西洋の児童文学を読む(2017/12/14)

福西です。冬学期もよろしくお願いいたします。

トンケ・ドラフト『王への手紙(上)』(西村由美訳、岩波文庫)を読んでいます。第4章5「灰色の騎士たちとの別れ」を読み終え、第4章が終わりました。

この日は、4月当初にクラスに参加されるはずだった、5年生のReikaちゃんが見学に来てくれました。遠方のためクラス参加はかないませんが、クラスに新しい風を吹き込んでくれました。一方、Aoniちゃん、Eisuke君、Kai君にも、朗読や発表など、自分たちのいつも通りしていることを、客観的に見直して、自信にしてもらえたのではないかと思います。

担当者のAoniちゃんの要約を代表に挙げます。

ティウリと灰色の騎士はこれからの予定を話し合った。ティウリは騎士たちと別れる時が来たのだと感じ、みなで残念がった。アルダンヴェンは騎士たちにあずけ、イルマルと服を交かんし、ティウリは騎士たちと別れた。しばらくしてリストリディンの角笛がひびきわたった。『さよなら、灰色の騎士たち』ティウリは心の中で言った。

【気づいたこと】

・「きっと」や「また」といった、未来についての言葉のやり取りが目立つ。(Eisuke)
例)「未来の騎士」(p304)、「きっと成功する」(p307)、「また会おう!」(p307)、「また会いましょう」(p308)

・ベンドゥーが初めて笑った。(Kai)
・ベンドゥーがティウリと仲良くなっている。(Kai)

・「本来なら、そなたは騎士であったはず」(p307)と似た表現(Ryoma)
→p103 そして、いつか騎士になれたら……。(ティウリの心)
→p52 「騎士になるであろう。」(エトヴィネム)
→p27 「きっと、まさしくりっぱな騎士になれる。」(フォキア)

・2章3「角笛のひびき」から4章5「灰色の騎士たちとの別れ」までが、角笛を通して、入れ子構造になっている。(Ryoma)
1)出会いと別れ
2)ティウリがその入れ子の前後で一人であること
3)音色の聞こえ方の変化。猜疑心(p102)から励まし(p307)へ。

【共感したところ】

p300(Kai)
ベンドゥーが、初めてティウリに笑顔を見せながら言った。
p300(Kai)
「すぐあとで、外科医のまねごとをやって、傷をもういちど見てあげよう。」
p302(Aoni、Eisuke)
「敵をあなどるでないぞ、ティウリ! そなたを怖がらせるつもりはないし、そなたの決断には賛成だ。」
p303(Aoni、Reika)
「だから、そなたは、ひそかにわれらから離れなくてはならない。そうすれば、そいつらが気づいたときには、そなたは、はるか遠くにいるだろう。」
p303(Ryoma)
ティウリには自分の任務があるし、灰色の騎士たちには、騎士たちの任務があるのだ。
p304(Reika)
「いい提案だと思う。」
p304(Ryoma)
「アルダンヴェンは、そなたを主人と認めている。」
p307(Ryoma)
「さあ、行け。ここは安全だ。」
p308(Eisuke、Kai)
もういちど角笛がひびきわたり、こだまが銀の音色をくり返した。「さようなら、灰色の騎士たち。」ティウリは、心の中で言った。「さようなら、南のリストリディン。また会いましょう!」

【まねたい表現】

・p300(Ryoma)
氷のように冷たい水

【情報の整理】

・イルマル→ティウリの影武者の役目
・アルダンヴェン→イルマルが乗って、ミストリナウト城へ届ける
・ヴェステナウト城≒第一大街道(灰色の騎士たち)と青い小川(ティウリ)の分岐点

・イルマルはリストリディンの従者。

(ネタバレ!)イルマルは『王への手紙』では「未来の騎士にふさわしい仕事」をやってのけるが、次回作『白い盾の少年騎士』では、命を落とします。(Aoniちゃん)

次回はいよいよ第5章。上巻の最後です。第5章2で、みんなお待ちかねの、ピアックが登場します。

Eisuke君が言った、「ティウリは一人になったけど、ピアックが出てきたらまた一人じゃなくなる」という言葉が、私には印象に残りました。