アマチュアとプロ

amateur(アマチュア)という英語は、「愛する人」という意味のラテン語 amator(アマートル)が語源である 。英語の amateur の日本語訳は、通例「素人」(しろうと)や「愛好家」となるが、語源に照らすなら、後者が言葉の成り立ちをより適切に伝えていると言えるかも知れない 。

他方、professional(プロフェッショナル)という英語は、「専門家、くろうと玄人、プロ選手」といった日本語に対応する。元来形容詞であったこの単語が名詞として用いられるようになったのは200年ほど前のことであり、さらに遡れば、宗教上の「公言、宣言、告白」といった意味をもつ profession (13世紀ごろから用いられた用例)に由来する 。

profession は、動詞の profess とともに、「公に宣言する」という意味のラテン語 profiteor(プロフィテオル)の完了分詞 professus(プロフェッスス)からできた言葉である。昔は、「自分はこれで食っていく」と「公に宣言する」と、それがすなわち「職業」とみなされたのだろうか。たしかに、胸を張って「自分にはこういうことができる」と世の中に向かって「宣言すること」は、今で言う「プロ意識」とつながるように思われる。

蛇足だが、プロ、アマを問わず、自分の興味に即したテーマについて、ホームページを開設することは、まさしく「世の中に宣言すること」すなわち「プロフィテオル」することにほかならない。テレビが登場したころ、「一億総白痴化の時代 」との警鐘が鳴らされたが、インターネットの時代とは、まさに「一億総プロ化の時代」の到来といってよい。「質=クオリティ 」の話は別に置くとして、個人が情報を世の中に発信できることの意義は大きい。

ちなみに「大学教授」のことを英語で「プロフェッサー(professor)」というが、これも今紹介したラテン語 profiteorと関連してできた語である。すなわち、「プロフェッサー」とは、語源に照らせば、自分の教えや考えを「公に向かって宣言する仕事」と理解できるが 、そのプロ意識を発揮する場として、今後はインターネットのホームページが重要な役目を担うと思われる。事実、大学の先生方が自分の専門知識をホームページで社会に向かって語る時代がくれば、日本の教育は変わる予感がする。

ところで、profiteor というラテン語は、pro + fateor と分解することができる。以下 pro と fateor それぞれの部分について少し詳しく見ておく。まず、pro はいくつかの意味を持つ接頭辞であるが、profiteor においては「公に」という意味をもつ。この接頭辞が用いられた英単語の例としては、proclaim(宣言する)や pronounce(発音する)、program(プログラム)などがある。

このうちproclaim は pro + claim と分解できる。claim は「要求する」という意味の英語であるが、日本語でも、商品に対するクレーム(claim)という意味で用いられる 。語源は「叫ぶ」という意味のラテン語clamo(クラーモー)である。次に、pronounce もpro + nounce と分けられる 。nounce は、「知らせる」を意味するラテン語の nuntio(ヌンティオー)に由来する 。このように、語源としてnuntio を共有する英単語の例としては、announce (公示する)、denounce (公然と非難する)、enunciate(発音する、明確に述べる)などがある。program(プログラム)も日本ではすっかりおなじみになった英単語で、カタカナ表記も珍しくないが、この単語のgramの部分は「文字」を意味するギリシア語の gramma に遡る 。

さて、本題の profession に話を戻すと、この言葉から pro を取った fession については、すでにふれたとおり、ラテン語の fateor(認める)がルーツである 。このfateorは、さらに「語る」という意味の for(フォル) とつながりをもつ。また、for の完了分詞形fatus(ファートゥス)は、「運命」を意味する英語の fate の語源になっている。元のラテン語 fatus とは、「語られたこと」というニュアンスを持つが、ローマにおいて運命を語る主体は、Jupiter(ジュピター) とみなされる。

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