『パズル』 (2005-01)

『パズル』

文・絵/ワイルドスミス、すぎやまじゅんこ/訳、らくだ出版1976年

私がこの図書館で目が離せなくなったのが、ブライアン・ワイルドスミスの『パズル』という絵本でした。

彼は1962年に、絵本界の栄誉ある「ケイト・グリーナウェイ賞」を受賞し、数多くの素晴らしい絵本を生み出したイギリスを代表する絵本作家。手にとったその本は、生き物や建物がページをすすむにつれて現れ、親子で対話をしながら子どもの心に色彩の美しさをしみ込ませることができるような感動の絵本でした。

ストーリー性のある絵本ではありませんが、ページをめくる度にその色の鮮やかさに魅せられて、確実に楽しい絵本タイムを過ごすことができると思います。

     ――― 動物は何匹? 絵の中のおかしなところを見つけてごらん。
          一番好きな色は? ひとつおかしな時計はどれ? ―――

文章の問いに答えてすすんでいくと、そのお話と色彩のリズムがパズルをするように展開していきます。じっくりと一冊を読み終えたときには、子どもと一緒にクレパスで絵を描きはじめたくなるような強いインパクトのある絵本です。

著者自身が、『絵本とは、子どもに美しさを楽しむことを教え、自分が住んでいる世界の不思議さを知らせる生命の根源だという信念を私はいつも抱いてきました』と言っているように、ワイルドスミスの絵本はどれも、動物や植物、太陽や月など、自然界の美しさを明るい色彩で躍動感に満ちて描いています。私にとっても絵本の魅力は、やはり絵の持つ美しさと力強いリズム感だと思います。

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娘の幼少期、絵の温かみに引き込まれていっしょに読んだ本に、同じくイギリス人のバーナデッド・ワッツの絵本がありました。バーナデッドはワイルドスミスに師事していたことを最近知って、絵本の中でのその魅力的な色彩の持つ両者のつながりに、やっぱり・・・と大きく納得しました。

「ワイルドスミス絵本美術館」が伊豆高原にあると知りました。一度行ってみたいと思うこの頃です。

(山下育子)

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