Carpe diem.

この言葉を訳せば、「その日を摘め」、「一日の花を摘め」となります。

読み方はラテン語で「カルペ・ディエム」となります(carpeは動詞 carpoの命令法、通常は花や果実を「摘み取る」の意で使われます)。

ホラーティウスの有名な句(『詩集』第1巻第11歌)です。

Tu ne quaesieris, scire nefas, quem mihi, quem tibi 1
finem di dederint, Leuconoe, nec Babylonios 2
temptaris numeros. ut melius quicquid erit pati, 3
seu pluris hiemes seu tribuit Iuppiter ultimam, 4
quae nunc oppositis debilitat pumicibus mare 5
Tyrrhenum: sapias, vina liques et spatio brevi 6
spem longam reseces. dum loquimur, fugerit invida 7
aetas: carpe diem, quam minimum credula postero. 8

語彙

1行目

Tu あなたは / ne ・・しないように / quaesieris (接・完了)quaero 問う / scire は scio (知る)の不定法 / nefas 罪
quem 疑問形容詞(いかなる) finem にかかる / mihi 私に / tibi あなたに

2行目

finem 終わりを(finis) / di 神々が / dederint (接・完了)do 与える / Leuconoe (呼)レウコノエよ / nec ne の反復
Babylonios Babylonius バビュロンの

3行目

temptaris (接・完了)tempto (試す) Babylonios…numeros が目的語 / numeros 数を(numerus)
ut なんと、いかに / melius よりよい /quicquid 英語の whatever に相当 / erit sum の未来・3人称・単数
pati patior (我慢する)の不定法 / 「quicquid (何であれそれ)を pati (堪え忍ぶ)ことは、どれほどよいか」

4行目

seu seu A seu B = whether A or B / pluris 多くの(複数・対格) hiemes にかかる / hiemes 冬(複数・対格) tribuit の目的語
tribuit tribuo (与える)の完了・3人称・単数 / Iuppiter ユッピテル(神) / ultimam 最後の(ultimus) /

5行目

quae 関係詞(女・単・主) / nunc 今 / oppositis oppono (相対する) の完了分詞 / debilitat 疲弊させる
pumicibus pumex(穴だらけの岩)の複数・奪格 / mare 海

6行目

Tyrrhenum テュッレーニアの mare にかかる / sapias sapio(賢明である)の接続法・現在・2人称・単数(命令の意味)
vina < vinum 酒 / liques < liquo -are 濾(こ)す の接続法・現在・2人称・単数 / spatio 間 < spatium / breui 短い < brevis

7行目

spem  希望を < spes 単数・対格形 / longam longus(長い)の女性・単数・対格 spem にかかる / reseces 切る、控える reseco の接続法・現在・2人称・単数 / dum ・・・の間に / loquimur loquor (語る)の1人称・複数 / fugerit fugio(逃げる)の未来完了 / inuida 嫉妬深い aetas にかかる

8行目

aetas 時、時代 fugerit の主語  / carpe 摘む carpo の命令法・現在・2人称・単数 / diem dies(日)の単数・対格 carpe の目的語 / quam minimum = as little as possible (否定文をつくる) / credula (与格に)信を置くような 形容詞・女性・単数・主格 主語レウコノエと同格 / postero 明日に(与格)
※(あなたは)明日にできるかぎり信を置かない状態で(=明日に信を置かず)、今日この日を摘むのがよい。)

試訳

神々がどんな死を僕や君にお与えになるのか、レウコノエ、そんなことを尋ねてはいけない。
それを知ることは、神の道に背くことだから。
君はまた、バビュロンの数占いにも手を出してはいけない。
死がどのようなものであれ、それを進んで受け入れる方がどんなにかいいだろう。
仮にユピテル様が、これから僕らに何度も冬を迎えさせてくれるにせよ、
或いは逆に、立ちはだかる岩によってテュッレニア海を疲弊させている今年の冬が最後の冬になるにせよ。
だから君には賢明であってほしい。酒を漉(こ)し、短い人生の中で遠大な希望を抱くことは慎もう。
なぜなら、僕らがこんなおしゃべりをしている間にも、意地悪な「時」は足早に逃げていってしまうのだから。
今日一日の花を摘みとることだ。
明日が来るなんて、ちっともあてにはできないのだから。

ホラティウス全集
鈴木 一郎
4472119013

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