お山の絵本通信vol.127

──なつかしい絵本と先生のこえ──

『くもりのちはれ せんたくかあちゃん』

さとう わきこ/文、絵、福音館書店2002年

わたしはさとうわきこさんが描いているばばばあちゃん≠竍せんたくかあちゃん≠フ人柄と私もやってみたいと思ってしまう発想が大好きです。そして、せんたくかあちゃん≠ノもばばばあちゃん≠ニ同様にシリーズがあったのだと、私の中では大発見で、ついうれしくて、手に取った一冊です。

洗濯をすることが大好きなかあちゃん。いつものように山盛りの洗濯物。しかし、天気が悪く洗濯物を干すことができません。せんたくかあちゃんは一体どうするのだろうと思いながら、ページをめくっていくと…。何と子どもたちと一緒に大だこを上げて洗濯物を雲の上に干すことを思いつきます。

何て素敵な考えだと思い、こんなお手伝いなら、きっと子どもたちも楽しいだろうなと思いました。そして、次に登場してくるのが雲の上の雷さんたち。洗濯物が気持ち良さそうに雲の上に干されているのを見て「私も!!」「僕も!!」と洗濯のお願いに空から降りて来ます。その数のすごいこと、すごいこと。

それでもせんたくかあちゃんは物おじせず「よしきた。せんたくなら まかしときい」と次々に雷さんたちを洗っていきます。私はこのせんたくかあちゃんの「よしきた。まかしときい。」という言葉が頼もしい中にも愛情を感じられ大好きです。また上げた大だこから干されている、たくさんの洗濯物とたくさんの笑顔の雷さんたち。空はいつの間にかいい天気になって、ゆらりゆらりと風に揺れている姿を見て大空を飛んでいるようで思わず私も干されてみたいと思いました。

しかし、気持ちが良さそうでよかったねで終わらないのがせんたくかあちゃん。雷さんたちを干し過ぎてしまい、バリバリのゴワゴワにしてしまいます。その姿に大変だと思いながらも笑ってしまい、「お湯につけて元に戻せばいい」という、せんたくかあちゃんの考えにも圧倒されながらもまた笑ってしまいます。そして、体を次々にタオルで拭いて、また洗濯物の山になってしまいますが、またまた「せんたくものなら、まかしときい」というせんたくかあちゃんの言葉。本当にこんなお母さんがいたら、毎日楽しいし、石けんの香りに包まれているのだろうなと思いました。そしてふと私が小さかった頃「いっぱい遊んで汚して帰っておいで」「汚れても洗濯すれば大丈夫!!」と言い幼稚園に送り出してくれた母の言葉を思い出した一冊でもありました。

文章/Tomomi先生