ラテン語格言集 (10)
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- Multae sunt causae bibendi.
- 読みは、「ムルタエ・スント・カウサエ・ビベンディ」。
- multae は「多くの」を意味する第一・第二変化形容詞 multus, -a, -um の女性・複数・主格で、causae
にかかります。
- sunt はこの文の動詞で、主語は causae です。「・・・がある」という意味になります。
- causae は、「原因・理由」という意味を持つ第一変化の女性名詞で、複数・主格の形になっています。
- bibendi は「飲む」を意味する第3変化動詞 bibo (ビボー)の動名詞・属格で、causae
にかかります。「飲む理由」となります。
- 全体として「飲む理由はたくさんある。」という意味になります。
- 飲むこと先にありきの場合、口実は後からいくらでもついてくる、というニュアンスでしょう。
- Nunc est bibendum, nunc pede libero pulsanda tellus.
- 「ヌンク・エスト・ビベンドゥム・ヌンク・ペデ・リーベロー・プルサンダ・テッルス」と読みます。
- 全体の意味は、「今こそ(nunc)飲むべし(est bibendum)。今こそ(nunc)自由な(libero)足で(pede)大地が(tellus)踏まれるべき(pulsanda)。」となります。
- est bibendum の形は、動形容詞の述語的用法(非人称構文)、pulsanda は同じく動形容詞の述語的用法(ただし、人称構文)とみなせます。
- 前者は「飲むべきである」、後者は「大地が踏まれるべきである」となります。
- pede は第三変化の男性名詞 pes (ペース),-edis の単数・奪格で、libero がこれを修飾しています。
- libero は「自由な」を意味する第一・第二変化形容詞 liber, -era, -erum の男性・単数・奪格で、pede
にかかります。あわせると「自由な足取りで」という意味になります(手段の奪格)。
- これはホラーティウスの言葉(『詩集』第一巻37.1)です。
- Nihil agendo homines male agere discunt.
- 「ニヒル・アゲンドー・ホミネース・マレ・アゲレ・ディスクント」と読みます。
- nihil は代名詞的形容詞・中性・単数・対格です。英語の nothing に対応する言葉で
agendo の目的語になっています。
- agendo は「行う」を意味する第三変化動詞 ago の動名詞・奪格です。「行うことによって」と訳せます。
- homines は「人間」を意味する第三変化名詞 homo の複数・主格です。
- male は「悪く」という意味の副詞です。
- agere は先に述べた動詞 ago の不定法・能動相で、discunt の目的語です。
- discunt は「学ぶ」という意味の第三変化動詞 disco の現在・能動相・複数・3人称です。主語は
homines です。
- 「人間は何もなさないことによって、悪く行うことを学ぶ。」が直訳になります。
- 「悪く行う」とは「悪事をなす」という意味で解釈されます。
- これはコルメッラの言葉です。
- Hectora quis nosset, si felix Troja fuisset?
- 「ヘクトラ・クィス・ノッセト・シー・フェーリークス・トローイア・フイッセト」と読みます。
- 全体の意味は、「ヘクトルの名を (Hectora) 誰が (quis) 知っただろう (nosset)、もし
(si) トロイアが (Troja) 幸福で (felix) あったなら (fuisset)」となります。
- Hectora はトロイア最大の英雄ヘクトル(Hector)の単数・対格で、nosset の目的語です。
- quis は「誰が」を意味する疑問代名詞 quis の男女性・単数・主格です。
- nosset は「知る」を意味する第三変化動詞 nosco (ノースコー)の接続法・能動相・過去完了・単数・3人称の形
novisse の別形です。
- si は「もしも」を意味する接続詞です。
- felix は「幸福な」という意味の第三変化形容詞・女性・単数・主格です。
- Troja はホメロスの描いた叙事詩『イリアス』の舞台です。
- fuisset は、sum (・・である)の接続法・能動相・過去完了・3人称・単数です。主語は
Troja です。
- 「si + 接続法・過去完了 / 接続法・過去完了」の構文で、過去に於ける事実に反する事柄を仮定します。実際には、トロイアはギリシアに滅ぼされ、悲劇的な運命を辿りました。しかし、その過程で、ヘクトルは力の限り戦い、名を残すことができたのです。
- オウィディウス『悲しみの歌』4.3.75 の表現です。短くとも心に残る言葉です。
- Ira furor brevis est.
- 「イーラ・フロル・ブレウィス・エスト」と読みます。
- ira は「怒り」を意味する第一変化名詞・単数・主格で、この文の主語です。
- furor は「狂気」を意味する第三変化・男性名詞・単数・主格で、この文の補語です。
- brevis は「短い」を意味する第三変化形容詞・男性・単数・主格で、furor を修飾しています。
- 「怒りは短い狂気である」という意味になります。
- ホラーティウスの言葉です。
- Nihil aliud est ebrietas quam voluntaria insania.
- 「ニヒル・アリウド・エスト・エーブリエタース・クヮム・ウォルンターリア・インサーニア」と読みます。
- Nihil は英語の Nothing に相当する言葉です。中性・単数・主格です。
- aliud は、「別の」を意味する第一・第二変化形容詞 alius, -a, -um の中性・単数・主格で
nihil を修飾しています。
- quam (英語の than に相当)以下以外の (=quam) 別の (aliud) いかなるものでもない
(nihil) 。
- 言い換えれば、主語に当たるもの (ebrietas) は、quam 以下(=voluntaria insania)
に他ならない、という意味です。
- ebrietas は「酩酊」を意味する第三変化名詞・女性・単数・主格です。この文の主語です。
- voluntaria は、「自発的な」を意味する第一・第二変化型形容詞 voluntarius,
-a, -um の女性・単数・主格です。insania を修飾しています。
- insania は「狂気」を意味する第一変化名詞・単数・主格です。
- 「酩酊とは、自発的な狂気以外の何物でもない」という意味です。
- セネカの言葉です。
- Cornu bos capitur, voce ligatur homo.
- 「コルヌー・ボース・カピトゥル・ウォーケ・リガートゥル・ホモー」と読みます。
- cornu は、「角」を意味する第四変化・中性名詞 cornu の単数・奪格です。「角によって」と訳せます。
- bos は、「牛」という意味の第三変化名詞、単数・主格で、この文の主語に当たります。
- なお、bos は、その牛の雌雄に従って、性が決定されます。
- capitur は、「つかむ」を意味する第3変化動詞(不定法は capere )の現在・受動相・3人称・単数です。
- voce は、「声、言葉」を意味する第3変化名詞 vox (ウォークス)の単数・奪格です。
- ligatur は、「縛り付ける」を意味する第一変化動詞 ligo (不定法は、ligare
)の現在・受動相・3人称・単数です。
- homo は、「人間」を意味する第三変化名詞、単数・主格で、この文の2つめの主語に相当します。
- homo も、その人間の性によって、文法的な性も決定されます。
- 「牛は角によって捕まえられ、人間は言葉によって縛られる。」と訳せます。
- 牛は、己の武器であるはずの角によって捕まえられます。同様に、人間は、人間にとって益をもたらすはずの言葉によって縛られる(自由を束縛される)、という皮肉な状況を述べた文でしょう。
- Epistula enim non erubescit.
- 「エピストゥラ・エニム・ノーン・エールベースキット」と読みます。
- Epistula は「手紙」を意味する第一変化名詞です。この文では、単数・主格で文の主語になっています。
- enim は接続詞で、この文では「なぜならば」と訳せます。
- erubescit は、「赤面する」という意味の第三変化動詞 erubesco の直説法・現在・能動相・3人称・単数です。
- 「というのも、手紙は赤面しないから」と訳せます。
- 直にあって話すのは照れくさいことでも、手紙なら赤面せずに語ることが出来るというニュアンスでしょう。
- Quidquid id est, timeo Danaos et dona ferentis.
- 「クィドクィド・イド・エスト・ティメオー・ダナオース・エト・ドーナ・フェレンティース」と読みます。
- id は代名詞 is の中性・単数・主格です。
- quidquid は、不定関係代名詞 quisquis の中性・単数・主格です。関係代名詞と同じ変化をします。「・・・するところの人(物)は誰(何)でも」と訳せます。
- 前半は、「それが何であっても」という意味になります。英語で言えば、Whatever
it is... という訳になるでしょう。
- この文では id は、話者の目の前にある木馬(トロイの木馬)を指しています。
- timeo は「私は恐れる」という意味の第二変化動詞、直説法・現在・能動相・一人称・単数です。
- et は一般には英語の and に対応しますが、この文で「そして」と訳すと意味が取れません。et
は英語の even, also の意味も併せ持ちます。
- その場合、「たとえ dona を ferentis するのであれ、私は Danaos を恐れる」というニュアンスになります。
- dona は「贈り物」を意味する第二変化・中性名詞 donum (ドーヌム)の複数・対格で、ferentis
の目的語になっています。
- ferentis (フェレンティース)は、「運ぶ、もたらす」という意味の不規則変化動詞
fero (フェロー)の現在分詞・男性・複数・対格で、Danaos と一致します。(ferentis
の語末の母音は長い)。
- Danaos は、ギリシア人を意味する Danai (ダナイー)という男性・第二変化名詞の複数・対格です。
- 「(目の前にある)それが何であれ、私はギリシア人を恐れる、たとえ贈り物をもってきたとしても。」という意味になります。
- ウェルギリウスの『アエネイス』に見られる表現です。ギリシアの奸計(木馬の計略)を警告する神官ラオコーンのせりふです。彼の警告は聞き入れられず、その結果、トロイアは破滅します。第二巻では、このエピソードをカルタゴの女王ディードーの前で、トロイアの英雄アエネアスが語っている、という流れになっています。
- Ducis in consilio posita est virtus militum.
- ドゥキス・イン・コンシリオー・ポシタ・エスト・ウィルトゥース・ミーリトゥム」と発音します。
- ducis は、「指導者、指揮官、将軍」を意味する第三変化名詞 dux の単数・属格で、consilio
にかかります。
- consilio は「思慮、考え、判断、戦略」といった意味を表す第二変化名詞 consilium
の中性・単数・奪格です。
- posita は「置く」を意味する第三変化動詞 pono の完了分詞、女性・単数・主格です。次の est とセットになり、受動相をつくります。主語に当たるものは「置かれている」となります。時制は完了ですが、この文の場合、英語の現在完了のニュアンスで理解できます。
- virtus は「勇気」を意味する第三変化名詞、女性・単数・主格で、この文の主語です。
- militum は、「兵士」を意味する第三変化名詞 miles の複数・属格で virtus
にかかっています。
- 全体をまとめると、「兵士たちの勇気は、指揮官の戦略に置かれている。」となります。「置かれている」というのは、「かかっている」と言い換えてもよいでしょう。
- 兵士たちを鼓舞できるのは指揮官であり、それは緻密な戦略に基づく必要があるという趣旨でしょう。
- プーブリリウス・シュルスの言葉です。
- <補足>以下は覚書です。「長のつく立場、監督など dux とみなされる者の責任は重い。一方、自分を支配する自分という立場もローマ人は意識していた。
Imperare sibi maximum imperium est. 自分自身を支配することが最大の支配である、と。」
- Conscientia bene actae vitae jucundissima est.
- 「コンスキエンティア・ベネ・アクタエ・ウィータエ・ユークンディッシマ・エスト」と発音します。
- conscientia は「意識」を意味する第一変化名詞で、この文の主語です。
- bene は bonus (よい)の副詞で「よく」を意味します。
- actae は「行う、なす、導く」等を意味する第三変化動詞 ago の単数・属格で、vitae
にかかります。
- vitae は「人生、命」を意味する第一変化名詞 vita の単数・属格で、conscientia
にかかります。
- jucundissima は「快い」を意味する第一・第二変化形容詞 jucundus, -a, -um
の最上級で、女性・単数・主格です。この文の補語になっています。
- 「よく(bene)営まれた (actae) 生の(vitae)意識は (conscientia) 最も快い
(jucundissima est)。」となります。
- actae vitae の属格が conscientia にかかっているわけですが、この属格は、「説明の属格」(同格関係を示す)と理解できます。例として、verbum
amicitiae は、「友情の言葉」ではなく、「友情という言葉」と解釈できます。
- キケローの『老年について』(De senectute)に見られる言葉です。>>『老年について』(岩波文庫)(amazon)
- これは、日常よく耳にする台詞です。死ぬときに、自分の人生を振り返り、「ああいい人生だったなあ」と言えることが大事である、ということですね。
- Amor, ut lacrima, ab oculo oritur, in pectus cadit.
- 「アモル・ウト・ラクリマ・アブ・オクロー・オリートゥル・イン・ペクトゥス・カディト」と発音します。
- amor は「愛」を意味する第三変化名詞で、男性・単数・主格です。
- lacrima は「涙」を意味する第一変化名詞で、女性・単数・主格です。
- ut は「・・・のように」を意味します。
- oculo は、「目」を意味する第二変化名詞で、男性・単数・奪格です。この奪格は前置詞 ab とあわせ「目から」と訳せます。
- oritur は、「生じる、起きる」を意味する形式受動態動詞(deponent)orior
の三人称・単数・現在の形です。
- pectus は「胸」を意味する第三変化名詞 pectus, -oris の単数・対格です。対格になるのは、対格を支配する
in とともに用いられるためです。「胸の中へ」と訳せます。
- cadit は、「落ちる」を意味する第三変化動詞 cado の現在・能動相・三人称・単数です。
- 「愛は涙のように、目から生まれて胸へと落ちる」となります。
- プーブリリウス・シュルスの言葉です。
- Sapiens nihil opinatur, numquam irascitur.
- 「サピエーンス・ニヒル・オピーナートゥル・ヌンクゥァム・イーラスキトゥル」と読みます。
- Sapiens は「賢い」を意味する第三変化形容詞ですが、ここでは「賢者」という意味の名詞として使われています。形は、男性・単数・主格です。
- nihil は「無」を意味する代名詞的形容詞で、中性・単数・対格です。
- opinatur は「推測する、判断する」の意味を持つ形式受動態動詞です。ここでは、現在・三人称・単数の形をしています。
- numquam は英語の never に当たる副詞で、「決して〜ない」と訳します。
- irascitur は、「怒る」を意味する形式受動態動詞です。現在・三人称・単数です。
- 「賢者は何も憶測せず、けっして怒ることはない」となります。
- キケローの言葉です。
- Crescentem sequitur cura pecuniam.
- 「クレスケンテム・セクゥィトゥル・クーラ・ペクーニアム」と読みます。
- crescentem (増える)pecuniam (金銭)に、cura (心配事)が、sequitur.(つきしたがう)、というのが、直訳です。
- crescentem は「成長する」を意味する cresco の現在分詞・女性・単数・対格です。この文では
pecuniam にかかります。
- sequitur は「従う」を意味する形式受動態動詞(deponent) sequor の現在・3人称・単数です。
- cura は「心配」を意味する第一変化名詞の単数・主格でこの文の主語になっています。
- 「増える金銭には心配事が付き従う。」という意味です。
- ホラーティウスの言葉です。
- Sequere naturam.
- 「セクゥェレ・ナートゥーラム」と読みます。
- sequere は「従う」を意味する形式所相動詞 sequor の命令法です。
- naturam は「自然」を意味する第一変化名詞 natura の単数・対格です。
- 「自然に従え。」という意味です。ストア派のモットーとみなされます。
- Acta est fabula.
- 「アクタ・エスト・ファーブラ」と読みます。
- acta は「行う」を意味する動詞 ago の完了分詞・女性・単数・主格です。
- est は完了分詞 acta とともに用いられて完了・受動の意味を持ちます。
- 主語は fabula (お芝居)です。これは、女性・単数・主格です。
- 「芝居が行われた。」というのが直訳です。
- 「ひとつの芝居が演じられてもう終わった。」という意味です。「芝居は終わりだ。」とも訳せます。
- アウグストゥスの臨終のせりふとして伝えられます。
- quo fata trahunt, retrahuntque, sequamur.
- 「クゥォー・ファータ・トラフント・レトラフントクゥェ・セクゥァームル」と読みます。
- quo は関係詞で「・・・する方に」と訳せます。
- fata は「運命」を意味する中性・第二変化名詞 fatum の複数・主格です。
- trahunt は「運ぶ」を意味する第三変化動詞 traho の現在・複数・3人称。主語は
fata。
- retrahunt は「戻す」を意味する第三変化動詞 retraho の現在・複数・3人称。
- sequamur は「従う」を意味する第3変化の形式所相動詞 sequor の接続法・現在・複数・一人称。接続法の用法として、意思を表す表現とみなせます。
- 「運命が(私たちを)運び、連れ戻すところに、われわれは従おう。」と訳せます。
- <補足>これは、ウェルギリウスの『アエネーイス』(5.709)に見られる言葉です。困難に直面し思案するアエネーアスに向かい、老雄ナウテースが励ますせりふです。「あなたと心はひとつ。運命とも心はひとつ」といった心が感じ取れます。運命をあらわすラテン語に、fata
(単数は fatum)、fortuna の二つがあり、後者は女性名詞でもあり、しばしば「運命の女神」と同一視されます。ここでは、中性名詞の
fatum が使われているのですが、この言葉のルーツは、「語る」という動詞 for
の完了分詞にあります。この叙事詩の中で、この fatum という語を見るなら、fatum とは、ユピテル(ギリシア神話のゼウス)の意思、という読み取りが可能です。
- Omnia suo tempore facienda sunt.
- 「オムニア・スオー・テンポレ・ファキエンダ・スント」と読みます。
- omnia は「すべて」を意味する第三変化形容詞 omnis の中性・複数・主格です。
- suo は再帰代名詞 suus の中性・単数・奪格で tempore にかかります。
- tempore は「時間」を意味する第三変化名詞 tempus,-oris の単数・奪格です。
- tempore は、suo とあわせて「それ自身の時に」となりますが、いわんとすることは、「そのもっとも適切な時に」ということと解釈されます。
- facienda は「行う、する」を意味する第三変化動詞 facio の動形容詞の中性・複数・主格で
omnia と同格です。sunt とあわせて「・・・されるべきである」と訳すのが直訳になります。
- 「すべてのことがらは、そのもっとも適切な時に、行うべきである。」という意味になります。
- <補足>時宜にかなった仕事に意味がある、ということですが、日常生活では、優先順位を間違って、些事に時間を使うこともあります。
「大事なことから手をつける。」という当たり前のことが肝心なのでしょう。
- Omnis habet sua dona dies.
- 「オムニス・ハベト・スア・ドーナ・ディエース」と読みます。
- omnis は「すべて」を意味する第三変化形容詞 omnis の女性・単数・主格で dies
にかかります。
- habet は「もつ」を意味する第二変化動詞 habeo の単数・現在・3人称です。主語は
dies です。
- sua は再帰代名詞 suus の中性・複数・対格で dona にかかります。
- dona は「贈り物」を意味する第2変化名詞 donum の複数・対格です。habet の目的語になっています。
- dies は「日」を意味する女性・第5変化名詞 dies の単数・主格です。
- 「すべての日は、それ自身の贈り物をもっている。」という意味になります。
- <補足> マルティアーリスの言葉です。毎日、何か新しい贈り物との出会いが待ち受けている、というポジティブな視点が示されています。毎日の新しい出会いや発見は、人間が手に入れるものというよりも、dies
から授かるもの(=dona)という見方が新鮮です。
- Cum tacent, clamant.
- 「クム・タケント・クラーマント」と読みます。
- cum は英語の when や as と同様、時を表す従属文を導きます。tacent であるとき、clamant
である、という意味になります。
- tacent は「黙る」という意味の第二変化動詞 taceo (タケオー)の現在・複数・三人称の形です。
- clamant は「叫ぶ」を意味する第一変化動詞 clamo (クラーモー)の現在・複数・三人称の形です。
- 「彼らが沈黙する間、彼らは叫んでいる」という意味になります。
- これはキケローの一文です。キケローに告発された者たち(カティリーナの一味)がいて、キケローはその悪行を問いつめます。指摘されて黙っているのは、自分が有罪である!と叫んでいるのだ、とキケローは言い放ちます。バックグラウンドがわかると、こんなにシンプルな「ひねり」でこんなにインパクトの強い台詞が吐けるものなんだ、と感心してしまいます。