お山の絵本通信vol.75

──なつかしい絵本と先生のこえ──

『11ぴきのねことあほうどり』
馬場のぼる/作、こぐま社1972年

[kaisuiyoku

私は田畑や山に囲まれた田舎の小さな町で育ちました。幼稚園と小学校時代、母親に劇を見に連れて行ってもらった思い出があります。田舎の町に劇団の人達が来て公演することは珍しく、年に数回おこなっていました。 その中で1番最初に見た劇が、この絵本の『11ぴきのねことあほうどり』というお話です。

かわいらしい人形の11ぴきのねこが音楽と共に登場してお話が始まりました。11ぴきのねこはコロッケのお店を開きますが、毎日売れ残ります。残ったコロッケを毎日食べあきてしまい、とりのまるやきが食べたくなってきます。そこへ1羽のあほうどりが登場し、コロッケをもらいます。きょうだいたちに「コロッケ」を食べさせてやりたいあほうどりと、「とりのまるやき」を食べたい11ぴきのねことのやり取りが続き、結局、あほうどりの島へ行くことになり、きょうだいを紹介してもらうねこたちでした。

1羽、2羽、3羽…と続き…最後の11羽目には大きなあほうどりが登場しました。見上げるほどの大きなあほうどりで、ホール全体が笑いに包まれたようになりました。そして、11ぴきのねこは、「とりのまるやき」どころではなく「コロッケ」を作ってあげることになってしまったお話でした。

劇が終わった後、ホールの所でこの絵本が販売されており、母親におねだりをして買ってもらいました。絵本の中でも大きなあほうどりが登場して、11ぴきのねこたちの驚きの顔に何度も笑ったことを覚えています。それから劇の楽しさを知って、ミュージカル、人形劇、影絵のお話などを年に数回見に行くようになりました。この絵本を開くと当時、劇を見に行く度にドキドキ、ワクワクしていたことや、自分も舞台に立っているように感じていたことや、何かになりきってごっこ遊びを楽しんでいたことを思い出します。

劇を見に連れて行ってもらったお陰で、自分もやってみたいという気持ちが芽生えて、いろいろなことに興味を広げることが出来ました。成長すると共に劇を見る機会が少なくなってしまいましたが、大人になった今も劇を見ることは大好きです。また、自分が人前に立ち、役になりきっておこなうことも大好きです。

今、幼稚園の先生として、子ども達と一緒に劇やおゆうぎをおこなったり、お歌を歌って楽しむことにとても嬉しく、幸せを感じている毎日です。

文章/Noriko先生