お山の絵本通信vol.130

──なつかしい絵本と先生のこえ──

『しゅくだい』

宗正美子/原案、いもとようこ/文・絵、岩崎書店2003年

“しゅくだい”と聞いて、皆さんはどう思うでしょうか。私は今までの学生生活を思い返しても「あぁ、しゅくだいか〜」と“しゅくだい”に対して良いイメージを抱いたことが正直なところ、ありませんでした。そんな中、出会ったのがこの絵本です。

めえこせんせいは、子どもたちにあるしゅくだいを出します。そのしゅくだいはなんと“だっこ”でした。「おうちのひとにだっこしてもらってください。」それを聞いた子どもたちはびっくり。いそいでおうちに帰ったもぐらのもぐくんでしたが、あかちゃんのいるもぐくんのお母さんは大忙しで、なかなか相手にしてもらえません。「おかあさんたら…あかちゃんばっかり……。ぼくのことなんか……」と落ち込んだもぐくんでしたが、今日のしゅくだいが“だっこ”と知ったお母さんは「じゃ、はやくしゅくだいやりましょう!」ともぐくんをだっこしてうたいだします。そして、お父さんもおばあちゃんも、もぐくんをぎゅ〜っと抱きしめてくれるのでした。いっぱいしゅくだいをしてぐっすりねむったもぐくんとおともだちのみんなは、次の日めえこせんせいに「みなさんしゅくだいをやってきましたか?」と聞かれ、にこにこの笑顔で「はーい」と答えるのでした。

このお話を読んで、なんて素敵なしゅくだいなんだろう、こんなしゅくだいだったら楽しいだろうなと思いました。もぐくんをぎゅ〜っと抱きしめたおばあちゃんも、もぐくんに「まただっこのしゅくだいでるといいね!」と言います。

だっこには、言葉とはまた違う、沢山のパワーが詰まっているように思います。何も言わなくても、抱きしめてもらうだけで、安心できたり、頑張ろうと思えたり、みんなが嬉しい気持ちになれます。だっこだけでなく、タッチや握手などもそうではないかなと思います。

子どもたちを送迎していて、「いってらっしゃい!」とタッチをしたり、手を広げて「おかえりー!」と子どもたちを迎えるおうちの人の姿を見ると、おうちの人も子どもたちもみんな笑顔でとても幸せな気持ちになります。

私は、金曜日の帰りの時間には、月曜日も元気に来てねというパワーを込めて、子どもたち一人ひとりとぎゅ〜っと抱き合ったりタッチをしたりしてから帰ってもらっています。最近では、明日がお休みだと知ると、「じゃあお休みの分、ぎゅ〜ってして帰ろう!」と子どもたちが言ってくれることもあり、にこにこの笑顔で手を広げて来てくれるので、とても嬉しく思います。

このお話から、人と人との触れ合うことの大切さを改めて感じ、それが出来ることをとても幸せだなあと思いました。これからも子どもたちとのスキンシップを大切にし、過ごしていきたいです。そして、また今度子どもたちにだっこのしゅくだいを出してみたいなと思います。

文章/Mika先生