山下太郎のラテン語入門

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Archive for the ‘第一変化名詞’ tag

Aquila non captat muscam.

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「アクゥィラ・ノーン・カプタト・ムスカム」と読みます。
aquila は「鷲」を、musca は「ハエ」を意味するそれぞれ第一変化名詞です。muscam は単数・対格の形です。
captat は「つかまえる」を意味する第一変化動詞 capto の現在、単数・三人称です。
「鷲はハエをつかまえない。」という意味になります。
エラスムスの言葉です。鷲は戯れにも蝿を捕まえることをしない、大物は小物を相手にしない、の意味でしょう。

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Written by 山下 太郎

11月 7th, 2011 at 11:28 pm

Fortes fortuna adjuvat.

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「フォルテース・フォルトゥーナ・アドユウァト」と読みます。
fortesは「強い」を意味する第3変化形容詞、fortisの複数対格です。fortuna は「運命」を意味する第1変化名詞・単数・主格で、adjuvat は「助ける」を意味する第1変化動詞 adjuvo の単数3人称・現在の形です。
「運命は、強い者を助ける。」の意で、英語のことわざ”Heaven helps those who help themselves.”を思い出します。
テレンティウスの作品に見られる言葉です(『ポルミオ』)。
「運命は臆病者の味方をしない」(ソポクレス断片927)という言葉もあります。
類似表現に、Audentes fortuna juvat.(大胆な者たちを運命は助ける)もあります。

<補足>ラテン語の Fortuna は女性名詞です。-a で終わる単語(第一変化名詞)は基本的に女性名詞です。Fortuna が「運命の女神」と訳され得るのは、この単語が女性名詞であることに基づきます。

Victoria (勝利、勝利の女神)も同じです。これらの単語は、英語の victory, fortune の語源です。このように、古典の時代では、抽象名詞が神格化されて用いられることがよくあります。

あと、「正義の女神」という表現もラテン語ではJustitia といいます。綴りを見れば、これも女性名詞とわかります。だてに「・・・の女神」とは呼ばないわけです。そう呼ぶ理由はラテン語名を思い浮かべることで理解できます。

関連図書:

ローマ喜劇集〈5〉 (西洋古典叢書)
テレンティウス 木村 健治
4876981396

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Written by 山下 太郎

5月 10th, 2011 at 9:02 pm

Gloria in excelsis deo et in terra pax hominibus bonae voluntatis.

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「グローリア・イン・エクスケルシース・デオー・エト・イン・テッラー・パークス・ホミニブス・ボナエ・ウォルンターティス」と読みます。
gloria は「栄光」を意味する第一変化名詞、単数主格です。
excelsis は「高い」を意味する第一・第二変化形容詞 excelsus, -a, -um の中性・複数・奪格です。名詞的に用いられ、in とともに「高いところに」と訳せます。
deo は「神」を意味する第二変化男性名詞 deus の単数・与格です。「神に」となります。
terra は「大地」を意味する第一変化女性名詞、単数・奪格です。
pax は「平和」を意味する第三変化女性名詞、単数主格です。
hominibus は「人間」を意味する第三変化名詞、複数与格です。
bonae は「よい」を意味する第一・第二変化形容詞 bonus, -a, -um の女性・単数・属格です。
voluntatis は「気持ち、心情」を意味する第三変化女性名詞、単数・属格です。
全体の構文は、二つの名詞の主格(gloria, pax)が「与格」に「ありますように(sit)」となります。なお、sum の接続法・能動相・現在、三人称単数の sit は省略されています。
「高いところでは、神に栄光がありますように。そして、地上では、よい心をもつ人々に平和がありますように」と訳せます。
新約聖書の「ルカ伝」第2章14節に見られる言葉です。
ミサ曲の一節として有名です。

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Written by 山下 太郎

6月 15th, 2011 at 8:07 pm

Ibi semper est victoria, ubi concordia est.

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「イビ・センペル・エスト・ウィクトーリア・ウビ・コンコルディア・エスト」と読みます。
ibi は「そこに」を意味する副詞です。
semper は「いつも」を意味する副詞です。
victoria は「勝利」を意味する第一変化名詞、単数主格です。
ubi は「・・・するところに」を意味する関係副詞です。
concordia は「調和」を意味する第一変化名詞、単数主格です。
est は「ある」を意味する不規則動詞 sum の直説法・能動相・現在、三人称単数です。
「調和のあるところ、そこにはいつも勝利がある」と訳せます。
プブリリウス・シュルス、『金言集』の言葉です。

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Written by 山下 太郎

1月 7th, 2012 at 1:04 pm

Industriae nil impossibile.

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「インドゥストリアエ・ニール・インポッシビレ」と読みます。
industriae は「勤勉」を意味する第一変化名詞 industria の単数与格です。
nil は英語の nothing に相当する nihil の別形で、「無」を意味します。中性・単数・主格です。
impossibile は「不可能な」を意味する第三変化形容詞、中性・単数・主格です。
動詞の est が省略されています。
「勤勉にとっては何事も不可能ではない」という意味です。

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Written by 山下 太郎

6月 23rd, 2011 at 7:19 pm

Nec mora, nec requies.

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「ネク・モラ・ネク・レクィエース」と読みます。
nec A nec B で、A,Bともに否定します。
mora は「遅延、休止」を意味する第一変化名詞、単数主格です。
requies は「休息」を意味する第一変化名詞、単数主格です。
動詞としては、est を補うことができますが、実際には省略されています。
「休止も休息もない」と訳せます。
ウェルギリウスの『農耕詩』に見られる表現です(3.110)。

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Written by 山下 太郎

1月 23rd, 2012 at 5:22 pm

Ridetur, chorda qui semper oberrat eadem.

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「リーデートゥル・コルダー・クィー・センペル・オベッラト・エアーデム」と読みます。
ridetur は「笑う」を意味する第二変化動詞 rideo の直説法・受動相・現在、三人称単数です。
chorda は「弦」を意味する第一変化名詞、単数奪格です。
qui は「・・・するところの」を意味する関係代名詞、男性・単数・主格です。先行詞は省略されています。「・・・する人」と訳せます。
semper は「いつも」を意味する副詞です。
oberrat は「間違う」を意味する第一変化動詞 oberro の直説法・能動相・現在、三人称単数です。
eadem は「同じ」を意味する指示代名詞 idem の女性・単数・奪格で、chorda にかかります。eadem は形容詞として使われています。
前置詞 in はありませんが、奪格の chorda…eadem だけで、「同じ弦で」と訳せます。
「いつも同じ弦で弾き間違える者(琴弾き)は嘲笑される」と訳せます。
ホラーティウス、『詩論』(356)に見られる表現です。

詩学 (岩波文庫)
アリストテレース ホラーティウス 松本 仁助
4003360494

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Written by 山下 太郎

12月 25th, 2012 at 8:30 am

Sermo mollis frangit iram.

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「セルモー・モッリス・フランギト・イーラム」と読みます。
sermo は「言葉」を意味する第三変化名詞、単数主格です。
mollis は「柔らかい」を意味する第三変化形容詞、男性・単数・主格です。sermo にかかります。
frangit は「打ち砕く」を意味する第三変化動詞 frango の直説法・能動相・現在、三人称単数です。
iram は「怒り」を意味する第一変化名詞 ira の単数対格です。frangit の目的語です。
「柔らかい言葉が怒りを打ち砕く」と訳せます。
典拠不明の格言です。

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Written by 山下 太郎

1月 13th, 2012 at 4:41 pm