お山の絵本通信vol.21

──なつかしい絵本と先生のこえ──

『もりのかくれんぼう』
文/末吉暁子、絵/林明子、偕成社1978年

この絵本は、主人公ケイコが公園からの帰り道、近道をしようとして秋の森の中に入ってしまいます。森の中で "かくれんぼう" という木の枝の姿の男の子と出会い、森の動物たちと一緒にかくれんぼをするお話です。また、かくし絵がたくさん使われていて楽しいかくれんぼ遊びが描かれています。

私が幼稚園の先生になって、1年目のちょうど秋のこの時期。1人のお友だちが「これおもしろいからよんで。」と持って来てくれたことが、この絵本との出会いでした。

子どもたちと一緒に見ていく中、"かくれんぼう" や森の動物たちが隠れている所では、絵本を逆さ向けにしたり、縦や横向けにしたりと…。絵本を持って来てくれたお友だちにヒントをもらいながら、いろいろな見方をして探しました。次のページには、どこに隠れているのかが分かります。子どもたちも私も

「わぁー!! こんな所にいたのかー。」

と分かった時には、驚きと大喜びだったのを覚えています。読み終えた後、絵本を持って来てくれたお友だちが

「えほんのおもてと、うらをみて。」

と言いました。よく見てみると、そこにも "もりのかくれんぼう" が隠れていたのです。またまた、「わぁー! そんな所に!!」と思わずみんなで大喜びをして、楽しい気持ちになった思い出があります。

子どもたちが教えてくれた(持って来てくれた)絵本には、その時の思い出や心に残るものがたくさんあります。その中で『もりのかくれんぼう』は、子どもたちも私も1ページ1ページ「どこかな? どこかな??」と言い、必死になって探し合いながら読んだ思い出の1冊です。

初めて読むと内容が中心となりますが、何度も読んでいくうちにかくし絵の楽しさが見つかり、ますます楽しくなる素敵な絵本です。もし、本屋さんに立ち寄られたら "もりのかくれんぼう" を見つけてみてください。

文章 Noriko先生