お山の絵本通信vol.28

──なつかしい絵本と先生のこえ──

『きょうはなんのひ?』
文/瀬田貞二・絵/林明子、福音館書店1979年


今からちょうど22年前。私はこのお山のようちえんに年中組より入園しました。近くの仲良しの友達と一緒に、みんなでお山を登って、大好きな先生が待っているお部屋に行くことが、とっても嬉しかったことを覚えています。お帰りの時は、一目散にお部屋を出てお並び場所に行き、1番前に並べるように一生懸命でした。(なぜなら先生と手をつないで歩きたかったからです!)

そして年長組になった冬、待ちに待った弟が生まれました。弟が生まれたことにより、送迎のグループ場所まで母と一緒に行くことが出来ず、毎日1人で行き、そこで友達のお母さんと一緒に待っていました。"1人で行く" ことに淋しさや嫌だという気持ちよりは、むしろ「お姉さんになった」ことへの喜びの方が大きく、嬉しかったように思います。今では母が「あの時は1人で行って本当に偉かったよ。」と言ってくれますが…。そんな時に思い出す絵本が、大好きだった『きょうはなんのひ?』です。

     「しーらないの、しらないの、しらなきゃ かいだん 三だんめ」

とまみこが歌うところから始まります。赤いひもを結んだ手紙が家の色々なところに隠れていて、それをお母さんが探していくと、最後には…。登場人物の色々な顔の表情に夢中になったり、次はどこに隠れているのだろうというワクワクドキドキ感が大好きで、毎日毎日読んでもらっていました。

それから16年後。自分の通っていたお山のようちえんに、先生としてお仕事をさせて頂いているなんて、夢のようです…。いつも絵本や紙芝居を見ている子ども達の顔は、ワクワク・ドキドキ・ハラハラといった色々な表情を見せてくれます。

これから先も子ども達が絵本との出会いを通して、大人になってから幼稚園時代のことを少しでも思い出してもらえたら、嬉しいです。

文章 Sumiyo先生