March 13, 2004

かずの一年

『かずの一年』(作文)    
                 福西亮馬

「たしざんとひきざん。
かけざんとわりざん。どれがすき?」
「うんと…わりざん」
「あ、あたしも。一ばんすき」
「ぼくも! わりざんが一ばんやんな!」

これは一年生の終わりごろ、夕まぐれの
会話だったことを覚えています。
わり算の「何が好き?」だったかと言うと、
わり切れたときの、鋭い喜びと、ついでそ
の後で知った、好きな女の子も好きだっ
たことです。


私もまた、「数学は情緒」(岡潔)だと感じます。
つまらない計算も、味わえば楽しいのです。た
とえばガウス(1777-1855)というすごい人が
いて、次のような計算をしています。

1/71=0.01408450704225352112676056338028169014…

一体いつまで続くのか、と思えるような数でも、
ガウスは飽かず眺めて、ここで手を止めてしまう
のが名残り惜しかったろうと思われます。
というのは、

1/71=0. 01408450704225352112676056338028169 014…

となっているからです。上をじっくり見てください。
「繰り返し」を起こしていることに気付くでしょう。
(これはわり切れないわり算ですが、わり切れない
ときも、このような独特の楽しみ方があるのです)

「無限軌道の上を走るようなものだから、面白くて
循環節が終っても残り惜しいほどに少年ガウスは
感じたのではなかろうか」

と、数学者の高木貞二は『近世数学史談』でこの
エピソードを紹介しています。これはガウスの、
少年時代の思い出なのです。

さて私の思い出に戻りますが、あの会話から何が
うかがえるかというと、わり算をすでに一年生で習っ
ていたことです。

今は二年生で習います。九九が二年生から始まる
からです。私は数学の色々な面白い話をするときに、
このかけ算(九九)を知らなければできないと感じる
ようになりました。

「かけると、意味が作れ、意味があると、話ができる」
からです。

たて×よこ=面積 (xy=F)
たて×よこ×たかさ=体積             (xyz=V)
たて×よこ×たかさ×じかん=(四次元)空間    (xyzt=S)

質量×加速度=力   (ma=f)
速さ×時間=距離   (vt=s)
力×距離=仕事    (fs=w)

などなど。話はかけてかけて組み合わせていくと、
どんどん膨らんでいきます。
 
                       福西亮馬

Posted by at March 13, 2004 03:36 PM
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