ローマ字読みをする。

原則1: 発音のルールは「ローマ字読みする」ということです。

amor(愛)は「モル」と発音します。(太字の部分にアクセントがあります。)rosa(バラ)は「サ」と発音します。ラテン語でs の文字は常に「サ行」の子音 s の音です。つまり「ロザ」とにごりません。例:sanctus (神聖な)は「ンクトゥス」と発音します。

Caesar(カエサル)、Seneca(ネカ)と発音します。Caesar の発音もシーザーとはせず、カエサルと読みます。カエサルは『ガリア戦記』の作者です。シーザーは英語読みです。つまりラテン語の場合 c の文字は 「カ行」の子音[k] と発音します。

また g の文字は必ず [g] となります。たとえば「私は」を意味する ego は「ゴ」となります。また、「私は考える」という意味の動詞 cōgitō は「 コーギトー」です。従って、デカルトの言葉、Cōgitō ergō sum.は「ーギトー・ルゴー・ム」と発音します。

その他の例:

deus (ウス)神、dea(ア)女神、familia (ファリア)家族、nemus (ムス)森、soror(ロル)姉妹、magnus(グヌス)大きな、grātia(グラーティア)感謝、lacrima(クリマ)涙、longus(ングス)長い、tuba(トゥバ)ラッパ、affectus(アッフェクトゥス)感情、magister(マステル)先生、memoria(メリア)記憶、imber(ンベル)雨。laetitia (ラエティティア)喜び。

長母音と短母音の区別

原則2: ラテン語には日本語と同様に長母音と短母音の区別があります。

Cicerōの語末の ō は長母音ですから、キケロでなく、ケローと発音します。Cicerō はローマの政治家の名前です。正式な発音はシセロでもチチェローネでもありません。

ラテン語辞書には、短母音と長母音の区別が表記してあります。
例えば、pater はテル(父)、māter はーテル(母)となりますが、辞書で確かめないと、パーテル?、マテル?と迷います。

FAQ
Q. 長母音と短母音の区別はなぜ必要ですか?

母音の長短の把握を間違うと意味が異なる場合があります。例えば、liber(リベル) (本)とlīber(リーベル) (自由な)はつづりは同じですが、意味が異なります。malus(マルス)(悪い)とmālus(マールス)(リンゴの木)も同様です。2つめの理由は、単語のアクセントの位置を正しく見極めるために母音の長短の区別が必要になるからです。このことについては「ラテン語のアクセント」で詳しく説明します。

長母音と短母音の違いに注意してそれぞれの単語の発音を試みて下さい。

pānis(ーニス)パン、fēmina (フェーミナ)女性、rēs(ース)、vīta(ウィータ)人生、cāritās(ーリタース)愛、tū(トゥー)あなたは、lūdus(ルードゥス)遊び、imperātor(インペラートル)最高指揮官、nāsus (ナースス)鼻、nōn (ノーン)~でない、fātum(ファートゥム)運命。

母音の種類
a, i, u, e, o の五つが基本母音です。ただしラテン語ではy(ユ) も母音に数えます。Phȳthia(ピューティア)(アポロの巫女)、zephyrus(ゼピュルス) (西風)、symbolus(シュンボルス) (印)、typus(テュプス)(典型)などの語に使われています。

これらの単母音a, i, u, e, o, yはそれぞれ長母音と短母音を表すことができます。例えば、a は「ア」と「アー」、e は「エ」と「エー」の長短両方の読み方ができます。文法書や辞書では長短の区別をつけるため、長母音の場合にはā, ī, ū, ē, ō, ȳのように長母音の記号(マクロン)をつけるならわしです。

二重母音
ラテン語の二重母音はae, au, ei, eu, oe, uiの6つがあります。

au 「アウ」 aurum(アウルム) 黄金
ae 「アエ」 aeternus(アエテルヌス) 永遠の
ui  「ウイ」 hui(フイ) ああ!(間投詞)
ei  「エイ」 deinde(デインデ) 続いて、それから
eu 「エウ」 eurus(エウルス) 東風、南東風
oe 「オエ」 poena(ポエナ) 罰

二重母音は1つの長母音とみなせますが、アクセントのルールを学ぶ際にこのことは大事な意味を持ちます。なお aeはローマ字読みの原則にのっとり「アエ」、oeは「オエ」と表記しますが、実際の発音はそれぞれ「アイ」、「オイ」であったと推測されています。

j と v の発音について

原則3:j は半母音 [j] を、v は半母音 [w] を表します。

ギリシア神話のゼウスに対応するローマの神はJupiter(ジュピター)ですが、これは英語読みです。つづりの Jupiter のうち Ju はジュではなくユと読むことになりますので、「ユピテル」がラテン語の発音です。なお、ユピテルの正妻の名はJūnōといいます。発音は「ユーノー」となります(ū、ōともに長母音)。

ビーナス(美の女神)のつづり Venus についても、Ve の部分はベでなく、ウェと読みます。従って発音はウェヌスとなります。ちなみに、ラテン語で毒を意味するvīrusの発音はどうなるでしょう。これもラテン語式に読めばビールスでなく、ウィールスとなります。(īは長母音です)

その他の例:
jūstitia (ユースティティア)正義。jūs (ユース)法律。jubeō (ベオー)命令する。juvō (ウォー)助ける。juvenis (ウェニス)若者、若い。

dīvitiae (ディーウィティアエ)富。virtūs (ウィルトゥース)勇気、美徳。videō (ウィデオー)見る。verbum (ウェルブム)言葉。varietās (ウァエタース)多様性。vēritās (ウェーリタース)真理。vīnum (ウィーヌム)酒。vōx (ウォークス)声。

ラテン語の発音になれる

ちょっとうでだめし

人物名からいくつかの例をご紹介しましょう。それぞれどう発音するのでしょう?

(1) Ennius (2) Plautus (3) Terentius (4) Lucrētius (5) Catullus (6) Vergilius (7) Horātius (8) Ovidius (9) Propertius (10) Līvius

順に、ンニウス、プラウトゥス、テンティウス、ルクレーティウス、カトゥッルス、ウェルリウス、ホラーティウス、オウィディウス、プロルティウス、リーウィウスです。

いずれもローマ時代の詩人や歴史家の名前です。綴りを見て、ラテン語表記が正確にできるようになるとうれしいですね。

ちなみに、英語におけるウェルギリウスのスペルは、Vergil と Virgil の2通りあります。

Horātius(ホラーティウス)の英語式スペルは Horace で、Ovidius(オウィディウス)はOvid です。かなり変わってしまっていますね。欧米人にとって、古典作家の名前は、自国語に自然な形でとけ込んでいるのでしょう。

子音の発音の注意点

b は基本的に「バ行」の子音[b] ですが、-bs と -bt となった場合 [ps]と[pt] と発音します。urbs(都市)は「ウルプス」、obtineō(保つ)は「オプティネオー」と読みます。

q は常にqu の形で使われ、[kw] を表します。「どこに」を意味する quō は「クゥォー」と読みます。

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