お山の絵本通信vol.32

──なつかしい絵本と先生のこえ──

『しろいうさぎとくろいうさぎ』
文絵/ガース・ウィリアムズ、訳/松岡享子、福音館書店1965年

私が小さい頃、大好きで何度も何度も読んでもらった本。そして、大人になった今でもよく読んでいるお気に入りの絵本を紹介します。

幼稚園でお仕事させて頂くようになって絵本と出会う機会も増え、自分が昔よく読んでいた絵本と本屋さんで再開することもよくありました。この絵本もその中の一冊でした。

──しろいうさぎとくろいうさぎ、二ひきのちいさなうさぎが、ひろいもりのなかにすんでいました──で始まる、とても落ち着いた色の絵本。原色をほとんど使っていないのにうさぎ達が活き活きと可愛らしく描かれているこの絵本が幼い頃の私には何か心に響くものがあったようです。

一番、お気に入りだったページは、満月の日に大勢の小さなうさぎ達がしろいうさぎとくろいうさぎを囲んで輪になり結婚式のダンスを踊っているところです。

しろいうさぎとくろいうさぎがとっても幸せそうで、他のうさぎ達もとても楽しそうに踊っていて……。まるで自分も一緒に結婚式のダンスを踊っている様な気持ちになり、心地よかったのかもしれません。

とにかく絵がとても繊細で丁寧に描かれており、絵本のうさぎさんを触ると本当にふわふわしていそうなくらいです。そして、表情が何とも可愛らしく、悲しいときのお顔は本当に悲しそうで、笑っているお顔は本当に幸せそうで……。

子どもの頃は飛び出てきそうな可愛い絵がとにかく大好きでしたが、大人になってから読んでみると、シンプルなストーリーなのにうさぎ達の気持ちがものすごく伝わってきて、とても温かい気持ちになりました。

いつも一緒……だからちょっと、くろいうさぎが悲しいお顔をしているとしろいうさぎも同じくらい悲しくなって、楽しいお顔ならお互いがもっともっと楽しくなるだなんて! なんて素敵な絵本だろう! と、もっともっと大好きになりました。

子どもの頃に大好きだった絵本……大人になってもう一度読んでみたら一味違った楽しみ方があるかもしれません。もし、お気に入りの絵本と出会えたなら、是非、大切に残して頂き、大きくなられた時に「あなたの大好きだった絵本よ」と渡してあげて欲しいと思います。もしかしたら子どもの頃に感じていた気持ちになれたり……もしかしたら、新しい発見があるかもしれません。

文章/Mami先生