お山の絵本通信vol.120

──なつかしい絵本と先生のこえ──

『おへそのあな』

長谷川義史/文・絵、BL出版2003年

今回紹介させていただく絵本は、『おへそのあな』です。 もうすぐ生まれてくる赤ちゃんが、お母さんのおへそのあなから、赤ちゃんの誕生を心待ちにしている家族の様子を見ているという心温まるお話です。

私がこの絵本と出会ったのは大学生の時でした。授業で先生が紹介をしてくださり、「なんて素敵な絵本なんだろう」と思い、心に残る絵本のひとつとなりました。そして、この仕事に就き、再びこの絵本と出会って、ふと思ったことがありました。


 

   「私が生まれてくる前、私の家族はどんな風に待ってくれていたのだろう…?」

私には弟や妹がいて母が手をとられていたこともあり、おじいちゃんと過ごしていることが多かったように思います。一緒に住んでいたので、毎日遊んで色々なところへも連れていってもらいました。父が男三兄弟であった為か、母から「おじいちゃんは、女の子が生まれたから嬉しくて仕方ないねん。」とよく聞かされていました。私はそれが嬉しくて、おじいちゃんのことが大好きでした。

また、私にとって妹が生まれてくる時のことがとても印象に残っています。弟が生まれてくる時のことは物心ついておらず、覚えていないのですが、妹が生まれるとなった時はとても大喜びしていたことを覚えています。嬉しくてたまらなかった私は、「妹の名前は私がつける!」と大張り切りでした。

私の生まれてくる前はどうだったのか、聞いたことはありませんが、私が妹の誕生を心待ちにしていたように、初めての子ども、初めての孫に家族みんなきっと嬉しい気持ちいっぱいでわくわくしながら待ってくれていたのだろうなと思います。

この絵本を読んで、生まれてくることの嬉しさ、有難みを改めて感じることができました。子どもたちは、自分のお誕生日が近づくと、にこにこの笑顔で「もうすぐ○歳になるねん!」と教えてくれます。今度子どもたちとこの絵本を読んで、生まれてくる時こうやって待ってもらっていたのかな、お誕生日って素敵な日だな、等と色々なことを思ってもらえたら嬉しいなと思っています。

文章/Mika先生