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「英語講読クラス」 受講生の声

「The Remains of the Day (日の名残り)」 :Kazuo Ishiguroを読み終えて

イギリス人作家Kazuo Ishiguro はイギリスを代表する職業の一つ、執事の職務を採用し、一時代を描く。一人の人が人生の全てを捧げて尊敬する主人に仕え、誰もが到達でき得ない高い評価の職務を全うしようとするが、全盛が過ぎた今、自分と共に変化した時代の中で一人の人としてどうあるべきかを悩む。仕えてきた主人は高い人格と知性を有した人物ではあったが、人生をかけておこなった政治上の振る舞いは戦争という契機にあって裏目に出る結果となってしまった。ストーリーは主人公執事のこれまでの十分な働きを肯定しつつ軽く次のステージとして自分のすべきことへと促す形で話を完結させている。

いま自分が生きる時代を読み解くことはいま生きる人には非常に難しいことは思うに難くない事です。その今を懸命に良かれと思うことに一生をかけて努力する人としての崇高さを軸にそれでいいのかと悩む姿がとてもよく描かれていた作品だと思います。

歴史は一人々々の個人の範囲で見ればその因習的な束縛や生活維持に費やされる労務等々から解放されて自由の領域を広げていく方向にあります。それはすなわち、不条理なものからの解放ともいえると思います。

その自由の活用、またさらなる不条理からの解放はどこを目ざしているのか、世間の階層構造、組織の枠組みが複雑化する片側で次第に不明確になっているように感じます。不条理をどう克服するか、自由はどこまでのものか、それは全人のものになっているのか、知恵を絞ることが人としての在り方なのかと思われます。大脳を有した人がその知性をどう生かすのが正しい道なのか、知性とはいったい何なのか、また歴史は不条理をどのように解決してきたのかまた新たな疑問が出てきました。

英語講読は前回、「自由論」:J.S.ミルをそして今回、「The Remains of the Day (日の名残り)」 :Kazuo Ishiguroという小説上の第三者にて人と社会の在り様を感じとり、更に次回、「Essays in Experimental Logic」: John Deweyにて知性の在り方を考えてみようというという流れで来ています。浅野先生には多大なるご助言、ご指導を賜り、考えることの楽しみを「山の学校」で味わいさせていただいています。

最後になりましたが、このような機会を得させていただいていることにいつも心より感謝いたしております。たいへんありがとうございます。

2015.3.19

山下 和子

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2015年3月24日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:会員の声

高校生クラス 会員募集中。

(更新日:2017/10/1)

山の学校のクラス分けは便宜的なものです。「大学生・一般」クラスへの参加も歓迎します(ご相談下さい)。

「高校国語」

日本語を精読し議論するクラスです。教材は1つのまとまった日本語で書かれた作品です(翻訳を含む)。

・『西洋古典を読む』(対象:中学・高校生)

水曜18:40~20:00 講師 福西亮馬

 世の中には、「古典のことはよく分からない。読むのも訳するのも時間がかかる」と言う人と、「だからいい。なぜなら自分で立ち止まって考える時間が増えるか ら」と言葉を接ぐ人と、両方います。どちらも真実を言っており、前者は定説的で、後者は逆説的です。ビジネス書と違って、古典の文章はそれに注力した時間が長ければ長いほど、その人にとって、輝かしい価値を持ちます。打てば響くというわけです。そしていつしかその人の精神における不動の地位を得ます。クラシック(第一席)と呼ばれるゆえんです。

 西洋古典の最初のテキストは、セネカ『人生の短さについて』(茂手木元蔵訳、岩波文庫)を読みます。「曰く、人生は短い」という定説で始まり、次いで、「われわれは短い時間をもっているのではなく、実はその多くを浪費しているのである。人生は十分に 長く、その全体が有効に費やされるならば、もっとも偉大なことをも完成できるほど豊富に与えられている」という逆説で文章が展開します。このような論理 は、おそらく十代の若者の心を掴んで離さないでしょう。若いうちにこそ、学ぶ姿勢をはっとただされる、そんな名文だと思います。もとより古来より愛されて きたわけです。しかもそれほど長文ではありません。岩波文庫で50ページほどです。それを丸ごと味わって読みたいという人は、ぜひご参加ください。

・『東洋古典を読む』(対象:中学・高校生)

木曜18:40~20:00予定 講師 福西亮馬(予定)

 

 このクラスでは、『完訳 三国志』(羅貫中、小川環樹ら訳、岩波文庫)(全8巻)を通読します。黄巾党の乱から晋の成立まで、全120回に分けられています。1回ずつが講釈のよう に切りのいいところ、いわゆる「引き」によって構成されており、次がまた気になるという面白さです。私がみなさんと共有したいのは、テキスト(日本語訳) を読んで、英雄たちを再びよみがえらせる時間です。血湧き肉踊るような感情体験であり、過去の人物に発奮することです。プルタルコスのカエサル伝による と、カエサルはアレクサンドロス大王の像を見て、「彼は今の自分と同じ頃には世界を征服していた。なのに自分は……」と涙したと言います。三国志の英雄た ちの生き様もまた、それを愛好する人にとって、思いを同じくするところでしょう。

たとえば、正史(魏志)にある崔林は、「大器晩成」(の語源の一つ)として知られていますが、私は彼のことが大好きです。そのように「私はあの人が好き」「この人が好き」という人物を語ることは楽しいものでしょ う。ただそれが単なる同好のよしみにとどまらず、同じテキストを突き合わせて、すなわち「ソースをしっかり読んで」、あれこれ話し合えば、また違った角度 から興味を掘り起こせるでしょう。予備知識を総動員し、テキストに線をたくさん引きましょう。そして気に入った個所を写し取って愛蔵するなど、今から古典 の味に親しみましょう。

 「漢文」

『漢文入門』クラス(高校生〜一般)  木曜 20:10〜21:30 講師:福谷 彬
※2017年度秋学期は休講致します。冬学期(12月〜)からの受講生を募集中です。

この講義では、初学者を対象に漢文講読の手ほどきをしております。テキストは、小川環樹・西田太一郎『漢文入門』(岩波書店、1957年)を使用しておりま す。辞書は『全訳漢辞海』(第二版)を使用しております。授業の進め方は以下の通りです。『漢文入門』内の短文篇を一篇ずつ丁寧に訓読・翻訳し、構文中の 文法を確認しながら、受講者の漢文に対する理解を深めていきたいと思います。毎回、一・二篇を読み終わるぐらいのペースで進めております。(2017年2 月現在)

 「高校英語」

『高校英語A』 水曜 18:40〜20:00 講師:浅野直樹
『高校英語B』 木曜 18:40〜20:00 講師:浅野直樹
『高校英語C』 金曜 18:40〜20:00 講師:浅野直樹

基本的には高校での学習進度に合わせて単語や文法事項の習得に励んでいます。少人数クラスですので、各学校にぴったりと密着した内容をすることができます。このように学校での学習を活用しつつ、必要に応じて範囲外の事柄も紹介して、総合的な英語の力を磨いています。

 

 「高校数学」

『高校数学A』 水曜 20:10〜21:30 講師:浅野直樹
『中学・高校数学B 木曜 20:10〜21:30 講師:浅野直樹
『高校数学C』 金曜20:10〜21:30 講師:浅野直樹

[高校数学]段々と複雑になってくる高校数学の内容を一歩ずつ進んでいきます。ごまかすことなく自分のわからないところはわからないとはっきりさせて、わかるところを増やしていきます。わからない、できないからといって怒られることは一切ありませんので、安心してご参加ください。

『数学が生まれる物語を読む』(対象:中学・高校生)

火曜18:40~20:00 担当 福西亮馬(予定)

二 十年も昔の話になります。私が大学一回生の時、「数学という学問を愛する人の目には、物事がこんなにも豊かなものとして映っているのか!」と、筆者の知的 土壌に強い憧れを覚える、そんな一冊の本に出会いました。それは『固有値問題30講』(志賀浩二、朝倉書店)でした。当時は何度読んでも理解できませんで したが、それにも関わらず、私がこの本に魅了された理由は、作者が数学について読者に語りかける時の、あの何とも言えない、まるで未来の大樹となる種に語 りかけるような、筆者の日本語の音色にあります。

このクラスでは、同じ著者の『数学が生まれる物語』(全6巻)(岩波書店)を読みます。 先 人たちによって育まれた「数学」の歴史の本です。第1巻は、自然数、小数、分数です。ペースは1回の授業で半章進む程度でしょう。42章全部を読み切りた いと思うならば、長旅を覚悟しなければなりません。また未知の内容に不安を覚えるかもしれません。あるいは高度な記号が初学者の理解を躓かせるかもしれま せん。それでも、そのような危険を冒してでも、数学の広い海に憧れ、船出したいという人は必ずいると思います。そのような人はぜひ、門を叩いてください。

(上記は抜粋になります。全文の内容は「こちら」をご覧ください)

 

 山の学校ゼミ『調査研究』(中・高・大学〜一般)

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金曜 17:10〜18:30 講師:浅野直樹

興味のあるテーマを自分で設定し、そのことについて調べ、まとめます。文献収集や構成などのお手伝いをします。意欲的な中高生、論文やレポートを抱えた大学生、調べたいことがある一般の方をお待ちしております。
(←調査研究の発表会の様子)
受講生の感想(2015年2月)
「調査研究」ブログ記事

 

 

 山の学校ゼミ『歴史』

火曜 20:10〜21:30 講師:吉川弘晃(※現在開講しておりません。お問い合わせ下さい。)

高校レベルの基礎知識の定着を重視しながらも、教科書にとらわれない、政治・経済、地理、倫理、その他自然科学の知識を総動員して世界の動きを追えるような 力を世界の歴史に学ぶことで一緒に鍛えていきます。春学期は特定の地域・時代から、秋学期は普遍的なテーマ(歴史観や世界観)から、冬学期は生徒さんの希 望から、それぞれ1冊ずつ本を選び、それを読んで討論する授業を行います。 歴史を学びたいという方で、高校レベル の教科書を読む自信のある方ならば、誰でも歓迎します。  ●『山の学校ゼミ(歴史)』(旧クラス名:「歴史入門」)ブログ記事

 山の学校ゼミ『倫理』

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木曜17:10〜18:30 講師:浅野直樹

高校の科目である「倫理」の内容に沿いつつ、参加者の興味や関心に応じて自由に議論するクラスです。教科書は濱井修、小寺聡、三森和哉『現代の倫理』(山川 出版社、2014)を予定しております。「倫理」に興味を持つのは大人になってからのこともあるでしょうし、高校生の間に興味を持ったとしても学校の制度 上選択できないこともあります。そのような方を対象として、先人の哲学や思想、現代的な課題について学び、考えていきたいです。
『山の学校ゼミ(倫理)』ブログ記事  ●受講生の感想(2015.02)

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2013年5月13日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:クラス

11月イベントのご案内—「ラテン語の夕べ」開催

11月のイベントをご案内致します(いずれも無料)。会員に限らずどなたもご参加いただけます。11月は、第23回ラテン語の夕べ(一般対象)もございます。ふるってのご参加をお待ち申し上げます。
           

イベント案内2011-11
第23回ラテン語の夕べ

●山びこクラブ「しっぽとりであそぼう」
11/5(月)10:00 – 10:30
対象:小学生(卒園児歓迎)
場所:北白川幼稚園園庭
担当:福西亮馬

●将棋道場
11/7(月)16:00 – 18:00
対象:小学生
場所:山の学校教室
座主:百木漠
定員:先着20名
※事前にお申し込み下さい。
※初心者・経験者問わず、ふるってのご参加をお待ちしております。

●英語特講
11/14(月)18:40 – 20:00
対象:中学・高校生
場所:山の学校教室
担当:山下あや
※それぞれの生徒に応じた問題を用意し、時間内でひたすら問題を解き続けてもらいます。それぞれの答案の採点をその場でしながらコメントしていきます。
※事前にお申し込み下さい。

●論語の素読・勉強会
11/19(土)8:30 – 11:00
対象:小学生
場所:北白川幼稚園第三園舎
担当:(素読)山下太郎、(勉強会)山下あや・梁川健哲
定員:先着20名
※素読では、毎回論語の一節を紹介し、参加者皆で声を出して読みます。(8:30〜9:00)
※勉強会では各自が課題を持ち寄り、講師が監督する中、異なる学年間で教えたり、教わったりしながら、自発的に学び合う時を過ごします。(9:00〜11:00)
★学年を配慮して座席を準備致しますので、前日までに、お申し込みをお願い致します。

●ひねもす道場
11/21(月)16:00 – 18:00
内容:「剣をつくろう!」
対象:小学3年生以上
場所:山の学校教室
担当:福西亮馬
定員:先着10名
※ひねもすとは、紙を丸めて作った大小2種類のパイプを繋げて作る工作です。部材そのものから自分で完成させる楽しみを味わうことが出来ます。

●ラテン語の夕べ(講演・ディスカッション)
11/25(金)18:30 – 20:00
テーマ:「ラテン語学習最前線〜何で学ぶか、何を学ぶか」
対象:一般(ラテン語に関心のある方)
場所:北白川幼稚園第三園舎
講師:前川 裕
講師からのメッセージ:ラテン語を学習するための素材や環境は、さまざまな発達を遂げています。ラテン語をめぐる最新の状況や、ラテン語学習のためのさまざまな教材などをご紹介します。
Omnes viae Linguam Latinam ducunt! (全ての道は、ラテン語に通ず!)

●なんでも勉強相談会
11/28(月)18:30 – 21:30
対象:中学・高校生
場所:山の学校教室
担当:浅野直樹、山下あや
※ 講師が勉強や進路の相談などを幅広く受け付けます。保護者との面談も致します。事前にお申し込みください。

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2011年10月30日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:イベント

大人クラス会員募集のお知らせ

山の学校では2011年9月から次の時間割の中で大人向けのクラスを新設する予定です。

時間の枠は現在の夜のクラスと同じく80分を1コマと数え、午前に2コマ、午後に2コマを予定しています。
1 9:10~10:30、2 10:40~12:00 3 12:40~14:00 4 14:10~15:30

クラスの候補と講師名は次の通りです(敬称略)。

1 イタリア語(柱本元彦)

2 ロシア語(山下大吾)
3 英語(浅野直樹)
4 ラテン語(広川直幸、山下大吾)
5 漢文(木村亮太)
6 フランス語(武田宙也)
7 経済学入門(百木漠)
8 歴史入門(岸本廣太)
※太字は開講が決定している科目です。

ご都合のつかれる曜日をお知らせいただけたら、講師と連絡をとり、出来る限りご希望に沿った形でのプラニングを進めたいと思います。

お問い合わせはお待ちしています。

離れの写真

教室は「離れ」を使います。

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2011年5月26日 | コメント/トラックバック(1) |

カテゴリー:クラス

『一般英語』のクラス紹介

山びこ通信秋冬号(pdf)より抜粋)

 秋学期からスタートしたこの一般英語のクラスも2期目に入りました。前号の記事では英語を学習する動機や心構えについて述べました。今号の記事では一転して具体的な事柄について述べます。英語学習の方法論や有用な参考書やサイトにも言及しますので、よろしければご活用ください。

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2011年4月9日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:クラス

英語の基本・英語の読み書き

T. Fujita

英語の授業では中学生、高校生とも各一クラスずつ担当させていただいております。

現在、中学校のクラスでは基礎をしっかり身に付けてもらうことを考えて授業を行っています。英語や数学といった勉強は基礎の上に基礎を重ねて積み上げていかなければならないという難儀な性質を持っています。つまり家を建てる場合と同じで、どこか一箇所の組立を間違えてしまえば、その上に積み上げることができなくなってしまうのです。

例えば、一般動詞を使った文を組み立てることができなければ、関係代名詞の用法を理解することができるはずはありません。また、分詞構文というややこしい文法事項がありますが、そのことを理解せずに独立分詞構文というより複雑な事項を理解することはできません。

過去の日本の英語教育は文法偏重型と呼ばれ、「読み書きはできるけど会話ができない」と批判されてきました。しかし、一度会話を偏重し始めて、会話はちょろっとできるけど書いてあるものはまったく読めない、英語で文章を書くなんてもっての外という状態になっては意味がありません。英語を話すということは従来の英作文のスピードを速めた状態と言えます。だからこそ、基礎的文法を大切にしてじっくりと積み重ねていく練習を重視した授業を行っています。

文法的なことと並行して、授業中は細かい発音指導も行っています。日本語を母語として育って、ある程度の年齢に達してしまうと、耳でいくら聞いても英語の発音はうまくなりません。

母語の音声は人間の耳に大きく影響し、ある音とある音とを融合して一つの音のように聞かせてしまうことがあります。よくある例えですが、日本人はL とR の音の区別がつかないと言われます。これは「ラッパ」ということばを「LAPPA」と発音しても「RAPPA」と発音してもまったく意味上の違いがないため脳が同じ音のように聞かせてしまいます。

そこで、まったく同じに聞こえる単語を見様見まねならぬ、聞き様聞きまねで発音したとしても同じように聞こえるはずがありません。そこで、英語を母語とする人の口の動きを専門的に分析した結果を利用して、いかにして同じ音を再現するかにこだわって指導しています。日本語では意味の違いをなさない音の違いでも、英語では重要な違いになりえます。口の形の図解や実演を利用してわかりやすい発音指導に取り組むようにしています。

一通りの基礎的な文法を学習し終えた高校生のクラスでは、読むことを中心に授業を進めています。現在は生徒の希望で、夏目漱石の『こころ』の英訳版を精読しています。

現在の日本の教科書の大部分は、日本人の著者が書いたものをネイティブスピーカーが手直しするという方式で作られています。つまり、英語を書いているのが日本人ということになります。母語でない言語で書かれた文章は一般に読みやすいとされており、英語の教科書も例外ではありません。

しかし、実際に英語を読む場面では、英語を母語とする人によって書かれた文章が多いはずです。Kokoro の著者は日本人ですが、実際に英語を書いている訳者はアメリカ人ですので生の英語に触れることができます。また、英米文学に直接触れようとすると、どうしても英米の文化の理解を欠かすことができず、初期段階では英語力向上の妨げとなってしまいます。

そういう点でも、日本文学ならば障害を最小限に抑えて、英語力のみをネイティブの英語を使って効率的に磨くことができると考えられます。
(2004.7)

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2010年7月2日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:クラス

英語の読み書き

T.Fujita

高校のクラスではすでに身に付けた英語の知識をさらに応用することを目的としています。英語の勉強は基礎の上に基礎を重ねて積み上げていかなければならないという難儀な性質を持っています。例えば、一般動詞を使った文を組み立てることができなければ、関係代名詞の用法を理解することができるはずはありません。

日本の英語教育は文法偏重型と呼ばれ、「読み書きはできるけど会話ができない」と批判されてきました。しかし、会話を偏重して、書いてあるものはまったく読めない、英語で文章を書くなんてもっての外という状態になっては危険です。英語を話すということは従来の英作文のスピードを速めた状態と言えます。だからこそ、基礎的文法を大切にして積み重ねを重視した授業を行っています。

今年度の高校生のクラスでは、生徒と相談して、英語の教科書ではなく、日本の小説の英語訳や元から英語で書かれた本の一部を精読しました。学校で使用する教科書は、日本人の手によって編集されています。もちろん、ネイティブスピーカーのチェックは入っていますが、生の英語というにはほど遠いものです。英語を母語とする人によって書かれた文章を読むことによって、より実践的な英語力をつけることができると考えています。

基礎的な練習の繰り返しは、単純で退屈なものかもしれません。しかし、英語の学習を一朝一夕にすませる方法はありません。だからこそ、高校生の繰り返し練習をお手伝いできるような授業に取り組んでいます。
(2005.2)

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2010年7月2日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:クラス

英語の苦手な君に

山下 太郎
英語がちょっと苦手な様子ですね。模擬試験の結果が悪くて落ち込んでいるとのこと。学校の勉強は試験範囲が決まっているから試験前に集中的に勉強すればいいのですが、模擬試験となると話は別ですね。大学入試のことを考えると気も滅入る・・・その気持ち、わかります。じゃあ、ちょっと息抜きに、私の「基礎力診断テスト」でもやってみてください。1分で終わりますから。

「わかってそうで、答えが出せなかった」問題はありませんでしたか。つまり、それだけ体がなまっていたということです。すこし厳しい言い方かもしれませんが、内容はごく平凡な高校受験レベルの問題です。本来は90%以上できなければ困る内容ですね。

じゃあ、何に困るかと言えば、普段の学校の授業を理解する上で困るということです。先生も困るし、あなたも授業がわからなくなって困るのです。

結論は簡単です。まあ騙されたと思って、中学校で習った勉強のおさらいをしてください。たとえば、大学入試用の単語集を覚えようとがんばっても、中学時代に習ったことの理解がデタラメだと、3日もたたないうちに勉強するのが嫌になります。勉強が続かないのは自分の根気がないためではありません。やり方に問題があるのです。

自分の実力に合った勉強を続ける限り、勉強は本来おもしろいはずです。だれにでもその人にとってふさわしいレベルというものがあるのです。そのレベルの高い、低いはこの際問題ではないのです。自分のレベルをしっかりと見定めることがなにより肝心なのですから。

具体的には、本屋に行って、中学1年生用の問題集を買って解くことです。大学受験生だから、大学受験用の問題集を買う、というのは駄目です。それは誰だってやっています。恐らく初めのうちは、今回の「基礎学力診断テスト」と同じような点数を取るでしょう。私のデータでは、「英語が苦手!」という高校生の場合、たいてい2問に1問は間違う勘定です。

しかし、普段解いている大学受験の問題と違って、間違ったときの気分が全然違うことに気づいてください。つまり、「あっしまった!」とか「そういえば、そうだったなあ!」という感じですね。

大学入試用の問題だと、到底こういう気持ちにはなれないでしょう。たいていが4つから1つを選ぶ形式ですから、できてもマグレということもあるし、できなくても「どうでもいいや!」という投げやりな気持ちになるものです。また、大学受験の勉強では、覚えることがあまりにも多すぎて、なんだかコップで海の水をすくうような空しい気分になってきます。

それに対して中学英語の問題は、単語のレベルが限定されています。覚えるべき事柄は、単語というよりむしろ英語の基本的なルールです。例えば、「受動態=be 動詞プラス過去分詞」とか、です。

このルールはどう数えてみても200もありません。代表的な例文は、丸ごと暗記すればいいのです。1日20も覚えていけば、10日で終わる計算です。大学受験で問われる内容のすべてを網羅的に覚えようとすることは、たしかにコップで海の水をすくうようなものですが、中学英語の復習は、せいぜい風呂の水をコップでくみ出すようなものです。簡単なことでも、まじめにやっていますと、「これが本当の勉強だったのだな!」という気持ちがわいてきます。

とは言っても、入試問題の英文はそう簡単に読めるようにはなりません(ネイティブにも難解なはず)。根気よく辞書を引いて予習することが基本的に必要でしょう。まじめにとりくめば、うまく訳せずに1時間2時間があっと言う間に過ぎていくものです。しかし、時間がかかると言うことは、単語の知識が少ないためというより、むしろ文法の力、中学英語の理解が足りない結果である場合が多いものです。

受験生ならだれでも知っている単語の一つにstand という語があります。ふつう「立つ」という意味で使いますね。Stand up. と言えば、「立ちなさい」という意味になります。ところが、この単語には同時に「我慢する」という意味もあるのです。たとえばI can not stand it. といえば、「わたしはそれが我慢できない」と訳さなければなりません。もし「私はその中で立ち上がれない」とか訳したら、0点です。では、このような細かな点まで含めて、しっかり単語や熟語を「暗記」していかないといけないのでしょうか。

私はそうは思いません。単語の知識に関しては、強制された勉強は効果が薄いと思います。また、中学英語の理解が単語の暗記の前に不可欠だと再三申してきたつもりです。これは具体的にどのようなことを意味するのでしょうか。

例えば、中学1年の英語に戻りますと、前置詞のin の使い方を教えます。「学校で」といえば、in school となるわけです。今の例文 I can not stand it. には、in がない点に注目ください。今の間違いの日本語(=私はその中で立ち上がれない)自体を素直に英語に直せば、どうしてもin が必要になるでしょう。ということは、中学1年レベルの常識的な前置詞の使い方に慣れていれば、問題文のin の有無にもっと敏感になれる、と考えられるのです。

あなたは単語の意味のひとつひとつを無理に覚えていかなくてもいいのです。ただ、いつもと様子が違うぞ、という感覚がピン!と鋭敏に働かないとだめなのです。何か変だぞ!という感覚が、すっと辞書に手を伸ばす原動力になるのです。つまり、ありふれたstand という単語に「我慢する」という訳語を「自分の力で」見つけ出すためにも、中1で習う前置詞の復習は重要です。

このような例はいくらでもあります。He runs a small restaurant. といえば、「彼は小さなレストランを経営する」と訳すのであって、けっして、「彼は小さなレストランの中で走っている」とはなりません。あなたは、何も中学校の英語の教科書が読めないわけではないのです。むしろ読めるから、その大切なポイントを無視する傾向があるのです。

最後に私の取っておきの勉強法を申し上げましょう。それは、「簡単な日本語を英語に直す練習」です。

はじめは騙されたと思って、中1レベルに限定して、その英作文がすらすらできるまで繰り返してください。大学生でもすらすらできる学生は希です。まして中3までの範囲で出題しますと、つまずく例文が続出です。わたしが重視するのは英作文としてみた中学英語ということなのです。これが縦横無尽に日本語から英語に直せるレベルに到達できてこそ、真の意味で英文法を理解できた人と申し上げてよいでしょう。

繰り返しますが、覚える例文は200以下です。これは漢字の勉強と同じことです。漢字を「読む」練習も大切ですが、むしろ「書取り」の練習をした方が、短時間で効果があるということです。私も最近はワープロを使うので実感することですが、読み方は知っていても、いざ書くとなると、正しく書けない漢字は案外多いものです。辞書を見ないで書ける漢字は、必ず読めるはずですね。

焦る気持ちはわかりますが、そうせっかちにならないことです。大学に入っても、英語が嫌いで、年々忘れる一方の人が大勢います。大学に行かなくても社会に出て、英語を達者に使っている人が大勢おられます。英語を使い、自分で自分の道を切り開く人になるためにも、徹底して英語の基本を復習し、せめて身の回りのことをすらすら英語で言えるようにしてください。ご健闘をお祈りします。
(2003.10)

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2010年7月1日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:クラス

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