シラバスの内容

  1. 西洋古典文化とは:西洋古典文化とは何かについて説明する。
  2. philo-sophy / sum, es, est, sumus, estis, sunt / Homo sum. / EST EST EST / Cogito ergo sum. / inter-est / ex-pression / im-pression /Errare humanum est./和製漢語→英語→語源

  3. 現代に生きる西洋古典文化(1) ヨーロッパの現代文化に見られる西洋古典文化の影響について考える。
  4. 大学とは / 学生とは / ニューヨークの意味 / 名前の意味 / 校訓 / MIT: MENS ET MANUS(心と手) / KIT: 知(SCIENTIA)美(VENUSTAS)技(ARS)/ ARS ET VERITAS / 医学としてのARSの例:Ars longa vita brevis. (=Art is long, life is short.) Seneca, De Brevitate Vitae: 「人生の短さについて」におけるヒポクラテスの言葉 / Vitruvius(ウィトルウィウス)の「用(UTILITAS)・強(FIRMITAS)・美(VENUSTAS)」/ 人文学を象徴するラテン語:HUMANITAS

  5. 現代に生きる西洋古典文化(2) 英語表現に見られる西洋古典文化の影響について紹介する。
  6. ラテン語の動詞:amō(私は愛する), amās, amat / amāmus, amātis, amant / ラテン語の名詞(1):rosa, rosae, rosae, rosam, rosā / rosae, rosārum, rosīs, rosās, rosīs / ラテン語の名詞(2): animus(精神、心), animī, animō, animum, animō / animī, animōrum, animīs, animōs, animīs / Ph.D(博士号)とは? Philosophiae doctor(哲学の博士)のこと。philosophiaeはphilosophiaの単数・属格(~の)。なぜサイエンスの研究者も Ph.D(哲学博士)と呼ばれるのか。「哲学」とは何か?philo-sophyの語源は ラテン語のphilo-sophia(ギリシア語で知を愛すること)。真理探究の山において、どの道から山頂を目指してもよい。知の登山者はみな philosophus(哲学者=知を愛し求める人)。一定の成果をあげた人は philosophiae doctorと呼ばれる。「定義」の重要性。日本語(和製漢語)をかみ砕く。/
    「教育」とは?educatio(外に導く)とは?「何」を「どこから?」「誰が」導くか。/ ソクラテスの問答法。自分で自分と問答することも可能。自分で考えるために自分の考えを文章に表してみる(エッセイとは試みの事)。/ キケローによる「哲学」の定義:Cultūra animī philosophia est.(アニムスのクルトゥーラはピロソピアである)。/ 参考:ラテン語辞書:http://aeneis.net/dic/ / Lewis & Short(羅英辞書) Searchの文字は便宜的に amoになっている。それ以外の語を入れて(変化した形でもOK)検索。

  7. 現代に生きる西洋古典文化(3) 日本語の外来語に見られる西洋古典文化の影響について紹介する。
  8. 現代に生きる西洋古典文化(4) 漢文の四字熟語と西洋古典文化の格言を比較し、類似点と相違点について考える。
  9. ラテン語の命令文。動詞の命令法は、不定法の語尾から-reを取る。faciō,-ere(作る)はfaceでなくfac(例外)。fac+simile(似たもの)はfacsimile(ファックス)。/ Ora et labora.(祈れ、働け)。/ 漢字の「仁」。「ひとしい」の意味がこめられている。『論語』のキーワード。「思いやり」、「慈しみ」ということでいえば、ラテン語のpietāsが近いか。「少年老い易く学成り難し」とArs longa vita brevis. / 「一期一会」とCarpe diem.(カルペ・ディエム) / 「子曰く」とIpse dixit.

  10. ギリシャ文学(1) ホメロスの作品に見られる名言名句について紹介する。

  11. dīcō,-ere,dixī, dictum(言う) / dīcō, dīcis, dīcit, dīcimus, dīcitis, dīcunt / Studēre vīvere. Lūdere vīvire. Amāre vīvere. / 「Ipse dixit. 子曰く(しいわく / しのたまわく)」 / ホメーロスについて。/ 「実際、夫と妻が心を合わせて家庭を営むほど素晴らしく力強いことはありません。」(『オデュッセイア』にてオデュッセウスがナウシカにかけた言葉

  12. ギリシャ文学(2) ヘシオドスの作品に見られる名言名句について紹介する。

  13. Ipse dixit.再び。dīcō,-ere,dixī(言う)の直説法・能動態・完了、3人称単数。見出しから数えて3つ目が直説法・能動態・完了、1人称単数(=私が言った)。dixitは3人称単数ゆえ、「彼は言った」。Ipseは強意代名詞 ipse,ipsa,ipsum(みずから、~自身)の男性・単数・主格。「主語自身が」と訳す。この文の主語は dixitから「彼は」を補って理解する。その「彼は」に「~自身が」がつくため、全体は、「彼自身が言った」と訳せる。文脈から「彼」=「ピタゴラス」=「先生」=「子」と理解できるので、岩波文庫の「ギリシア・ローマ名言集」で柳沼重剛先生は、「子のたまわく」と意訳されている。/ Perseus Digital Library / ヘシオドスについて。『神統記』と『仕事と日』。いずれも岩波文庫に訳がある。「ヘシオドス 名言」で検索すると、主に後者の作品に出てくるフレーズがみつかる。現代の目から見ても共感できるフレーズが盛りだくさん。その一つ、「神は幸福の前に汗を置いた」。/ 「人はなぜ働くのか」 / プロメテウスの火盗み。/ プローメテウス(先知男)とエピーメテウス(後知男) / パンドラの犯した過ち。甕(かめ)から飛び出した悪いものと甕の中に残ったもの(希望=エルピス)について。/ 五時代説話。金、銀、銅、英雄、鉄。現代はなぜ鉄か。労働と争いの時代という認識。/ 正義(ディケー=ユースティティア)のもつ意味。「正義の都市」の記述。/ ウェルギリウスによるヘシオドスの改変。/ ウェルギリウスの3つの作品。『牧歌』、『農耕詩』、『アエネーイス』。/ 『牧歌』のフレーズ:Omnia vincit Amor.(愛の神はすべてを征服する)。/ 『農耕詩』のフレーズ:labor omnia vicit improbus. 2つの解釈の可能性について。

  14. ローマ文学(1) ウェルギリウスの作品に見られる名言名句について紹介する。

  15. 『農耕詩』はヘシオドスの『仕事と日』の本歌取り(ルクレーティウスの影響もあり)。ヘシオドスは「今は鉄の種族の時代」と述べたが、ウェルギリウスの出した答えは?
    labor omnia vicit improbus.の2つの訳。
    1)不屈の労働がすべてを克服した。2)邪な苦しみが全世界に蔓延した。1)→努力すれば困難は克服できる。2)→苦しみ、苦悩は分け隔てなくすべての人間に訪れる。

    Nec vero terrae ferre omnes omnia possunt. だがすべての土地がすべてを生むことはできない。(『農耕詩』2.109)
    働くこと=神の与えた罰という見方。才能を磨き社会に生かす。それには多様な道があること。「すべてがすべてを生まない」時代において、すなわち多様性が保障される時代において、技術を磨き、個性を磨く意義がある。黄金時代は画一的でその意義は認められない。今の時代は黄金時代ではないが、豊かな可能性のある、希望ある時代になりうると主張。
    ferre omnes omnia possent.(すべてがすべてを生むことになるだろう)。Lucr.1.166  / Non omnia possumus omnes. (われわれ誰もがすべてのことをできるわけではない)Ecl.8.63 / 『農耕詩』における多様性のテーマ(参考)

  16. ローマ文学(2) ホラーティウスの作品に見られる名言名句について紹介する。
  17. 現代に生きるローマ人の言葉(1) 生きる希望を与えるローマ人の言葉を紹介する。

  18. Dum spiro, spero.
    ホラーティウスの言葉より:Carpe diem.Aurea mediocritasについて。前者はMemento mori.のモチーフ。『徒然草』との比較。特に第59段、74段、108段、188段。「人の命は雨の晴れ間をも待つものかは」。/ 「逆説」について。『老子』と『論語』それぞれを視野に入れる。「黄金の中庸」とはバランスを大事にすること。ホラーティウスは富や名誉を軽視すべきと述べつつ、全否定する態度は行き過ぎと見ている。セネカと兼好法師のほうが徹底している。/ ウェルギリウスの希望の言葉:「今の苦しみを思い出して喜べる日も訪れる」(『アエネーイス』)/ 「はかなきは人の世の営み」(『アエネーイス』)(参考)。pictura inanisという逆説的表現にこめられた詩人の魂の声。芸術、虚学への励ましの言葉として。→「文学万歳」(キケロー)(参考)。

  19. 現代に生きるローマ人の言葉(2) 行動を後押しするローマ人の言葉を紹介する。

  20. Acta, non verba.Age quod agis.の二つ。ago,-ere(行う)の現在分詞は agens、完了分詞は actus,-a,-um。act, action, actorなど、いろいろな形で英単語に入っている。 / age quod agis.
    とスティーブジョブズのドットの考えの類似性。2つの行動原理をめぐって。結果を重視するか、プロセスを重視するか。/ 余談。勉強、学問は競争ではない。人類レベルでみたとき、個々のstudy(熱意に満ちた取り組み)は壮大な共同作業につながっている。(予告)アインシュタインの a man of success vs a man of valueについて。

  21. 現代に生きるローマ人の言葉(3) 愛する心に響くローマ人の言葉を紹介する。

  22. Omnia vincit Amor.愛はすべてに勝つ。/ 愛の神はすべてを支配する。)/ Si vis amari, ama. 「愛されたいなら愛しなさい」(セネカ) / amare(愛すること)とstudere(熱中すること)の類似性 / スティーブ・ジョブズの I loved it.について / you can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. / ドットを打ち込む熱意(amor / studium)を大切に。/ 「論語」より:「本立ちて道生ず」が逆説である件 / 日本昔話より:正直じいさんは花を咲かせるために犬を飼ったのではない件 / サウンドオブミュージックにおける Something Good の歌詞について / 点と点を結びできた線:「人間万事塞翁が馬」について / ヘロドトスの言葉:「誰も死ぬまでは幸福ではない」

  23. 現代に生きるローマ人の言葉(4) 人生に潤いを与えるローマ人の言葉を紹介する。

  24. ラテン語の文法:第2変化中性名詞。Acta, non verba.(言葉でなく行動)とActa, et verba.同様に、Multa, non multa.(多読でなく精読)と Multum, et multa.について。

    「どの港を目指すかわからなければ順風は吹かない」(セネカ)について。目指すもの、目的地について、ローマ人はどう考えていたか。

    目の前のことに無心に取り組むことと、目的意識をもって取り組むことと。「子どもは大人の父である」考(参考)。ワーズワースの詩の紹介。>>園長日記の記事(2008-09-03)

    「運命」について。ラテン語ではfatum(ファートゥム)という(英語のfate)。「言われたこと」。「天命」ということ。方向性についての暗黙の了解。ジョブズ氏のように、未来から過去をふりかえり、自分の導かれた足跡(ドットとドットが結ぶライン)を感謝して見つめる態度を、pietas(ピエタース)と呼ぶ。英語のpiety(敬虔)。

    「才能」について。その多い少ないを気にするなかれ。genius(ゲニウス)について。ゲニウス(いわば「良心」として)一人一人の活躍を応援する。その声に耳を貸すか、無視するかで人生行路は大きく変わる。「才能と好奇心」(参考) genius loci(ゲニウス・ロキー)は「土地のゲニウス」。力の活かし場所、活かす方向性について、エマソン、ジョブズ、キケローの言葉。

  25. ラテン語と英語 日本人がラテン語を学ぶ意義について述べる。

  26. inter-est(興味、関心)を持つとは。「対象と自分との<間に>何かが<ある>こと」。その「何か」を探るのが主体的学びの糸口。/ ヘレンケラーはデカルトの I think therefore I am.(Cogito ergo sum.)をどう受け止めたか。/ 1年前の資料紹介。>>2017-01-23 授業メモ

  27. まとめ

  28. どの港を目指すかわからなければ順風は吹かない」(セネカ)。/ 目的地について。「真・善・美」。/ 「哲学」(philosophia)の意味。/ liberal artsとは。/ 無知の知>無知の無知。 / Post nubila Phoebus.の解釈をめぐって。/ 試験について:スマホの利用も可とする。

    参考書『ローマ人の名言88』(山下太郎著、牧野出版)
    学年末に科す筆記試験の結果のみで成績評価を行う。講義内容の理解が60%以上のものを合格とする。
    試験は、配布資料・ノート(コピー可)・参考書、辞書すべて持ち込み可で実施する。

    >>2017年度(後期)試験を終えて

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