Archive for the ‘カエサル’ tag
Alea jacta est.
「アーレア・ヤクタ・エスト」と読みます。
alea は女性・単数・主格で、「さいころ」の意味です。
jacta は「投げる」を意味する jacio(ヤキオー)という第3変化動詞の完了分詞で、alea と性・数・格が一致しています。
完了分詞 jacta と sum の現在変化の組み合わせを受動相・完了とみなします。「・・・された」と訳せます。
ここでは主語が alea なので sum はest となります。
意味は「さいは投げられた。」です。
日本語で意訳すれば、「人事を尽くして天命を待つ」といったところでしょうか。やるだけのことはやった、という決意と覚悟が感じられるせりふです。
スエートーニウスの記したカエサル(ジュリアス・シーザー)の言葉(岩波文庫『ローマ皇帝伝』、國原 吉之助訳)として有名です。
Gallia est omnis divisa in partis tres.
「ガッリア・エスト・オムニス・ディーウィーサ・イン・パルティース・トレース」と読みます。
Gallia は「ガッリア(今のフランス、スイス)」を意味する女性名詞です。
omnis は「すべて」を意味する第三変化形容詞、女性・単数・主格です。
divisa は「分ける」を意味する第三変化動詞 divido の完了分詞、女性・単数・主格です。est とあわせ「分けられている」と訳せます。
partis は「部分」を意味する第三変化女性名詞 pars の複数・対格です。
tres は「三」を意味します。女性・複数・対格で partis にかかります。
in は対格を支配します。in partis tres は「三つの部分に」と訳せます。
「ガッリアは全体として三つの部分に分かれている」と訳せます。
カエサルの『ガリア戦記』冒頭の言葉です。
関連図書:
ガリア戦記 (平凡社ライブラリー)
ガーイウス・ユーリウス カエサル Gaius Julius Caesar 
※この翻訳はラテン語MLでの読書会をきっかけとして誕生したものです。
Homines id quod volunt credunt.
「ホミネース・イド・クォド・ウォルント・クレードゥント。」と発音します。
homines は「人間」を意味する第3変化の名詞・複数・主格で、この文の主語です。
id は(確定)代名詞 is の中性・単数・対格で、関係代名詞 quod 以下の先行詞となっています。
volunt は「望む」を意味する不規則動詞 volo の現在・複数・3人称で、目的語は、id quod volunt (「(人間が)望むところのことを」)となります。
credunt は「信じる」を意味する第3変化動詞 credo の現在・複数・3人称で、この動詞に対応する主語は homines です。
「人間は(信じたいと)望むことを信じる。」という意味です。
原文は、カエサルの『ガリア戦記』第3巻18に見られる言葉で、そこには副詞 libenter (自由に)が頭についています。
この場合、「人間は、自分が信じたいと望むことを喜んで信じるものである。」という意味になります。
Minus memoriae studere.
「ミヌス・メモリアエ・ストゥデーレ」と読みます。
minus は「いっそう少なく」(英語の less)という意味の副詞です。
memoriae は「記憶」を意味する第一変化女性名詞、memoria の単数与格です。
studere は「熱意を持つ、精を出す」を意味する第二変化動詞 studeo の不定法・能動相・現在です。
「暗記にいっそう少なく精を出すこと」、すなわち「暗記に精を出さなくなること」という意味です。
カエサルの『ガリア戦記』に見られる表現です。
ガリアの支配階級ドルイド僧は教育を行う際に文字を用いませんでした。「学ぶ者が文字に頼って暗記に精を出さなくなるため」とカエサルは説明しています。
Non est consuetudo populi Romani, ullam accipere ab hoste armato conditionem.
「ノーン・エスト・コンスエートゥードー・ポプリー・ローマーニー・ウッラム・アッキペレ・アブ・ホステ・アルマートー・コンディティオーネム」と読みます。
consuetudo は「習慣、慣習」を意味する第三変化女性名詞、単数主格です。
populi は「国民」を意味する第二変化男性名詞 populus の単数属格です。
Romani は「ローマの」を意味する第一・第二変化形容詞 Romanus, -a, -um の男性・単数・属格で populi にかかります。
前半の訳は、「ローマ国民の慣習ではない」となります。後半の不定法が主語になります。
第一・第二変化形容詞、女性・単数・対格 ullam はconditionem を修飾します。否定文において、英語の any と同じ働きをします。
accipere は「受け取る」を意味する第三変化動詞 accipio の不定法・能動相・現在です。
ab は「・・・から」(英語の from)を意味する前置詞で奪格をとります。
hoste は「敵」を意味する第三変化男性名詞 hostis の単数・奪格です。
armato は「武装した」を意味する第一・第二変化形容詞 armatus, -a, -um の男性・単数・奪格です。hoste を修飾します。
conditionem は「条件」を意味する第三変化女性名詞 conditio の単数対格です。
「武装した敵から条件を受け取ることは」が後半の訳になります。
あわせると、「武装した敵から条件を受け取ることはローマ国民の慣習ではない」。
カエサルが『ガリア戦記』に残したクィントゥス・キケロー(マールクス・キケローの弟)の言葉とされます(5.41)。
関連図書:
ガリア戦記 (平凡社ライブラリー)
ガーイウス・ユーリウス カエサル Gaius Julius Caesar 
Nudi enim sunt, recti et venusti, omni ornatu orationis tamquam veste detracta.
「ヌーディー・エニム・スント・レクティー・エト・ウェヌスティー・オムニー・オルナートゥー・オーラーティオーニス・タムクァム・ウェステ・デートラクター」と読みます。
nudi は「裸の」を意味する第1・第2変化形容詞、nudus, -a, -um の男性・複数・主格です。原文の先行箇所から補うと、主語はカエサルの書いた作品となります。
enim は「というのは、じつに」と訳せます。
recti は「まっすぐな」を意味する第1・第2変化形容詞 rectus, -a, -um の男性・複数・主格です。
vnusti は「優美な」を意味する第1・第2変化形容詞 venustus, -a, -um の男性・複数・主格です。
omni は「すべての」を意味する第3変化形容詞 omnis の男性・単数・奪格です。
ornatu は「装飾」を意味する第4変化名詞 ornatus の単数・奪格です。
orationis は「言論」を意味する第3変化名詞 oratio の単数属格で ornatu にかかります。
tamquam は「あたかも・・・のように」
veste は「衣服」を意味する第3変化女性名詞 vestis の単数・奪格です。
detracta は「脱ぎ捨てる」を意味する第3変化動詞 detraho の完了分詞、女性・単数・奪格です。veste detracta のセットで、いわゆる絶対的奪格と呼ばれる表現となります。「衣服が脱ぎ捨てられて」と訳せます。日本語に直すときは「衣服を脱ぎ捨てて」と能動で訳すとわかりやすいです。tamquam とあわせると「まるで衣服を脱ぎ捨てるかのように」と能動で訳せます。
一方、omni ornatu も奪格です。detracto (男性・単数・奪格)が省略されているとみなせます。「すべての装飾が脱ぎ捨てられて」と訳せます。
「(カエサルの文体は)衣服を脱ぎ捨てたかのように、あらゆる言葉の装飾を捨て、まっすぐで優美である」と訳せます。
キケローの『ブルートゥス』に見られる表現です。
Veni, vidi, vici.
「ウェーニー・ウィーディー・ウィーキー」と読みます。
Veni, vidi, vici, それぞれ、venio, video, vincoという動詞の直接法・完了・1人称単数の形です。
「(私は)来た、見た、勝った」と訳せます。
スエートーニウスの伝えるユリウス・カエサルの言葉として知られます。