内でさせていただきます。

原稿の本体は、すでに印刷にかかってもらっています。週明けに表紙カバーのデザインと色を最終決定し、なんとか今学期中に希望者にご購入いただけるように手配したいと思っています。

「この道50年」の末尾に次のような言葉を添えさせていただきました。

『この道50年』再版にあたって

「あとがき」にありますとおり、この本は幼稚園の創立50周年を記念して開催されたバザーの収益金で初めて世に出すことができました。全部で300冊ほど印刷しましたが、今年に入りいよいよ残部も僅かとなり、再版を望むお声を多数頂戴するようになりました。

このような背景に加え、一方では昨年夏以来進めてきた一郎先生遺稿集の出版時期にあわせる形で、このたび『この道50年』を再版させていただく次第です。内容については誤植の訂正のみとし、前回と同じ装丁としました。遺稿集とあわせ、一郎先生の「子育てのこころ」をいつも身近に感じていただくことができれば、それにまさる喜びはありません。

さて、裏表紙をご覧いただくと、回転する独楽の模様が印字されていますが、これは山下英吉先生(初代北白川幼稚園園長)が、『唯物問答』(昭和33年)など自著を世に問うべく設立した「瓜生文庫」(北白川幼稚園の出版部)のロゴとして使われたものです。一郎先生の『保父』(昭和34年)もこの瓜生文庫から出版されました。

このロゴが象徴するとおり、独楽は勢いよく回るほど静止して見えるものです。一方、力を失うと独楽はふらふらと揺れて見えます。人間の生き方も同様で、一所懸命という言葉が示唆するように、幼児であれ大人であれ、人が一つの物事に熱意をこめ無心で取り組むとき、勢いをもった独楽のように凛として輝いて見えるのではないでしょうか。少年時代の私に祖父(山下英吉)がそのような解釈を語ってくれた記憶があります。

本書は『この道50年』の再版であると同時に、平成の世に於ける瓜生文庫再生の第一歩であります。これを機に、本園は幼児教育のみならず、広く人間教育全般に関わる出版事業を地道に展開して参りたいと存じます。

北白川幼稚園園長 山下太郎

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