『わすれられないおくりもの』

これから未来へ向かって羽ばたいていく子どもたちに持ってほしいもの、それは、”愛と、勇気と、知恵”であろうと思います。それらを核として、読み聞かせのお話や紙芝居の作品を選んでおります。それらの中から、この2月までにことばの教室で取り上げましたものを2.3ご紹介したいと思います。

イギリスの絵本作家、スーザン・バーレイの作品に「わすれられないおくりもの」という絵本があります。

まわりの誰からも慕われ、頼りにされていたアナグマは、年老いたある日、いよいよ最後の近づいたことを自覚します。しかしアナグマは、死ぬことを恐れてはいません。 “死んでからだが無くなっても、心は残る”ことを、”愛情は永遠である”ことを、だれよりもよく知っていたからです。

「長いトンネルの向こうに行くよ さようなら アナグマより」

森の動物たちは、アナグマの書置きと冷たいなきがらを前にして、悲しみに打ち沈みます。しかし、みんなは、アナグマとのかけがえのない思い出をひとりひとり持っています。

宝物となるような智恵や工夫を、ひとりひとりに残してくれています。そのおかげで、たがいに助け合うこともできました。ひとりひとり、幸せをつかむこともできました。

「アナグマさん、”わすれられないおくりもの”を、ありがとう」

みんなの気持ちは、きっと、長いトンネルの向こうのアナグマさんのもとへ届いたに違いありません。

この絵本は、わたしたちは、生きている間、一日一日を、一人一人に、いかに愛を持って悔いなく生きているか、このことの大切さを物語っているように思われます。

山下一郎「遺稿集」より

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