ラテン語格言集 (17)
トップ
> ラテン語入門 > ラテン語格言集 (17)
- Omnia vertuntur: certe vertuntur amores.
- 「オムニア・ウェルトゥントゥル・ケルテー・ウェルトゥントゥル・アモーレース」と読みます。
- omnia は「すべて」を意味する第三変化形容詞 omnis の中性・複数・主格です。
- vertuntur は「回転させる」を意味する第三変化動詞 verto の直説法・受動相、三人称・複数です。受動で使われたとき、「回転する」と訳せます。
- certe は「たしかに」を意味する副詞です。
- amores は「愛」を意味する第三変化名詞 amor の複数・主格です。
- 「万物は流転する。たしかに愛は流転する」と訳せます。
- プロペルティウスの言葉です。
- Gallia est omnis divisa in partis tres.
- 「ガッリア・エスト・オムニス・ディーウィーサ・イン・パルティース・トレース」と読みます。
- Gallia は「ガッリア(今のフランス、スイス)」を意味する女性名詞です。
- omnis は「すべて」を意味する第三変化形容詞、女性・単数・主格です。
- divisa は「分ける」を意味する第三変化動詞 divido の完了分詞、女性・単数・主格です。est とあわせ「分けられている」と訳せます。
- partis は「部分」を意味する第三変化女性名詞 pars の複数・対格です。
- tres は「三」を意味します。女性・複数・対格で partis にかかります。
- in は対格を支配します。in partis tres は「三つの部分に」と訳せます。
- 「ガッリアは全体として三つの部分に分かれている」と訳せます。
- カエサルの『ガリア戦記』冒頭の言葉です。
- Sapientia perfectum bonum est mentis humanae.
- 「サピエンティア・ペルフェクトゥム・ボヌム・エスト・メンティス・フーマーナエ」と読みます。
- sapientia は「知、智恵」を意味する第一変化名詞、単数・主格です。
- perfectum は「完全な」を意味する第一・第二変化形容詞、中性・単数・主格です。bonum にかかります。
- bonum は「善」を意味する第二変化名詞、中性・単数・主格です。
- mentis は「心、精神」を意味する第三変化女性名詞 mens の単数・属格です。bonum にかかります。
- humanae は「人間の」を意味する第一・第二変化形容詞 humanus, -a, -um の女性・単数・属格です。
- 「知は人間の心の完全な善である」と訳せます。
- Philosophia sapientiae amor est et adfectatio.
- 「ピロソピア・サピエンティアエ・アモル・エスト・エト・アドフェクターティオーエ」と読みます。
- philosophia は「哲学」を意味する第一変化女性名詞です。
- sapientiae は「知、智恵」を意味する第一変化女性名詞 sapientia の単数・属格です。
- amor は「愛」を意味する第三変化男性名詞、単数・主格です。この文の補語です。
- adfectatio は「追求、希求」を意味する第三変化女性名詞、単数・主格でこの文の補語です。
- 「哲学は知への愛、知の追求である」と訳せます。
- セネカの言葉です。
- Audiatur et altera pars!
- 「アウディアートゥル・エト・アルテラ・パルス」と読みます。
- audiatur は「聞く」を意味する第四変化動詞 audio の接続法・受動相・現在、三人称・単数です。
- et は「・・・も」を意味します。
- altera は「別の」を意味する代名詞的形容詞 alter, -era, -erum の女性・単数・主格です。pars にかかります。
- pars は「部分、側」を意味する第三変化女性名詞、単数・主格です。
- 「別の側(の意見)も聞かれるべきである」という意味になります。
- Quo moriture ruis?
- 「クゥォー・モリトゥーレ・ルイス」と読みます。
- quo は「どこに」を意味する疑問詞です。
- moriture は「死ぬ」を意味する形式所相動詞 morior の未来分詞、男性・単数・呼格で、「死にゆく者よ」と訳せます。
- ruis は「突進する、急ぐ」を意味する第三変化動詞 ruo の直説法・能動相・現在、二人称・単数です。
- 「どこに急ぐのだ、死にゆく者よ」という意味になります。
- ウェルギリウスの『アエネーイス』に見られる表現です。
- Pulchre, bene, recte.
- 「プルクレ・ベネ・レクテ」と読みます。
- pulchre は「美しく」を意味する副詞です。
- bene は「善く」を意味する副詞です。
- recte は「正しく」を意味する副詞です。
- 「美しく、善く、正しく」と訳せます。
- ホラーティウスの『詩論』に見られる表現です。
- Iniqua numquam regna perpetuo manent.
- 「イニークゥァ・ヌンクゥァム・レグナ・ペルペトゥオー・マネント」と読みます。
- iniqua は「不正な」を意味する第一・第二変化形容詞 iniquus, -a, -um の中性・複数・主格です。
- numquam は「けっして・・・ない」を意味します。
- regna は「王国、王権」を意味する第二変化中性名詞 regnum の複数・主格です。
- perpetuo は「永遠に」を意味する副詞です。
- manent は「とどまる、存在する」を意味する第二変化動詞 maneo の直説法・能動相・現在、三人称・複数です。
- 「不正な王国は永遠に存続しない」と訳せます。
- セネカの『メデア』に見られる表現です。
- Miseram servitutem falso pacem vocatis.
- 「ミセラム・セルウィトゥーテム・ファルソー・パーケム・ウォカーティス」と読みます。
- miseram は「惨めな」を意味する第一・第二変化形容詞 miser, -a, -um の女性・単数・対格です。
- servitutem は「隷属状態」を意味する第三変化女性名詞 servitus の単数・対格です。
- falso は「間違って、誤って」を意味する副詞です。第一・第二変化形容詞 falsus, -a, -um (偽りの)からつくられる副詞です。
- pacem は「平和」を意味する第三変化名詞 pax の単数・対格です。
- vocatis は「呼ぶ、称する」を意味する第一変化動詞 voco の直説法・能動相・現在、二人称・複数です。
- 「惨めな隷属状態をあなたがたは誤って平和と称している」と訳せます。
- タキトゥス『同時代史』の中に見られる言葉です。
- Laudatur ab his, culpatur ab illis.
- 「ラウダートゥル・アブ・ヒース・クルパートゥル・アブ・イッリース」と読みます。
- laudatur は「ほめる、称賛する」を意味する第一変化動詞 laudo の直説法・受動相・現在、三人称・単数です。
- ab は「・・・によって」を意味する前置詞で、奪格をとります。
- his は「これ」を意味する代名詞 hic の男性・複数・奪格です。ここでは「これらの人々」を意味します。
- culpatur は「避難する、とがめる」を意味する第一変化動詞 culpo の直説法・受動相・現在、三人称・単数です。
- illis は「あれ」を意味する代名詞 ille の男性・複数・奪格です。ここでは「あれらの人々」を意味します。
- 直訳すると「かの者(物)はこれらの人々によってほめられ、あれらの人々によって非難される」と訳せます。日本語にする場合、能動態の文とみなし、「同じものをほめる者もいれば、非難する者もいる」と訳した方が意味がとりやすいでしょう。
- ホラーティウスの言葉です。
- Duas tantum res anxius optat, panem et circenses.
- 「ドゥアース・タントゥム・レース・アンクシウス・オプタト・パーネム・エト・キルケンセース」と読みます。
- duas は数字の2を意味する基数詞 duo の女性・複数・対格です。res にかかります。res は第5変化名詞 res の複数・対格で、optat の目的語です。
- tantum は英語の only に相当する副詞です。「ただ、・・・だけ」を意味します。
- anxius は「心配している、不安な、熱心な」を意味する第1・第2変化形容詞、男性・単数・主格です。この文に省略されている3人称単数の主語を修飾します。形容詞の副詞的用法と呼ばれる用法です。
- optat は「求める」を意味する第1変化動詞 opto の直説法・能動相・現在、三人称単数です。
- panem は「パン」を意味する第3変化名詞 panis の単数・対格です。
- circenses は「円形競技場の」を意味する第3変化形容詞 circensis の複数・対格で、ここでは名詞化され、「サーカス」の意味で使われています。
- 「(民衆は)二つのものだけを熱心に求める、パンとサーカスと」と訳せます。
- ユウェナーリスの『風刺詩』(10.80)にみられる言葉です。
- Et in Arcadia ego.
- 「エト・イン・アルカディアー・エゴ」と読みます。
- et は英語の also の意味を持ちます。in Arcadia にかかります。
- Arcadia は地名ですが、理想郷の意味で使われます。ここでは in とともに「アルカディアに」という副詞句を作ります。
- Et in Arcadia で「アルカディアにおいても」
- ego は「私は」を意味する人称代名詞です。
- ニコラ・プーサンの絵において、この ego は「死に神」であるという解釈が示されています。
- その場合、sum (私はいる)が省略されていると考えられます。
- 「アルカディアにも私はいる」という意味になります。
- 理想郷といえども死とは無縁ではありえない、という意味です。
- Quot homines, tot sententiae.
- 「クォト・ホミネース・トト・センテンティアエ」と読みます。
- quot A tot B で「A の数だけB」となります。
- homines は「人間」を意味する homo の複数・主格です。
- sententiae は「意見」を意味する第一変化名詞 sententia の複数・主格です。
- 「人間の数だけ意見がある」という意味です。
- 出典はテレンティウスの『ポルミオ』です。
- Per angusta ad augusta.
- 「ペル・アングスタ・アド・アウグスタ」と読みます。
- per は対格を支配し、「・・・を通じて」を意味する前置詞です。
- angusta は「狭さ、苦境」を意味する第二変化名詞 angustum の複数・対格です。
- ad は対格を支配し、「・・・へ」を意味する前置詞です。
- augsta は「神聖な、荘厳な」を意味する第一・第二変化形容詞 augstus, -a, -um の中性・複数・対格です。ここでは名詞として使われています。(形容詞の名詞的用法)
- 「苦境を通じ神聖なものへ」という意味です。セネカの言葉です(狂えるヘルクレス)。
- Res, non verba.
- 「レース・ノーン・ウェルバ」と読みます。
- res は「物、事、事実、出来事」を意味する第五変化名詞、単数(または複数)・主格です。
- verba は「言葉」を意味する第二変化名詞 verbum の複数・主格です。
- A, non B で、「BでなくA」という意味になります。
- 「言葉でなく事実(が大切)」という意味です。
- 口先の約束でなく、実際の行為が重要という意味です。res の代わりに Facta を使うこともできます。英語にも Deeds, not words. というのがあります。
- Tacent, satis laudant.
- 「タケント・サティス・ラウダント」と読みます。
- tacent は「静かにする」を意味する taceo の直説法・能動相・現在、複数3人称です。
- satis は「十分に」を意味する副詞です。
- laudant は「ほめる、賞賛する」を意味する laudo の直説法・能動相・現在、複数3人称です。
- 「彼らは沈黙している。十分賞賛している」と訳せます。
- 黙っているのは賞賛している証拠だという意味です。
- テレンティウスの言葉です。
- PS. 選挙には行きましょう(笑)。
- Pax intrantibus, salus exeuntibus.
- 「パークス・イントランティブス・サルース・エクセウンティブス」と発音します。
- pax が「安らぎ、平和」を、salus が「幸せ、安全、健康」を意味します。いずれも名詞の単数主格です。
- また、intrantibus が「訪れる者に」、exeuntibusが「去りゆく者に」となります。どちらも動詞の現在分詞形で、複数与格です。
- 「訪れる者に安らぎを、去りゆく者に安全を」と訳せます。
- 願望、希求を意味する接続法 sit が省かれています。
- ドイツのローテンブルクという街にあるシュピタール門に、ラテン語で刻まれているそうです。
- Cantabit vacuus coram latrone viator.
- 「カンタービト・ウァクウス・コーラム・ラトローネ・ウィアートル」と読みます。
- cantabit は「歌う」を意味する第一変化名詞 canto の直説法・能動相・未来、三人称単数です。
- vacuus は「空の、一文無しの」を意味する第一・第二変化形容詞 vacuus の男性・単数・主格です。
- coram は「・・・の面前で」を意味する前置詞で、奪格を支配します。
- latrone は「泥棒」を意味する第三変化名詞 latro の単数・奪格です。
- viator は「旅人」を意味する第三変化名詞、単数・主格です。
- 「一文無しの旅人は泥棒の前で歌うだろう。」と訳せます。
- 失うものが何一つない気安さ、気楽さを述べたユウェナーリスの詩句です。
- Si post fata venit gloria, non propero.
- 「シー・ポスト・ファータ・ウェニト・グローリア・ノーン・プロペロー」と読みます。
- si は条件文を導き、「もしも」を意味します。
- post は対格をとり、「・・・の後で」を意味します。
- fata は「運命、死」を意味する第二変化中性名詞 fatum の複数・対格です。
- venit は「来る」を意味する第四変化動詞 venio の直説法・能動相・現在、三人称単数です。
- gloria は「栄光」を意味する第一変化名詞、単数・主格です。
- propero は「急ぐ」を意味する第一変化動詞、直説法・能動相・現在、一人称単数です。
- 「もし死後に栄光が訪れるなら、私は(死を)急がない」という意味になります。
- マルティアーリスの言葉です。
- Annosus stultus non diu vixit, diu fuit.
- 「アッノースス・ストゥルトゥス・ノーン・デュー・ウィークシト・デュー・フイト」と読みます。
- annosus は「年老いた」を意味する第二変化形容詞、男性・単数・主格です。
- stultus は「愚かな」を意味する第二変化形容詞、男性・単数・主格です。両者を併せ、「年老いた愚か者は」と訳せます。
- diu は「長く」を意味する副詞です。
- vixit は「生きる」を意味する第三変化動詞 vivo の直説法・完了・三人称・単数です。
- fuit は「ある、である」を意味する不規則変化動詞 sum の直説法・完了、三人称・単数です。
- 「年老いた愚か者は長く生きたのではなく、長くこの世にいたに過ぎない」と訳せます。
- sum の意味を「この世にいる」と解釈するのがポイントです。vivo の能動的な意味(意図を持って生きる)と対比的に使われています。
- プブリリウス・シュルスの言葉です。
「ラテン語入門」にもどる