お山の絵本通信vol.57

──なつかしい絵本と先生のこえ──

『みんなみんなみーつけた』
絵・黒井健、文・木村裕一、偕成社1983年

[みんなみつけた]

「みんなみんなみーつけた」──この絵本は題名通り、森の動物たちが “かくれんぼ” をするお話です。ライオンさんが鬼となり、木のかげ、石のかげ、お花畑の中…と次々に隠れた動物たちを見つけ出していきます。しかし、ねずみさんだけがどうしてもなかなか見つけることができず、動物たちみんなで一生懸命に探す様子や、動物みんなでねずみさんを見つけた時の喜び、そして探し見つけてもらうことに待ちくたびれ、眠ってしまったねずみさんを起こさないようにとゆっくり家まで送り届ける友達思いの様子には、心が温まります。

この絵本に私が出会ったのは、幼稚園の頃です。その当時 “かくれんぼ” が大好きで友達ともよく “かくれんぼ” をして遊んでいたことを思い出します。そういうこともあってかすぐにこの絵本が大好きになり、何度も何度も読んでもらったことも思い出しました。またその当時は字の読めなかった私でしたがこの話の内容を思い出しながら、絵を見て勝手に話を作り、妹に読んであげていたなという記憶も残っています。そして、何よりもこの絵本の魅力は、仕掛け絵本になっていることです。動物たちが隠れた所が穴あきになっていたり、切抜きの仕掛けになっていて、読み手も「どこに隠れたのかな?」とワクワクしながら、一緒に探すことができます。

今考えれば、自分が幼かった時、その話の中に入っていく、夢のような世界に入っていくことができたのではないでしょうか。またこの絵本の絵を見ただけで、自分だけのストーリーを考えて作れる、素敵な一冊ではないでしょうか。ぜひ一度手に取って、この絵本の世界に入り、ドキドキワクワクして動物たちを探す楽しさを、子どもたちと一緒に味わって欲しいと思っています。

文章/Tomomi先生