ラテン語の辞書・教科書のアンケート」実施中(~8/21)。

(厳選)おすすめの辞書

古典ラテン語辞典
国原吉之助著、大学書林(2005年)、37,800円。
研究社の「羅和辞典」と比べ、訳のついた例文が充実しています。また、単語の文例に於ける用法(たとえば、「性質の奪格」など)についても、巻末に文法事項を網羅したリストがあり、その説明との照合ができるようになっています。これは学習者にとって画期的なことです。

羅和辞典(改訂版)
水谷 智洋著、研究社(2009年)、6,480円。
見出し語は4万5千。新しい時代に相応しい新しい辞書として生まれ変わりました。 紙質も印字も現代的で申し分なく、たいへん引きやすい辞書です。

この内容をベースとしたCD-ROM版があります。言うまでもなく便利です。

研究社 羅和辞典 改訂版
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Cassell’s Latin Dictionary: Latin-English, English-Latin
D. P. Simpson Donald Penistan Simpson, 1977.
ラテン語-英語、英語-ラテン語の辞書です。 用例も載っていて役に立ちます。英語からラテン語単語がひけるというのは、実生活で意外に役に立ちます。何か日本語の言葉をラテン語に直したいという時、「日本語–>英語–>ラテン語」の順に言葉を探せばよいでしょう。

Oxford Latin Dictionary (DICTIONARY)
P. G. W. Glare, 1983.
現在望みうるラテン語辞書の最高峰です。略称OLD。専門家のお守りみたいな辞書。 ただし、両手を使わないと持ち運べませんので覚悟が必要。

EPWING for the classics
これは市販されている辞書ではありません。ラテン語学習の最大の困難の1つが「変化形から辞書の見出しの形を見つけること」ですが、リンク先の辞書データを使えばこの悩みから開放されます。

リンク先の「ダウンロードページ」の一番上に「羅英辞典」のリストがあります。2つ目のLewis and Short, A Latin Dictionary を選ぶとよいでしょう。

変化形見出し、検索方法で4つのファイルが選べるようになっています。私は一番下の「変化形見出し」→「あり」、「検索方法」→「前方・後方、クロス、条件」を選んでいます。

元サイトの「はじめに」のところで、ビューワーソフトのリストも載っています。気に入ったソフトと組み合わせて、この電子辞書を使いこなしてください。

ウェブの上でLewis & Shortの辞書を検索するにはPerseus の羅英辞典を利用します。

(厳選)おすすめの教科書・問題集

はじめに私の書いた教科書と問題集をご紹介します。市販されている教科書の中で1番平易な説明をしていると思います。これを一冊最後まで終えれば、後で紹介するどの教科書をお求めになっても、その内容をよく理解することができると思います。

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(付録)例文集
教科書に出てくる例文をまとめました(pdf)。
(付録)単語集
教科書に出てくる単語をまとめました(pdf)。
(付録)活用・変化一覧
暗記すべき活用と変化の一覧を纏めました(pdf)。

練習問題は各課に5問ずつあります(10問の課もあります)。問題は精選し、その分解説を懇切丁寧にしています。一つ一つの問題文をじっくり読んで「なるほど」と合点していただくためです。

ここで教科書の「まえがき」について補足します。

今読み返すと訂正したくなる箇所があります。それは、ラテン語→日本語、日本語→ラテン語、の練習を強調しすぎだという点です。一番大事なことは、マイペースでラテン語学習を楽しんで続けていただくことです。例文の暗記は大事ですが、マストではありません。気に入った例文は自然に覚えるでしょう(そのくらいの気持ちでちょうどよいです)。ご自分で例文を収集し、本の余白に書き込んで欲しい、ということを書いてもよかったかもしれません。

しっかり身につくラテン語トレーニングブック (Basic Language Learning Series)
山下 太郎
486064431X

この問題集は上の教科書とセットで使っていただくと効果的です(目次は同一なので学びやすいです)。上の教科書で用いたラテン語をベースにした文法の確認問題に加え、羅文和訳の問題が各課10問ずつあり分量的に不足はないでしょう。これを終えると辞書を使って原典講読に挑戦する基礎力ができあがると思います。

はじめてのラテン語
大西英文著、講談社(1997年)、1,015円。
新書版のラテン語入門書です。 第2章まで、ラテン語の例文にはすべて、カナのルビがついています。 一通りラテン語を学んだ人にとっては、本書を拾い読みするだけでも知識の整理になります。 全文がですます調でかかれているので親しみやすいです。 ところどころに脱線話が挿入されていて、肩の力を抜いて読むことが出来ます。

ラテン語初歩
田中利光著、岩波書店(2002年)、3,672円。
無駄のない簡潔な解説と、無理なく取り組める練習問題。質、量ともに、市販されている教科書の中で、もっとも平易な内容になっています。(問題文のおもしろさと難しさという観点で比較すると、「楽しく学ぶラテン語」(面白いが難しい)の対極に位置します。 和羅問題は、羅和問題をヒントにすれば自信を持って解答できるように工夫されています。 他の教科書同様、解答はついていません。自習向きではないです。

独習者のための楽しく学ぶラテン語
小林標著、大学書林(1992年)、4,968円。
この教科書の特徴は例文や練習問題のラテン語がじつに格調高い点であります。 そのほとんどがラテン語作家の原文から引用してあり、その出典も明記してあるため、ラテン語を学ぶほどにラテン文学への関心が自ずと高まります。はじめてラテン語学習に取りかかる人にはやや敷居が高い印象を与えることでしょう。また、練習問題には解答がないことが独習者にとって最大のネックになります。ただし!ラテン語メーリングリストでは、著者の許可を得て、この本を使った勉強会を続けています。

Lingua Latina Familia Romana Pars I
Hans H. Orberg
1585102385

この教科書はラテン語に興味のある人なら誰にでもオススメできます(英文法未履修の小学生は除く)。できれば、他の教科書で挫折したという人はリハビリを兼ねて一度手にとってみてください。この教科書が最初のラテン語の教科書だという人も、英語をひととおり学んだという人なら大丈夫です。

英語だけでなく他の欧米語も学んだ経験がある人なら、ラテン語の勉強を思う存分楽しめると思います。教科書はすべてラテン語で書かれています。なのに、「わかる」のです。ラテン語の勉強を今までしたことのない人も、「わかる」のです

ふとわれにかえると「あ、自分はラテン語を勉強して読んでいたんだ!?」と不思議な感覚にとらわれるでしょう。私なりに理由を考えると、英語を学んだことのある日本人は、英語を通し、ラテン語文法の基礎を学んでいるからです。そのことに気づく人は少ないのですが、この本をエンジョイできるとしたら、それは日本の英語教育のおかげです。